久保 敏大

ブログ⑦ 緩和ケア科 1年目3月

2022年3月、1年目の臨床研修の最後に回った科は鹿児島市医師会病院緩和ケア科でした。

 

主な日々のスケジュールとしては

回診、緩和ケア面談に同席してカルテ記載、癌性腹水、胸水が溜まっている患者さんに腹腔・胸腔穿刺を施行し腹水・胸水を抜いていました。

 

 

〈鹿児島市医師会病院8階緩和ケア病棟、くまモンとプーさん〉

 

 

 

初めて1人でお看取りをしたのは受け持ちの肺がんの患者さんでした。

昨日まで世間話をしていた人が亡くなる。

自分で死亡の診断を付ける。

死亡診断書を記載する。

 

国家試験には死亡診断書の記載についての問題が出題されますがこんなに早く書くことになるとは思ってもみませんでした。

 

厳しい(とっても優しい)師長の添削を受け、間違いがないことを確認して完成させます。

 

お迎えの葬儀社さんが来るまで看護師さんと一緒にエンゼルケアを行いました。

 

これは国家試験では勉強してこなかったことでした。

できるだけきれいになるように、尊厳を持って、ケアを行います。

 

職員みんなで地下まで降りて霊柩車の出発までお見送りをしました。

 

その日のことは一生忘れられないと思います。

 

 

〈面談室〉

 

その方は亡くなる1週間前にかかりつけの在宅医と相談し自宅に帰る事ができました。

自宅での生活が少しでも楽になるように退院前日に私が胸水を抜きました。

 

家で何をしたらいいかが多すぎて困っている患者さんとやることリストを一緒に作りました。

私がした医療行為で患者さんが家に帰ることができ穏やかな気持ちになれたなら私でも緩和ケアを行えたのだなと今は思います。

 

 

〈談話室〉

 

医師会病院の緩和ケア病棟の雰囲気がとても好きです。

先生方も臨床心理士の先生も看護師さんたちも看護助手さんの方々も優しく粛々と仕事をされていて、患者さんのために毎日工夫して業務を行っています。

将来こんな環境で働ければと強く思います。

ブログ⑥産科婦人科のぼり病院 2年目10月

研修2年目の2022年10月に鹿児島市荒田の産科婦人科のぼり病院で研修させて頂きました。

研修内容としては外来と病棟診察見学、胎児エコーの実施、お産の介助、帝王切開の助手、新生児の沐浴、おむつ替えなど多岐に渡る研修をさせて頂きとても充実した日々でした。

〈産科婦人科のぼり病院〉

 

1か月間で帝王切開に6回入ることができ、自然分娩も約20例経験できました。

 

産声が上がり、スタッフが「おめでとうございます」と言う度に、

心の底から湧き上がる泣きそうな感動に毎回包まれていました。

 

うぶ声は何回聞いてもいいものだよと、

理事長の昇眞寿夫先生が仰っていたのが印象的でした。

 

帝王切開では私が閉腹に入ると時間がかかるのにも関わらず先生方と手術スタッフには根気強く指導して頂きました。

様々なことを助産師さん、看護師さん達から丁寧に親切に指導して頂きました。

 

 

〈閉腹時、蔵屋先生と〉

 

汗まみれになりながら新生児の沐浴を実施しました。

一回で腰が爆発しそうなほど痛くなりました。

普段使わない大殿筋が筋肉痛になり、翌日、翌々日まで上腕筋がプルプルしていました。

翌週その話をしたら看護師さんたちに爆笑されました。

 

体勢の工夫はどんな仕事でも大切だと改めて感じました。

 

 

院長の昇晃司先生、理事長の昇眞寿夫先生、副院長の蔵屋先生にはとても丁寧に優しく指導して頂きました。

 

指導医の昇晃司先生は朝も昼も夜も休日も関係なしに、患者さんと新しい命、病院運営やスタッフの為に働き続けておられました。

1か月の研修では産婦人科領域全てを学ぶことはとても無理だと思いましたが、1人の医師としての責任と気概を側にいることで学ぶことができたと思います。

 

素敵な病院で研修できて幸せでした。

病院の雰囲気も生命の誕生も一人で閉腹したことも私の人生の財産になったと思います。

先生方、助産師さん、看護師さん、看護助手さん、事務の方々、スタッフの方々にこの場をお借りて厚く御礼申し上げます。

 

大事なことを書き忘れていました!

御飯がとてもとても美味しかったです!!!!

美味しすぎて1か月で体重プラス2㎏でした!!!

 

ブログ⑤ 鹿児島大学救急科 2年目4~5月

2年目の研修が始まり2022年4月と5月の2か月間を鹿児島大学救急科で研修させて頂きました。

主に救急外来対応、カンファレンス、回診、病棟業務が一日の流れでした。

新型コロナウイルス流行時期でもあり、発熱した患者さんがいるとフル装備で診療にあたります。

N95マスク、フェイスシールド、長袖ガウン、手袋二重・・・

 

一度着てしまうと着脱の手間や医療資源の問題もありますので、同じくフル装備の担当の外来看護師さんと陰圧の隔離室に入り、長時間汗をかきながら診察や検査をしていきます。

 

患者さんの着替えを手伝っていたら、ベテランの外来看護師さんに褒められました。

「先生、着替えとか患者さんの移乗をよく手伝ってくれるね。助かるよ。」

 

研修1年目の4月に医師会病院で同期の看護師さんと一緒に患者さんの着替え、移乗やベッドメイキングまで教わった経験のおかげかなと、とてもうれしくなりました。

 

医師会病院の研修では一日患者体験として実際に入院します。病院食を食べ点滴も一日流されトイレもポータブルトイレでしました。

 

酸素マスクをつけて眠る研修医

 

ごはんを食べさせてもらう研修医

 

「これからもそんな風に患者さんの話をよく聞くお医者さんでいてね」

 

もう一つベテラン看護師さんから言われたうれしい言葉とともに医師会での研修を忘れないようにいようと思った救急研修の日々でした。