編集後記


 暑かった夏もとうに過ぎ,爽やかな秋の到来です。秋といえば,お月見,十五夜,「中秋の名月」が思い浮かびます。9月中旬から10月上旬に出てくる満月を十五夜または中秋の名月と言い,今年の十五夜は10月4日(水)です。十五夜とは満月を意味し,新月から15日ほどかかることから十五夜といわれますが,新月から満月までの周期に14〜16日のブレがあることから,実際は十五夜がいつも満月とは限らないようです。ちなみに今年の十五夜は10月4日ですが,満月は10月6日(金)のようです。本号が皆様のお手元に届くのは,その後でしょうか。
 誌上ギャラリーには宇根先生から「やつしろ全国花火競技大会」の写真をいただきました。秋の夜空に鮮やかに咲く大輪を見事に捉えています。花火の爆発音が今にも聞こえてきそうです。
 論説と話題は「第61回九州ブロック学校保健・学校医大会 平成29年度九州学校検診協議会(年次大会)」について報告されました。
 医療トピックスでは「新規抗アレルギー薬について」と題して,新規第二世代抗ヒスタミン薬である,ビラスチン錠とデスロラタジン錠についてご紹介いただきました。投与法や食事の影響などそれぞれ特徴があるようですので,日常診療のご参考にして下さい。
 学術には,藤元総合病院,大窪先生のご講演「地域で支えるパーキンソン病診療〜診断・治療から在宅ケアまで〜」から,パーキンソン病の症候と診断,治療,在宅療養のポイントについて詳述していただきました。これからの日本においてはパーキンソン病にとどまらず,認知症などの高齢者難病に対応するシステム構築が急務であるということです。
 今村総合病院の宮内先生からは,静脈血栓塞栓症の治療における直接経口抗凝固薬の使用経験が報告され,利点とともに使用の際の注意点なども示されました。
 医師会病院だよりには,神経内科の中川先生から地域包括病棟も活用したパーキンソン病の治療の現況などについてご報告いただきました。また診療放射線室では一般撮影画像処理装置が更新され,またスクリーニング,鑑別診断に有用な各種専門的検査などが実施されていますので,患者さんのご紹介などよろしくお願いいたします。
 切手が語る医学はオーストラリアのノーベル賞受賞者の切手が紹介されました。古庄先生には,いつも珍しい切手をご提供いただき感謝申し上げます。
 小田原先生の「シリーズ医療事故調査制度とその周辺(8)」では,日本医療法人協会の「医療事故調査制度に関する見解」が掲載されました。
 武元先生からはビタミンB12が低値の大球性貧血の典型例とされる,悪性貧血の2症例が呈示されました。
 「糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて」では,今年から鹿児島県でも取り組みが始まった,糖尿病性腎症重症化予防のためのプログラムについて紹介されました。鹿児島市では糖尿病の未治療者や治療中断者に対して重症化予防プログラムを用いた指導が行われ,糖尿病性腎症のハイリスク患者には医師と保健師が連携して保健指導が行われているとのことです。
 「リレー随筆」には県立大島病院の榎木先生からご寄稿いただきました。自治医科大学での学生生活や,卒後義務年限中の現在の地域医療でのご活躍,そしてご家族のことなど,公私ともにたいへん充実していらっしゃるご様子が伝わってきます。
 「鹿市医郷壇」では皆様の作品をお待ちしております。奮ってご投句下さい。
 さて,今年の「中秋の名月」はどうでしょうか。今回の十五夜にはたとえ間に合わなかったとしても,秋の夜長,虫の声でも聴きながら,月見酒としゃれこんでみてはいかがでしょうか。寒くなるまでのひと時,秋の風情を楽しみたいと思います。

                             (編集委員 森岡 康祐)
                             

                                              

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