随筆・その他
種子島のマイナーな楽しみ方
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鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 血液・膠原病内科 鎌田 勇
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吉満先生よりリレーを渡していただきました大学病院 血液・膠原病内科の鎌田です。
正直,何でも書いてよいと言われると何を書いていいものやら。。。もともと,国語は大の苦手ですので,おかしな言い回しなどご容赦ください。
自分は鹿児島市生まれの鹿児島市育ちです。ただ,両親は2人とも種子島の出身で遺伝子的には純種子島産(?)です。そこで,小さいころからなじみの深い種子島の宣伝でもしてみようかと思います。ただし,主にマイナーな楽しみ方(?)ですし,自分の主観が入っていますのであしからずご了承ください。
~鉄砲伝来~
『1543(イゴヨサン)かかる鉄砲伝来』皆さんもおそらく1回はこの文章を歴史で暗記されたと思います。自分の母方は八板家という家系であり,母のおじさんの家には火縄銃が1丁あるそうです(もう一つは種子島の歴史資料館にあるようですが)。どうも遠い祖先様が作ったようです。種子島に行くと必ずご先祖様のお墓に挨拶をします。西之表のご先祖様のお墓参りをした時に必ず,その上にある記念碑のようなところもお参りしていました。わかさ姫を祭っているところです。「何年たっても祖先は大切にしなくてはいけない」と常日頃教えられました。大切な習慣だと思います。種子島へいらした際はぜひ歴史にも触れてみてください。
~ロケット道路~
その名のとおりロケット部品を運ぶための道路です。島の中央付近を通っています。広くてまっすぐできれいですが,地元の方は下の国道を使用するのであまり交通量はありません。スピードは出さないでくださいね。
~化石~
種子島は隆起してできた島のため,古い地層が多いです。海岸で層状になった地層を眺めるのも面白いですし,丸い砂岩を並べてみるのも面白い(?)です。ときどき砕石した後の地層を見てみると,石炭や葉の化石,貝の化石が取れます。子どものころ見つけた20cmほどもあるカキの化石を今でも大切に持っています。
~砂鉄~
種子島には海岸を歩くと黒くキラキラと光る部分がたくさんあります。砂鉄の集まっているところです。ぜひ磁石を持参で遊びに行ってください。子どもたちは大喜び間違いなし?
昔はこの砂鉄を使って鉄を精製していたようです。鉄なので集めて瓶に入れると想像以上に重くなりますよ。
~モウセンゴケ~
湧き水が出ている日陰のがけのところをよく見ると赤い奇妙な植物が群生していることがあります。モウセンゴケという食虫植物です。ただし,育てるのは技術がいります。
~犬城(いんじょう)海岸~
なぜか種子島に行くと父親が必ずつれて行った海岸です。奇妙な地層・地形がみられます。また,海岸には丸い砂岩が多数落ちています。石好きには面白いかも。海水浴もできますが少し深いです(地層が崩れてしまい大きな洞穴には現在入れないかもしれません)。
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洞穴の中は真夏でも涼しいです。
(現在は入れないかもしれません。。。) |
~きれいな星空~
晴れた日に夜空を見上げるとたくさんの星が見えます。天の川もうっすらと。人工衛星がさーっと通るのも見えますし,流れ星も見えます。小学生のころ火星や土星を観察しようとしていたのを思い出します。学校の校庭や丘の上からの観察がおすすめです。
~菜の花祭り~
3月~4月にある地域で行われているイベントです。畑一面菜の花の明るい黄色で埋め尽くされています。迷路が作られていますので,ぜひ攻略してみてください。
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| 菜の花迷路に子ども達も一生懸命! |
~海岸の貝たち~
コロビ,ツメミナ,クロミナ,ホシガイ,ハマグリ,カメノテなどなど,とにかく海産物が豊富です。引き潮の時は海岸へ!いろいろな貝に出会えます。本土と違って大きなものが多いです。タカラガイはつるつるしてきれいです。大きなホシガイの貝柱を味噌漬けにしたのは絶品です(ナガラメは漁業権の関係で採っていはいけませんので注意です)。ハマグリは大きいものがたくさん取れます。囲炉裏端で焼くと美味しい(場所は。。。ナイショです■)。
~魚釣り~
とにかく島の人たちは魚釣りによく出かけます。少し竿を投げるだけで釣れます。種類としてはアジ,サバ,まんびき(シイラ),もはみ(ブダイ),バリ,スズキなどなど。カラフルな熱帯魚やハリセンボンも釣れます(ハリセンボンは食べませんが,人懐っこいところがチャームです)。種子島は風が強いことが多いです。西が風が強いときは東側へ行くと比較的穏やかです。
~マングローブ林~
県道75号線を熊野海水浴場から少し南へ行くと,マングローブ林があります。とてもきれいな光景です。バードウォッチングも楽しめますし,海側から入ればシーカヤックも面白いです。ただ,光景よりもその林で採れるガザミやモクズガニがお目当ての人もいるかも。。。ちなみにガザミは種子島で養殖を始めたそうです。味が濃厚ですのでぜひお試しを(父親がもらってきましたが美味しい!)。
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いろいろな生き物に出会えます。
カヤックでめぐると面白いです。 |
~長浜近くの砂丘~
長浜海岸の近くを川に沿って山側に入っていくと山の斜面が砂丘のようになっているところがあります。駆け下りてもよし,落書きしてもよし,ということで砂だらけが思う存分楽しめます。
~海水浴場~
熊野海水浴場;国道沿いで行きやすいところ,徒歩圏内に町営の温泉もあるのがうれしい。雨が降った後は少しゴミが多いです。また,8月中旬を過ぎるとクラゲ(イラと呼びます)が出ますので注意。シーカヤックも楽しいです。キャンプ施設もあります。
よきの海水浴場;外海に面しているので海流が速いですが,クラゲがいないのでラッキー!ぼーっとしていると北のほうへどんどん流されてしまいます(網があるのでご安心を)。
浦田海水浴場;とにかくきれいです。びっくり!少し道に迷うかもしれません。先にある浦田漁港ではアジやサバなどが釣れます。
~ザリガニつり,手長エビ~
田んぼの土手にたくさんの穴を見つけたら,煮干しに釣り糸を結び付けて穴の入り口に落としましょう。にゅーっと赤い手が伸びてきますよ!また,川の石をめくると手長エビがたくさんいます。種子島では「ダクマ」と呼んでいます。よく父親からダクマ採りにつれていかれました(食べたことはないけど美味しいらしいです。。。)。採りに行くときはマヘビ(マムシ)に注意してください。
~にがだけ~
春に生えてくる緑色のタケノコです。本土では苦くて食べられませんが,なぜか種子島のものは苦みが少なく美味しいです。傷みやすいので地元でしか手に入りにくいと思いますが。調べてみるとリュウキュウチクというそうです。
~インギー鶏~
インギー(イギリス)由来の鶏だそうで(詳細分かりません!)。南種子に美味しいお店があって,種子島に帰ったら必ず行ってしまいます。お店のメニュー表に英語のものもあり。ロケット打ち上げの時などは外国人も多くいらっしゃるそうです。
~安納芋~
今ではブランド名が定着してしまいましたが。。。小ぶりな芋ですが甘く,香りもいいので自分は大好きです。ただし,収穫してすぐのものは甘くないです。祖父の家では収穫した芋を風通しの良いところで冬まで寒ざらしにします。そうすることで甘さが増すそうです。お正月に帰ったときに,落ち葉焚きで作る焼き芋が一番ですね!
~たんかん~
皮は堅いですが香りが強く美味しいミカンです。大きなものは市場にでてしまいますが,一番美味しいのは,少し小ぶりのものを皮が若干しなしなになるぐらいまでおいてから食べると,濃コクですね(ただし,皮は剥きにくくなります)。
~きびなご一夜干し~
完全なおつまみです。中火でじっくりと炒めるのがこつです(固くなる寸前)。自分の子どもたちも大好きです(のんべえにならなければよいですが…)。
~サトウキビと黒糖~
冬~春に収穫して,製糖工場で黒糖にします。茎が赤いものは堅いので,生食するなら緑の茎のものを。外の皮をはいでかぶりつくだけです。少し草の味がしますが。。。黒糖は料理に使用するとコクが深くなります。肉じゃがにおすすめです。
~島バナナ~
小さなモンキーバナナです。町の物産館のようなところでときどき売っています。しっかり熟させるととても香り豊かで甘いです。祖父の家にも数本あって毎年送られてくるのを楽しみにしています。
~種子島の言葉~
種子島には種子島弁という独特な方便があります。自分は方便はしゃべれませんが,小さいころから慣れていたせいか,聞く分にはあまり違和感はありません。少しだけ載せておきます(というか自分が思い出せたものですが。。。)。病院でこの言葉を聞くと何となくほっとしますね。
「あばよ!」「あばよーしき!」⇒「えー!」,
「ばきー」⇒「お嫁さん」,
「むじょか。いえ!」⇒「なんと!可愛らしい」,
「がっつい」⇒「本当に」,
「ちゃー,ちゃー,ちゃー」⇒「どれどれ」,
「おーきに」「おーきになぁ~」⇒「ありがとう」,
「いったろー」⇒「行ったよ」,
「あ~いたろー」⇒「よっこらしょ」,
「○○じゃろー」⇒「○○だよ」,
「じゃ,じゃ」⇒「そうそう」,
「わごー」⇒「あんた」
~ガソリンが高い!~
これは楽しむというか,びっくりというか。。。離島ならではの問題ですね。+20円~50円/Lぐらいでしょうか?ただし,島には町以外に信号がほとんどないため,そこまで頻回に給油は必要ありませんが。
なぜか食べ物の話題が多くなってしまいました。
小さいころに色々な経験をさせてもらった種子島ですが,今では次の世代である自分の娘・息子たちが楽しんでいます。最近は宇宙ブームなのか,ロケット打ち上げの際は多くの方々が訪れるそうです。冬は季節風が強くなかなか外に行きにくいですが,夏は色々と遊ぶところもあります。ぜひ,一度訪れてみてください!
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H2ロケットの打ち上げ(右下です)。
見にくいですネ。。。 |
次は,当科期待の新人 中村桃子先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします!
| 次号は,鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 血液・膠原病内科の中村桃子先生のご執筆です。(編集委員会) |

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