随筆・その他

リレー随筆

男の子の育て方 ~花まる学習会に学ぶ~

中央区・中洲支部
(堂園メディカルハウス) 向原 桂香
 産婦人科の永田智美先生からのご指名を受け,麻酔科の向原桂香がバトンを受け継がせていただくこととなりました。永田先生とは小学5年生の学習塾時代からのお付き合いです。今ではオペレーターとその麻酔担当医の関係で楽しくお仕事をしています。
 今回,私がテーマとして選んだ‘花まる学習会’は,お受験塾とは一風変わった学習塾です。

~花まる学習会との出会い~
 私には現在,小学1年生の男児と年中の女児がおります。4人姉妹の中で育った私にとって男の子の生活が不思議で仕方がありませんでした。高いところがあればどこでも登り,そこからジャンプ,筆箱の中の鉛筆が一本ずつなくなっていくかと思えば消しゴムが3つになってかえってくる。男の子ってナンナンダロウ?!そんな毎日を送っていました。
 そんな時,某テレビ番組で花まる学習会の存在を知りました。代表の高濱正伸先生は番組で「母親にとって男の子はカブトムシ!じーーーーっと観察していればいい!!」とおっしゃっていました。

~カブトムシという息子の生態~
 結論からいいますと,「相手は自分とはまったく違う生き物」であり,「さっぱりわからない」し,「自分の女性らしい感覚は共有できない」ことを前提に付き合っていきましょう,ということみたいです。カブトムシが「なんでツノを上げるのか」わかないのと同様,女性からして男性は別の生き物として,想像力を働かせて歩み寄るしかない。ましてや「異性」&「幼児」である息子のやることなんてダブルでわからなくて,イライラしてしまうのは当然で,じーーーーーっと,そのやっていることを観察するところから始まるそうなのです。相手の生態を理解し,こちらの出方を考える。高濱氏の話を聞きながら,私の中でどんどん子育てが科学になっていき,胸が高鳴ったことを覚えています。

~ひとりでメシが食えて頼りになる男に育てる~
 さて,男の子・女の子の特徴を理解してみると,やはり子育ての仕方,声のかけ方を変えていかなければならないことに気づきます。男の子に片付けさせようと思ったら「お母さんが食器洗うのと,○○君が片付けるのとどっちが早いか競争!!」と相手をゲーム感覚にさせたら母の勝利です。そして,花まるが目指す大人像とは‘メシが食える大人’‘モテル大人’です。そのために行っている面白い取り組みがあります。
 それは‘花まる合宿’といい,春・夏・冬休みを使って子どもどうし大自然の中で目いっぱい遊ばせる,というものです。年齢の違う子ども達が同じ部屋で眠ることで,自然と年上の子が下の子を気遣ってあげたり,年下の子は上の子を「あんなことできてカッコいい」と憧れたり。親元を離れ不安でいっぱいだけど頑張って合宿を終え,迎えにきたお母さんの顔を見てホッとする感覚。事実,花まる合宿の案内には「ホームシックの場合でも保護者には連絡しません。合宿をきっかけに精神的に大きく成長してほしい」と書かれています。息子はこれまで3回参加しました。毎回,自信をつけてかえってくるのと,合宿から帰ってきた夜は私の手を握って寝たがる姿をみて,心の成長を実感しています。

~物事を事件化,除菌する風潮~
 皆さんがどう感じているかわかりませんが,私はこの言葉の意味する状況に気持ち悪さを感じています。子どもの喧嘩にすぐ親がはいってきて,菓子折り持って詫びにいく,という状況の話をママ友から何回か聞いたことがあります。「喧嘩?そんなこともある」と言っている親はもしかしたら少数派かもしれません。

~私の子育て教科書~
 何か新しいことをする時,それを先にしたことがある人の話を聞いたり,本を読んで勉強したりするでしょう。私にとって子育ては,わからないことだらけで,「正解を知りたい,教科書が欲しい」と本気で思っていました。子育ては孤独になりがちです。ママ友と話せばいい時もあるし,逆に焦ることもあります。自分の育った環境も思い出しながら,我が子にしてやりたい事を考える日々。今,私は高濱氏の著書をむさぼるように読みながら子育てを科学し実践しようと努力しているところです。
 でも,教科書通りに麻酔をかければ患者さんは眠るけど,子育てはなかなか,すんなりはいかないところです。



私の教科書
鹿児島大学病院 麻酔科 女医会


次号は,鹿児島大学医学部・歯学部附属病院の上川路和人先生のご執筆です。(編集委員会)




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