随筆・その他
ハワイでの結婚式に参加して
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鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 神経科精神科
大毛 葉子
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鹿児島県中央児童相談所 吉田 巌先生からのバトンを受け取りまして,文章が苦手な私が恐れながらリレー随筆を書かせていただきます。私の最大の任務は,精神科以外の先生へバトンを渡すことですので,つたない文章をお許しください。
さてさて本題に入りますが,題名の通り,先日ハワイで「かわいい」弟の結婚式が行われました。そのときの珍道中なら,なんとか文章が書けるのではないかと思い立った次第です。弟の名誉のために,一言付け加えさせていただきますが,「かわいい」と言っても,今年31歳でちゃんとした青年になっておりますが,私にとってはいつまでたってもほっとけない存在です。
そんな愛された弟が,とうとう結婚することになりました。そして,挙式をハワイで挙げると言ってきました。私たち家族はプチパニックになりました。ハワイにいく時間あるかしら?仕事の休みとれるかしら?下手したら,専業主婦の母親しか参加できない?そんな思いを,弟にぶつけてしまう始末。弟は自分の結婚式で,家族がこんなに混乱するなんて思わなかったでしょう。今思うと,そんなプチパニックはこちらの胸にだけ留めておけば良かった‥。ありがたいことに職場の夏休みをずらしてもらえたり,連休を利用したりして,両親も,私たち夫婦も参加できることになりました。
ハワイでは,アロハシャツとムームーといったラフな衣装が正装とのことで,皆,アロハシャツとムームーを揃えることになりました。私の衣装は母親に任せっきりでしたが,夫は沖縄で選んできた,かりゆしをうまく着こなすこととなりました。
渡航当日,両親と私たち夫婦は同じ飛行機で旅立ちました。長距離フライトが初めての父親は,飛行機の中に入るとそわそわと落ち着かなくなりました。「今,日本は◯時だから,ハワイは◯時だな」「なんで電気が暗くなったんだ?」「腰が痛い」などなど大きな声で訴えてきます。ハワイに着いてもパスポートの入った鞄を放置してトイレに行ったり,「携帯がつながらない」と終止携帯電話とにらめっこしたりしており,目が離せません。初日にして,この旅の本当の意味を実感し始めることとなりました。母親は,私と何度か海外旅行したことがあるので,「パスポートが入った鞄は,肌身離さない」などの基本ルールは身につけているものの,地図が苦手で,当てにならない父親の代わりにガイドブックを緊張して握りしめているようでした。義弟の結婚式のために,義理の両親と長時間共にする夫にも気を使いながら,両親のプチ介護も加わる旅が始まりました。
福岡空港を20時頃飛び立ち,9時間ほど飛行機に乗って,ハワイに着いたのは朝の10時頃でした。日本時間としては朝の5時なので,飛行機の中で睡眠がとれていないと,頭がぼーっとしてしまう時差ぼけの状態となります。到着した先で,現地ガイドさんたちは必死に私たちを起こそうと,大きな声でオプショナルツアーや限定販売のおみやげについて説明していましたが,何も考えられません。「このおみやげは,人気で数がありません!お早めに」などと言われると,「じゃあ1つ買っておこうかな」なんて思ってしまうほどで,催眠療法に近いものがあったかもしれません。「洗脳もこうやってやるのだろうか」なんて思いながら,なんとかおみやげ品攻撃をかわして,ホテルまで到着しました。チェックインは昼の3時からしかできないらしいので,荷物だけ預け,「この時点で寝ないようにするのが,数日間ハワイで時差ぼけしないための秘訣」と言われ,必死に歩き回りました。
日本を発つ前に,TV番組で芸人さんが紹介していた「ウルフギャング」というステーキ屋さんをチェックしていたので,まずはそこを訪れることとしました。ネットの情報では,予約が取れないほどの人気で,3時間待ちになることもあるようでした。また,カウンターでお得に軽食を食べられるという「ハッピーアワー」という制度があって,それは皆,予約できないとのことでした。そのハッピーアワーを狙って「ウルフギャング」へ到着すると‥ハッピーアワーは待つけど,「ランチならすぐに入れるよ」との返答でした。「ランチ!」と勢い良く答えて,憧れの店内へ。ハッピーアワーなら食べられない,あの芸人さんも食べていた「Tボーンステーキ」を優越感に浸りながら2人前注文しました。Tボーンで隔たれた,ヒレの部分とサーロインが一緒に出てきて,肉汁とバターが絡みあってうまし!でした。
その後も,ワイキキ周辺を歩き回り,夫が職場の人たちに頼まれていた「パンケーキ粉」を目的にうろうろしておりました。途中で遭遇した「クリームポット」という名前のパンケーキ屋さんへ入り,今度はパンケーキを注文しました。メレンゲのようにふわふわなパンケーキが出てきて,ステーキを食べた後のお腹でもぺろりと食すことができました。
そうこうしているうちに午後になり,我々の長時間不眠状態も限界がやってきて,数時間歩いた道をタクシーで戻ることとし,その途中うとうと。。ホテルへ到着するとチェックイン可能な時間になっており,部屋へ入ると,目の前にハワイの素敵な海…空…よりもベッドが目に入り,結局昼寝をしてしまいました。目が覚めたときには「これで時差ぼけの始まりだな」と覚悟いたしました。眠気すっきりと共に,お腹も空き,両親と私たち夫婦で海辺のレストランへ。陽気なスタッフと共に,初日が終わるのでした…。
2日目は,両親,夫と共に,車を貸し切ってオアフ島巡りでした。「この木なんの木」で有名な大木を見に行ったり,ノーシュアという場所の名物料理「ガーリックシュリンプ」を食べに行ったり,ウミガメビーチとやらに連れて行かれたり,ちゃんと観光しました。夕食は両親たちと分かれて,「ルースズクリス」というステーキ屋を日本からネット予約しており,待ち時間もほとんどなく入店できました。予約してなくても,1時間後には入店できるみたいでした。こちらのお店では,厚みのあるヒレステーキをミディアムレアにしていただき,やわらかいお肉がおいしかったー♥どちらかというと,私はこちらのお店の方が好みでした。
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ダイヤモンドヘッド登山中に見た朝焼け
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ホテルからたまたま見えた虹
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3日目は,やっと弟の結婚式です!私はお嫁さんの両親,兄弟にお会いするのは初めてでしたので,お互いに同じバスに乗り合わせたものの緊張‥。主役の2人を待つために,親族控え室がありましたが,そこでもお互いなんだかぎこちない様子でした。スタッフに促されて,式場の外へ写真を撮りに行くなど,間を埋めるという感じでした。挙式が始まり,やっと久しぶりに弟の姿を見て「痩せたな‥」と体調を心配し,神父様の前で花嫁を待つ弟に家族で,「痩せた。痩せた」と話しかけているところに,新婦さんの入場です。私は小姑の立場なのですが,新婦さんはとてもいい子で,会うとなぜだかいつもこちらが照れてしまう程です。綺麗な新婦さんと,ハワイの海と空がマッチしていてとても素敵でした。主役の2人を見て,自分の結婚式や,当時の新鮮な気持ちを思い出して懐かしくなりました。参加者全員もだんだんエンジンがかかり,写真を撮り合ったり,2次会でも和気あいあいと話すようになり,すっかり打ち解けてしまいました。「親戚が増えたのだな」と実感した瞬間でした。
4日目に夫は帰国し,両親と3人でワイキキ周辺を散策しました。相変わらずまとまりのない家族ですので,買い物したり散歩したり,迷子になったりと大忙しでした。ハワイに来たから「やっぱり海でしょ!」と思い立ち,海に浮き輪で浮きながら,夕日を眺めたりとこれはこれで楽しく過ごしました。
5日目には,弟夫婦と合流して,早朝からダイヤモンドヘッドへ登山しました。散歩コースかと思いきや,頂上近くの階段は急勾配となっており,60代の両親には少しきつかったかもしれません。新婚ほやほやのお嫁さんもいろいろと気を使ってくれて,「いい人でよかった」なんて再認識できた1日でした。
そもそも,なぜハワイで挙式をしたのかと言うと,弟夫婦から両親へハワイ旅行をプレゼントしたかったようで,両親の旅行代はすべて弟夫婦もちでした。まあ,私にとってはプチ介護でしたが,記憶が鮮明なうちに親孝行ができたならばそれでいいかなーとも思っています。親孝行したいときに親はなしとは言いますが,90歳超えると,本人たちが忘れていたりしますからねー。母親は帰国後,何度も撮りためた写真や動画を繰り返し見ており,幸せに浸っております。こんな姿を見れば,「親孝行できたのかな」としみじみ感じました。これからも時々,家族旅行をしてみようかと思います。
写真は,ダイヤモンドヘッド登山中に見た朝焼けと,ホテルからたまたま見えた虹を載せております。縁起よし!
次回は,同期でいつもお世話になっている,産婦人科の永田智美先生へバトンを渡したいと思います。任務完了です。
| 次号は,鹿屋医療センターの永田智美先生のご執筆です。(編集委員会) |

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