編集後記


 先日,霧島市で開業している友人に頼んで国分の夜を案内してもらいました。想像以上に賑やかで,美味しいお店もあるし,雰囲気のよいワインバーやショットバーもあり,最終便ぎりぎりまで堪能させてもらいました。みなさんもチャンスがあれば遠征をしてはいかがでしょうか,きっと面白い発見がありますよ。
 さて,誌上ギャラリーは有馬義孝先生による群生しているミヤマキリシマです。おはら節の最初に登場するこの花に坂本龍馬も魅了されたようで,新婚旅行で訪れた霧島の様子を乙女姉さんに知らせる手紙の中に,おびただしい数のキリシマツツジに感動したという文があるそうです。
 今号は多くの方の挨拶が載っています。最初に登場するのは,鹿児島大学大学院のリハビリテーション医学分野の下堂薗 恵教授と分子ウイルス感染研究分野の池田正徳教授のお二人です。それぞれの分野で鹿児島発の世界的仕事を報告していただける事を祈念します。
 次は執行部のみなさんです。猪鹿倉忠彦会長,池田耕治副会長,今村正人副会長は公益法人化された当会の今後の進むべき道についての抱負を述べておられます。理事では再任された先生以外に新任の下川優子先生,池田敏郎先生,米盛公治先生,復帰された今村厚志先生からの挨拶がありました。先日,読んだ半藤一利と磯田道史の対談「勝ち上がりの条件 軍師・参謀の作法」に組織を成功に導く人材には知識と発想力と洞察力が必要だとありましたので新執行部の発想力,洞察力に大いに期待したいと思います。また,退任された古謝将一郎先生,河野泰子先生,昇 卓夫先生,上原孝一郎先生には在任中は地域医療や医師会の抱える諸問題の解決のためにご尽力してくださった事を感謝しております,今後も理事の経験を生かしてご活躍ください。
 医療トピックスは,自動車運転等に影響を与える薬剤で,皮膚科医が頻用する抗ヒスタミン剤以外にも多くある事を知りました。以前,某メーカーがインペアード・パフォーマンス(気づきにくい能力ダウン)という概念で脳内占拠率と能力低下の関係を啓発していた頃,第1世代の抗ヒスタミン剤内服はウイスキーをシングル3杯飲んだのと同等というデータを見た事があります。抗ヒスタミン剤を使う時には,脳内占拠の少ない第2世代を使用される事をお勧めします。
 学術は,心房細動への挑戦という内科医会総会講演会の要旨と市立病院内科の小森千世佳先生の遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)の症例報告です。講演要旨は門外漢の私にも勉強になりましたし,名前は憶えていても忘れかけていたオスラー病について再確認できました。
 今月の古庄先生の切手は結核・エイズ撲滅とマラリアの3回目でした。西アフリカのギニア湾に浮かぶ火山島からなるサントメ・プリンシペという国がある事をはじめて知りました。また,マラリアの治療薬キニーネを飲み易くするために作られたのがトニックウォーターで,ジンベースで作るジントニックは私の愛飲するカクテルの一つです。ただし,日本ではキニーネが劇薬指定で食品添加を認められないので,温暖化して日本でマラリアが流行しても今のジントニックには予防の役割は果たさないようです。
 そして,最後の挨拶は市泌尿器科医会会長に就任した竹元雅一先生でした。挨拶の中に出てくる皮膚泌尿器科は,東大の皮膚病梅毒講座の土肥慶蔵教授がヨーロッパ留学中に性病(皮膚に主に症状のでる梅毒から尿路感染の淋病まで)対策のために泌尿器科も勉強して,帰国後に皮膚科の中に泌尿器科を創設して誕生した科です。
 紫外線が強い季節になりました。いつまでも健やかで若々しい肌を保つために外出の際には対策をお忘れなく。

                                   (編集委員 島田 辰彦

                                              

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