=== 年頭のあいさつ ===

新 年 の ご 挨 拶
鹿児島市医師会病院 院長

     田畑 峯雄


 あけましておめでとうございます。会員の皆様方にはご家族おそろいで健やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。昨年中は鹿児島市医師会病院に対する多大なご支援を賜り,会長はじめ役員,会員の先生方には感謝申し上げます。私は平成25年3月で定年となる予定でしたが次期院長が決まらず延長となっています。病院の運営が上向きになるよう努めてまいりますのでよろしくお願いします。
 昨年は例年にない早い梅雨明けとともに35℃を超える酷暑が続き,一方では大雨・台風による深刻な災害に見舞われました。また,福島原発では安倍首相のオリンピック招致演説とは裏腹に汚染水の海への流出が問題になっています。参議院選の自民党圧勝による衆参ねじれの解消で与党の独走を許すこととなり,医療・介護・年金などの社会保障制度改革は新たな負担増と給付削減の方針が鮮明になっており,今年度診療報酬改定が注目されます。
 厳しい病院運営の続く中,平成25年3月11日に待望の院内保育施設が新館3階に院内公募で命名された「みつばち保育園」としてオープンし,看護師,薬剤師,技師,事務職員,医師とほぼ全職種の職員が利用し好評です。6月2日には電子カルテシステムが稼働し,当初不具合もありましたが改修され慣れてきているようです。メディカルクラークの電子カルテ活用は外来診察医の負担軽減に貢献しています。
 大学医局の入局者の減少による集約化の名の下に平成25年4月からは呼吸器内科,9月からは小児科の引き上げという事態に陥り,病床稼働率はさらに低下しました。常勤医数はピーク時より15人前後減少しています。前途を嘱望されていた30歳代の外科医2人が厳しい職場環境から離脱し地方の病院へ転職しました。ホームページによる医師募集と人材派遣会社への医師募集をここ数年依頼していました。病院と学会認定施設のホームページをみて5月から国立がんセンターレジデント終了の卒後10年目の外科医が着任してくれました。一流病院で研修を積んだ新外科医の積極的な姿勢はわれわれの刺激になっています。また,医局を退局した50歳代の外科医が当院外科で手術を手がけたいと7月から就職し,鏡視下手術にこだわって頑張っています。
 空床の有効活用として5月に経営コンサルタントの提案を受け,緩和ケア病棟の開設を理事会で了承していただきました。緩和ケア病棟勤務の看護師の希望を取ったところ定員をオーバーする申し込みがあり,関心の高さがうかがわれました。緩和ケアの研修会・勉強会も全職種の職員が自主的に参加しました。8階病棟を緩和ケア病棟として改修工事を行い,8月に運用開始,9月に認可されました。8月23日,27日には「がん治療連携参加医療施設」を対象に研修会を開催し,36施設51人のご参加をいただきました。8月から11月までは約10人の患者で推移しています。11月21日から緩和ケア専任医師の勤務も決まり,さらに平成26年4月には緩和ケア病棟勤務を希望する医師が着任する予定です。病棟の概要といたしましては,個室10室,3人部屋7室の計31床で運用しています。会員施設や在宅でのケア・看取りの困難ながん患者で緩和ケア病棟を希望される場合はご紹介お願い申し上げます。
 リハビリテーションの拡充も行いました。リハ室は手狭な新館4階だけでしたが,新館6階の事務・医療情報・カルテ管理室を改装してリハ室とし,脳血管リハT加算・心大血管リハT加算が取得できるようになりました。急性期リハビリテーションは入院中の日常生活動作低下や褥瘡発生を防止し,在宅復帰を高める効果が指摘され厚労省も注目しています。リハビリ職員のモチベーションも上がり増収が見込まれます。
 独立型の初期新臨床研修医のマッチングがここ数年途切れていましたが,平成26年度は希望者がありました。処遇改善,カリキュラムの見直し,研修医の説明会出席等がやっと実を結びました。大事に育てて次につながるよう努力していきたいと思います。医局の医師派遣引き上げの1つには独立型の研修医不在も一因であったと思われます。東京の研修医のブランド病院で勤務中の医師が当院での外科研修を希望するアプローチもありました。若い医師に研修病院として選択してもらえることは病院の活性化に大事なことです。
 診療科の削減による経常収支の悪化は短期的に修正することは困難ですが,執行部・病院職員も危機感を持って経営改善に取り組んでいます。関東の某医師会病院が経営難から大手の民間病院に経営移譲された契機は大学医局の医師引き上げと24時間救急医療導入による労働条件悪化のため医師・看護師の相次ぐ退職といわれています。当院も医師減少によるマンパワー不足のためブッキングで急患をお断りすることもありますが,ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。医局からの派遣以外の医師の勤務希望もあり明るい材料も見られています。会員の先生方には病院が存続するようご支援・ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。




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