=== 新春随筆 ===

新 年 の ご 挨 拶



鹿児島県栄養士会 会長
              叶内 宏明
 
 新春のお慶びを申し上げます。
 鹿児島県栄養士会は815人(平成25年11月26日現在)の県内の管理栄養士・栄養士で組織する公益社団法人です。本会が目指すところは,「県民の健康の増進を図るため,保健,医療,福祉及び教育の分野において,食生活改善に関する知識の普及,啓発等の事業を行うとともに,会員の職業倫理の向上及び栄養に関する専門的教育,学術・調査研究等による資質の向上に努め,もって県民の健康と福祉の増進に寄与すること」です。この表現は鹿児島県栄養士会定款第3条の内容なので堅苦しい表現ですが,簡潔には「健康増進のための食から達成できる習慣を,栄養の専門家として最新の情報を提供し,食からの健康支援をする。」となります。
 学校,行政,病院,福祉施設など栄養に関連する会員の職場は多岐にわたりますが,なかでも病院勤務者が最も多く会員の66%を占めます。病院以外の職場においても疾病の1次・2次・3次予防のために必要とされる栄養学に基づいて,職務をまっとうしていますが,特に病院においては栄養指導の介入前後の検査数値変化から,栄養指導の成果が分かりやすく現れるため,やりがいのある職場です。栄養指導の活動が積極的に行えるのは,栄養の重要性について理解ある医師の諸先生方のご指導によるものです。この誌上を借りて感謝申し上げます。また,栄養指導においては一定の成果が求められますので,エビデンスに基づく最新の情報を得るため,多くの会員が研修会に参加して絶えず研鑽を積んでおります。食事は生きるために必要な生理行動ですので,多くの人が意識することなく食事を摂っています。しかし,生活習慣病のリスクを下げるための食事の実践が必要です。栄養バランスの重要性に気がつき,行動変容を起こすきっかけの一つは,病院の食事です。
 入院時の病院食は治療成績を良くするために必須であるだけでなく,各患者にとってバランスのとれた食事の見本となります。2013年8月6日に社会保障制度改革国民会議最終報告書が安倍晋三総理大臣に手渡されました。持続可能な社会保障制度を構築することは日本にとって大変大事な課題です。しかし,気になる内容も含まれています。報告書は「自助努力を支える」「負担可能な者は応分の負担を行う」ことが基本となっており,「入院療養における給食給付の自己負担のあり方」が自助努力・応分の負担の対象になっていることです。今後の医療保険の見直しにおいて,入院食自己負担金の増額にとどまらず,入院食が無くなり患者主体で食事を摂る(バランス食摂取の自助努力)ことになれば,大きな問題になることが容易に想像できます。
 管理栄養士・栄養士による栄養指導とセットとなった食事の提供が不可欠であることの成果を示せるように会員一人ひとり活動して参りますので,本年もご指導・ご支援いただきますよう,何とぞ,よろしくお願い申し上げます。


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