2020年の東京オリンピックが決定し,久しぶりに日本中が明るい雰囲気に包まれました。前回の東京オリンピックの時はまだ私は3歳。当時の記憶は全くなく,その後の映像での印象しかありません。早くも想像は7年後に飛び,開催が7月なので,夏休みと称して,バレバレの休診にして,観戦するのはサッカー,柔道,レスリングetc。楽しい夢をみるのも現在を幸せに生きる方法です。
論説と話題では,九州ブロック学校保健・学校医大会,九州学校検診協議会の報告を頂きました。QT延長症候群の突然死予防への取り組み,学校検尿により若年腎不全への移行を阻止している事,若年者の急性心筋梗塞,狭心症の発症に,18歳未満の小児肥満が関係している事などに興味を持ちました。また先天性難聴の遺伝子診断が保険医療として認められ,原因が明らかになった場合,臨床上有益な情報を得ることができ,カウンセリングや今後の再生医療に期待が持てること等,新しい話題が提供されています。学校医として勉強すること,参加することはたくさんありそうです。
医療トピックスでは食物アレルギー患者に対して投与禁忌の薬を挙げてもらいました。小児科では,卵,牛乳アレルギーの子どもが多く,日々の診療で気を使う問題です。きれいにまとめてもらいました。
学術では今村病院および分院より二題の症例報告を頂きました。笠井先生の報告された症例は,理路整然と行われた原因検索でも確定診断がはっきりせず,診断的治療が開始されています。難しい症例は主治医泣かせですが,またそこから学ぶことも多いものです。川上先生の報告例ですが,小児科ではよく目にする夏風邪ですが,高齢者に発症することもあるのですね。これからは,孫を連れてくるおじいちゃん,おばあちゃんにも手洗いを勧めることにします。
随筆・その他ですが,切手が語る医学では,ペニシリン発見のフレミング,化学療法の基礎を築いたエールリッヒの切手を紹介いただきました。iPS細胞の山中教授の切手も,そのうち古庄先生のコレクションになることでしょう。松下先生には,鹿児島ゆかりのウイリアム・ウイルスの若き日の足跡散歩紀行を投稿いただきました。来日前の医学生,研修医時代に過ごしたウイルスゆかりの地を訪問され,その時代に思いを馳せ,彼を取り巻く人々や,その時代の出来事とともに,詳しく紹介していただきました。若き日のウイルスの伝記を読んだ気になりました。ありがとうございました。上村先生には南薩のパワースポットである釜蓋神社のお話を書いていただきました。25年ほど前,国立指宿病院勤務時代に何度か国道225号線を枕崎までドライブしたことがありましたが,寄ったのはいせえび荘だけで,全くパワースポットに気づかずに通り過ぎていました。その頃パワーを頂いていれば,今頃出世していたかもと残念です。
各種部会だよりでは,武元先生より鹿児島市内科医会の症例検討会の報告を頂きました。いずれの症例も医師会病院入院例で,病理診断まで適切になされており,その上で確定診断に至っています。病診連携が今後も重要であり,お互いに意見交換が出来るのも,医師会病院ならではと思います。今後も患者紹介,症例検討会へのご参加よろしくお願いします。
二宮先生,八重倉先生には鹿児島市学校腎臓検診,糖尿検診の報告を頂きました。いずれの検診でも早期発見,早期治療へ繋がっており,検診事業の有用性が再認識されました。
それにしても今年の夏は例年にない猛暑でした。いつもならたくさん採れる畑の生姜も,今年は全くの不作でやはり異常気象なのでしょうか。このままでは,2020年の夏の東京オリンピックは熱中症との戦いになりそうです。7年間で地球温暖化を解決するのは難しいでしょうが,オリンピックを期に,日本が再生可能エネルギー先進国になってもらいたいと切に願います。
(編集委員 伊地知 修)

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