=== 随筆・その他 ===

今年の9月30日の出来事



南区・谷山支部
(安達診療所)     安達  寛

 台風の中心から逸れたとはいえ,強風域内でかなり強い風の日であった。
 「友の遠方より来るまた楽しからずや」
 昭和26年,小6の時ルース台風があった。河口で鰹節製造業を営んでいた施設が被害を受け,隣家のサラリーマンの鮫島家も同様に家財が水害を受けた。3ヵ月後,大阪に引越して行かれた。二男の正君は僕より3歳下で,活発で,メンコやビー玉遊びが当時盛んで,彼の得意な遊びであり,よく挑戦を受けた。お互いにまだ使用前の汚れていないメンコを数枚もっているためであった。年下とはいえ,負けることも度々あった。彼は,近年になって,是非,生れ育った坊津に一度行っておきたいと思うようになり,仕事が一段落した今年計らずも,9月27日,坊津入りして,坊泊,栗野,清原,久志周辺を3日間で観光し,十五夜の日に60年振りに再会の法縁を得た。お互いに音信不通で,お互いに当時の夢を幾度か見たことはあるが,夫々家庭をもつ身の生活を営んでおる状態であった。十五夜は,幸い雲間からあらわれる月光の時間も長く,悠久なる時の一時を思い出話や,十五夜を祝う人間の心を祝福するのでした。十五夜を祝う心は人間の仏心から出てくるのであって,また人が死んで死後の幸せを願い祈る心も仏心のあらわれであります。彼の今回の坊泊行きも仏心のあらわれであり,坊泊の良さを大阪での生活に生かされるのを確信しております。これが人間のつきあいであり,お互いに尊敬の念であります。後日,彼からの便りをいただきました。お互い会えた慶びの一端をご披露します。

前 略

 先日はわざわざ鹿児島よりおいでいただきありがとうございました。60年ぶりにお会い出来たことを大変嬉しく思います。子供時代に過ごした思い出話や,十五夜祭にご一緒していただき,夢の様な時間を過ごさせていただき,その上お心遣いまでしていただき感謝しております。これからも皆様のご健康をお祈り申し上げますと共に大阪の方においでの時はお立ち寄りくださいますように願います。まずお礼を申し上げます。

                                  草々




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