中国には「上に政策あれば下に対策あり」という言葉があるのだと留学中に中国人の友人から教えてもらいましたが,懸念された計画停電の実施が現在まで一度も実施されることなく恙無く過ごせているのは,みんなの節電対策のお陰かもしれません。
論説と話題には公益社団法人に移行して初の代議員会の報告がされています。公益法人での唯一の議決機関となるため,今まで以上に重要な会であるという気概の感じられる活発な議論がなされましたので,別冊の議事録も是非お読みください。その際にも医師会病院の経営についての質疑がありました。今号には上半期の経営状況の各種報告が載っているばかりか,論説と話題に昇担当理事からの報告が,そして会長雑感では鹿島会長も病院の現状と将来への懸念を書かれた上で,会員に病院への紹介を増やすようにお願いをしておられます。病院の問題は本会の将来を左右する大きな懸念材料となりかねず,会館建設問題のように結論を先延ばしすることなく,早急な検討と対策が切に願われます。
円滑な医師会活動には事務局をはじめとして臨床検査センター,病院に勤務するスタッフの協力は必要不可欠です。
6年3ヵ月の長い期間にわたり事務方トップとして3代にわたる会長の裏方業務にも携わられた馬原事務局長,医師会病院創設期から看護部の充実にご尽力いただいた大坪看護部長,本当にありがとうございました,会員一同,感謝しております。また,東新事務局長,船出したばかりの公益法人をよろしくお願いします。
緑陰銷夏号の名物「緑陰随筆特集」に今年は23人もの方からの投稿をいただきました,ありがとうございます。入佐先生からは例年通りの涼しげな写真,中村先生からは貴重な天体ショーの記録写真を届けていただきましたし,随筆は常連の先生たちからの投稿,前回投稿後の活動についての再報告,各界からの通常の医報では知ることの出来ない業界話や学会報告,楽しい旅行記,趣味の一端の披露などがあり,大変盛り沢山で読み応えあるものになりました。
私の印象に残ったのは鹿児島テレビの荒田静彦社長の「65歳の抵抗」でした。私も3年前に4回目の年男記念エッセーを本医報に投稿する時に石川達三の「48歳の抵抗」を読みましたが,当世の年齢感覚とはマッチしないことを同じように感じましたし,最近はまっているのが同じウォーキングだからです。文中にもあるように季節を感じることも出来ますし,何よりダイエット効果もあり,この夏,30年振りにウエスト82センチのパンツを再び穿けるようになりました。また,テレビの対談で小椋 佳さんもウォーキングに熱中していて,歩いていると頭に浮かぶアイデアが整理できて,まるで歩きながら座禅をしているような気分になり,歩禅という造語を話しておられました。私も編集後記を書くために,この数日は日課のマリンポート先端までの往復中に構想を練ってきたのですが,出来はいかがでしょうか。
くすり一口メモではある光学異性体を分離して開発された新薬の中で,皮膚科医にとって一番の朗報はレボセチリジンでした。以前からセチリジンは効くけど眠気があるという評価でしたが,光学異性体を分離して開発されたレボセチリジンは脳内移行性がさらに低くなって,鎮静性と効果との解離がさらに広がり使い勝手がよくなりました。参考ながら蕁麻疹の治療ガイドラインでは,第2世代の抗ヒスタミン剤通常量で効かない場合,本邦は倍量まで,ヨーロッパは4倍量までの増量を推奨しています。
まだまだ暑い夏は続きます,いろいろな対策をして元気で楽しく乗り切りましょう。ちなみに私の対策は夕食時のハイボール2杯に11時就寝,5時起き,1時間の読書後のウォーキングです。
(編集委員 島田 辰彦)

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