編集後記


 2012年に入り,1/17 阪神・淡路大震災から17年目を迎え,再度東日本大震災のこれからの復興への大変さ,大切さを再認識したものです。
 さて,今回は600号記念特集として,鹿島市医師会長,池田県医師会長はじめ,歴代編集委員長の先生方よりご寄稿いただきありがとうございました。創刊号が昭和37年3月ということで,私もまだこの世に生を受けておらず,歴史と伝統を感じます。それぞれの時代の編集委員長の先生方をはじめ,発刊に携わった方々のご苦労と使命感,熱い思いを感じました。現編集委員として参加させていただけることに感謝し,貢献できればと思います。
 誌上ギャラリーは最近特に噴火の多い桜島の噴煙と夕陽を浴びた鹿児島市。都会と自然の調和のとれた風景は美しいものです。大勝洋祐先生,1年間よろしくお願いいたします。また,特集では1年間ご寄稿いただいた山口淳正先生の誌上ギャラリー作品を一堂に掲載させていただきました。その瞬間しか出会えないような四季折々の自然の美しさに心うたれ,和み,感動を与えていただきました。ありがとうございました。
 論説と話題では,昨年受賞された先生方のご紹介,鹿児島市医師会会員祝賀会のご報告をさせていただきました。お忙しい日常診療の傍ら,社会貢献されたご功績の賜と存じます。おめでとうございます。
 医療トピックスのくすり一口メモでは抗菌薬関連下痢症の代表的なC.difficile関連腸炎の治療について,バンコマイシン,特にメトロニダゾールを紹介していただきました。勉強不足で,トリコモナス膣炎の治療薬という知識しかなく勉強になりました。
 学術はまず,「慢性便秘症の診断と治療について」便秘症の原因,病態別分類,検査,治療についてです。通常の診療でよく遭遇する疾患ですが,検査も豊富で,原因や病態に応じた適切な治療の重要性を再認識しました。次に「アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎について」。眼球突出するような副鼻腔腫瘍を疑わせる所見を呈することもあり,患者さん自身もずいぶん心配されたのではないかと思います。術後は眼球圧迫も改善したとのことで,今後念頭に入れておく疾患と考えられ,日常診療に役立てたいと思います。
 古庄先生の「切手が語る医学」では社会主義国で,医療制度が充実しているといわれるキューバの革命記念シートです。思わず,医療の切手ではなく,カストロやチェ・ゲバラに目がいってしまいます。次に鮫島先生の「肛門疾患と温泉」です。温泉が痔核発作の鎮痛や貧血,創面肉芽形成促進,飲用で便通調整の効果があるとのこと。温泉王国鹿児島に住んでいるので,長い期間悩んでいる方々に紹介したいと思います。また,リレー随筆ではアイルランドの自動車事情が書かれ,日本車を個人輸入されたこと,一般道路の制限速度に驚かされたことなど楽しく読ませていただきました。
 さて,日本医師会女性医師支援センター事業九州ブロック会議では各県の取り組みがよくわかりました。女性医師が安心して働くためにも保育サービス,病児保育など取り組まなければならない問題のように感じました。
 会長雑感は国民皆保険制度達成50周年に際し,ランセットの特集をあげていただきました。私も1度読んでみたいと思います。また,鹿市医郷壇は,投句者が少なくなってきているようです。新たにご投句いただける先生方をお待ちしております。
 経済,震災などまだまだ不安の多い日々ですが,今年はロンドンオリンピックの開催もあり,明るいニュースが私達に希望や活力を与えてくれればと願います。
                                    (編集委員 中村佐知子
                                                                                                        

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