=== 新春随筆 ===
年 男 雑 感 |
(S15年生)
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北区・上町支部
(今給黎総合病院)
今給黎尚典
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| 写真 1 筆者と診療室の風景 |
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| 写真 2 つなげよう!命のリレー 挨拶 |
昭和15年3月20日生まれで今年は年男になる。還暦の時も市医報に寄稿したので,12年を経たことになる。当時は“60歳はまだまだ青二才だよ”という思いがあり,年齢を気にする気持ちは無かったと思う。
今回,年男ということでは無くて,70代になると自分も高齢社会の一員であるということを自覚させられる日々でもある。後期高齢者入りも間近である。一見,元気であるし仕事もしている。しかし,現状の活動に納得出来ない自分がいることも事実である(写真1)。
平成18年に,腰痛・両下肢痛で腰部脊柱管狭窄の診断で,第2・3・4腰椎の3椎間拡大術を受けた。患者さんには自分の一番得意手術を人にしてもらったと吹聴している。
鈴木俊一都知事(当時)が選挙戦で若さをアピールするため,“股わり”の体操の写真を掲載した雑誌を59歳の時に見て,腰痛改善のために真向法体操を開始し,“股わり”を毎朝12年間行っている。椎弓切除と“股わり”体操のおかげで(?) 腰痛・下肢痛も無く歩いているが,両下肢が重い。
高齢者を体験するため,両下肢に“重り”をつけて歩くというが,とにかく両下肢が重い。学生時代は山岳部で11月の富士登山や北アルプスを歩き回っていた。6年前に,40数年振りに息子等と白馬岳登山をした。とても現状には不満である。
今給黎総合病院はがん拠点病院を申請中である。平成23年9月17日・18日の連休に,NPO法人がんサポートかごしまの主催で「つなげよう!命のリレー2011」という呼びかけで,北埠頭広場をall nightで歩く行事に当院も50数人が参加し,癌患者さんと共に歩いた。一緒に歩くことで心がつながり,癌患者さんを励ますことになるのだと実感した(写真2)。
絵本作家の佐野洋子さん(「100万回生きたネコ」という絵本(写真3)がベストセラーになった)は,平成16年に乳癌に罹患し,平成22年に71歳で,全身転移で死亡した闘病記「死ぬ気まんまん」を著した(写真4)。これくらい豪快に死ねるのはすばらしいという書評を読んで私も購入した。
作家の津村節子さんは,ご主人で作家の吉村 昭さんが舌癌に膵癌を併発し,78歳で死亡した看病記を「紅梅」という本(写真5)に書き,作家の女房は最低の奥さんだったと,十分看病出来なかったことを嘆いている。
最近の50〜70代の著名人(歌手・俳優・その他)の死亡は癌死が多い。70歳代は元気ではあるが,「老い」とか 「死」とか考える年代に入ったのであろうと思う。
人が死を前にした時にその死を納得して受け入れられるか?今までに一生懸命生きた人であれば,十分に仕事した人であれば,死を受け入れることが出来るのだと人は言う。
70代を迎える人は,大方は仕事をして,子育てをして,子供は独立し,孫が生まれ,孫と遊ぶ年代になる。男の務めとしては,ほぼ終わっている人が多いと思う。これからは,死を十分受け入れることが出来るように,その多くは無い残された日々を一生懸命に頑張ることにあるのだろう。
頼りは,サミュエル・ウルマンの「年を重ねただけでは人は老いない。理想を失う時,人は初めて老いる。人は自信とともに若く,恐怖とともに老いる」でしょうか?
残りの人生を,健康に有意義に暮したい。
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| 写真 3 100万回生きたねこ |
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写真 4 死ぬ気まんまん |
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写真 5 紅 梅 |

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