天
上町支部 吉野なでしこ
恥ねこっ少とん見舞い丁寧な御礼
(げんねこっ ちっとんみめい 丁寧なごれ)
(唱)こげなこっなあせんかったこて
(唱)(こげなこっなあ せんかったこて)
病気や災難を見舞う時には、普通くだものや菓子折を持参し、場合によっては見舞金を持って行ったりします。
見舞いは、相手のことを思っての、わずかの心遣いなのですが、そのお返しが上等で、誠に義理堅い相手に対して、恐縮してしまうことがあるものです。その心の動きが、素直に表現されています。
地
城山古狸庵
この子がち丁寧いされちょいお犬様
(この子がち 丁寧いされちょい おいんさあ)
(唱)過保護じゃ無かち思もこっもあっ
(唱)(過保護じゃねかち おもこっもあっ)
ペットとして犬や猫を飼っている人も多く、特に犬は、道や公園を飼主と散歩している姿をよく見かけます。
残念ながら愛猫という言葉はないですが、愛犬と言われるように、飼主にとっては、わが子同然の自慢の犬でもあります。こんなふうに可愛がってもらえれば、犬もきっと幸せだろうと思います。
人
清滝支部 鮫島爺児医
平素ちゃせん丁寧な挨拶ちな用心しっ
(かねちゃせん 丁寧なえさちな ゆじんしっ)
(唱)一時かじっと観察じゃろか
(唱)(いっとかじっと かんさっじゃろか)
社会生活での人と人との付き合い方は様々ですが、その中で挨拶は、コミュニケーションをはかる上で、欠かすことのできない基本的なことです。
付き合いの程度によって、挨拶の仕方も違ってきますが、いつもとは違う馬鹿丁寧な挨拶に、「何かあるかも」と、魂胆が見え隠れしたのかもしれません。
五客一席 紫南支部 紫原ぢごろ
丁寧ね挨拶受話器い向こっ頭下げ
(てねえさっ 受話器いむこっ びんたさげ)
(唱)相手い伝わろ誠心誠意
(唱)(えていつたわろ 誠心誠意)
五客二席 上町支部 吉野なでしこ
苦労せっ丁寧ね育てたて鼻ピアス
(苦労せっ てね育てたて 鼻ピアス)
(唱)親いな理解や到底出来じ
(唱)(親いなりかや 到底でけじ)
五客三席 城山古狸庵
選挙カー案山子い丁寧な挨拶つしっ
(選挙カー おどしい丁寧な えさつしっ)
(唱)頑張れち思もが手あ振やならじ
(唱)(きばれちおもが 手あふやならじ)
五客四席 清滝支部 鮫島爺児医
年賀状下手でん丁寧な手書が良
(年賀状 下手でん丁寧な てがっがえ)
(唱)一字一句を噛ん締めっ読ん
(唱)(一字一句を かんしめっよん)
五客五席 霧島 木林
新居住め丁寧い使ことは初めだけ
(しんきょずめ 丁寧いつことは はいめだけ)
(唱)今日も雑巾が忙す働れっ
(唱)(今日もざふっが せわすはたれっ)
秀 逸
紫南支部 紫原ぢごろ
新け車一時か毎日丁寧ね磨げっ
(にけくいま いっとかめにっ てねみげっ)
丁寧なこっ年賀状どま二枚来っ
(丁寧なこっ 年賀状どま にんめきっ)
丁寧過ぎっ挨拶が諄どし寄い付かじ
(丁寧過ぎっ えさっがくどし よいつかじ)
清滝支部 鮫島爺児医
丁寧ねしてんお礼も言わじ頭髪は抜けっ
(てねしてん お礼もゆわじ けはぬけっ)
丁寧ね洗るた車に降灰滅茶苦茶
(てねあるた くいまにどかべ ちんがらっ)
揉め事も丁寧な挨拶で円満る納っ
(もめごっも 丁寧なえさっで まるいたっ)
城山古狸庵
丁寧なこっ先生様ち宛名書
(丁寧なこっ 先生様ち あてながっ)
丁寧ねすれば芋も大根も良う育っ
(てねすれば 芋もでこんも ゆうそだっ)
霧島 木林
家電品丁寧い扱こえば長ご持てっ
(家電品 丁寧いつこえば なごもてっ)
丁寧な口調平生言わんで舌足らし
(丁寧なくちょ かねっゆわんで したたらし)
伊敷支部 矢上 垂穗
丁寧ね語いそん顔見れば嘘んごっ
(てねかたい そんつら見れば 嘘んごっ)
上町支部 吉野なでしこ
年寄の丁寧な挨拶ちほろっなっ
(としよいの 丁寧なあいさち ほろっなっ)
作句教室
課題吟がある一方で、課題を与えず、日常の事象を促えて、作者の思うこと、感じることを自由に詠む句を、「雑吟」とか「自由吟」と呼んでいます。
薩摩郷句誌「渋柿」の中から、その雑吟をいくつか紹介します。
俺が道一本あれば差支あ無し
(おいがみっ 一本あれば つけあのし)
中村 雲海
小め庭いなま大て石すば座らせっ
(こめ庭い なまふていすば 座らせっ)
津留見一徹
反抗期母親を家来のごっ吐えっ
(反抗期 はほを家来のごっ かえっ)
樋口 一風
長生くばすごっあったい無かったい
(ながいくば すごっあったい ねかったい)
野村 三味
所帯ん繰や任せちょいくせ多け文句
(しょてんくや まかせちょいくせ うけ文句)
満留 ぐみ
もう一杯飲まんな女房けな抗こきらじ
(もういっぺ のまんなかけな むこきらじ)
吉岡 道場
女房が病ん一人じゃ焼酎ん味がせじ
(かかがやん ひといじゃしょちゅん あっがせじ)
井手上政映
このように、それぞれの作者が、その時の思いを巧みに詠んでおられますが、この雑吟こそが作句の原点ですので、皆さんも日常の見たり聞いたりしたことや思うことを、句に詠んでほしいです。
薩摩郷句鑑賞 48
夫婦喧嘩せん時か実家はけ忘れっ
(みと喧嘩 せんとかさとは け忘れっ)
久保山三蔵塚
「音沙汰がない時は、夫婦の間がうまくいっている証拠」などと言うけれども、まさにその通りの句である。
夫婦喧嘩でもすると、実家に泣いて帰ったり、電話をして、愚痴をこぼしたりするのだけれども、夫婦円満、天下泰平なときには、ついつい実家の方は忘れてしまいがちなのである。親にしてみれば、その方が嬉しいことではあるけれども、そこは親心で、帰ってもこないし、電話もないと、なんとなくさびしいものである。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎7 号
題 吟 「 愛嬌(あいきょ)」
締 切 平成23年6月6日(月) ◎8 号
題 吟 「 義理(ぎい)」
締 切 平成23年7月5日(火)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:ihou@city.kagoshima.med.or.jp
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