編集後記

 3月11日に発生した東日本大震災から約1カ月。地震,津波,福島原発事故と未曾有の災害を目の当たりにして,暗く自粛ムードになっていた日本。1カ月という時間が経ち,被災から復興の時期になり,「がんばろう日本」を合言葉に日本が一つになろうとしています。一時的な援助ではなく,ここ数年はみんなで力を合わせて,継続的な援助,協力が必要なのでしょう。
 「誌上ギャラリー」は棚田夕照。幻想的な風景に心和まされました。「挨拶」では古川龍彦先生に教授就任のご挨拶をいただきました。日本人の多くがかかる癌の解明,治療のため,分子腫瘍学の基礎的な研究の成果を期待しております。「論説と話題」では,臨床検査センター新体制についての総括と平成23年度鹿児島市医師会事業計画を載せていただきました。ご参照いただき,会員の方々の声をお聞かせください。「医療トピックス」では医師会病院にもIVR-CT導入により,心臓,肝臓の診断,治療がより迅速に的確に行われるとのことです。くすり一口メモは利尿薬の比較対照がわかりやすく表にされ,活用されやすいです。検査一口メモは院内感染として注意が必要な多剤耐性アシネトバクター感染について取り上げていただき,接触感染予防を十分する必要性を提示していただきました。「学術」では3施設より提供していただきました。まず,私達がよく遭遇する発熱疾患について抗菌剤使用の有無,熱源の検索についてわかりやすく解説していただき,参考にさせていただきます。次に肝右葉大型HCCに腹腔鏡補助下右葉切除の症例提示をしていただきました。12×11×9cmもの大きい腫瘍を開胸することなく,腹腔鏡補助下切除され,術後回復も良好だったとのこと。また,NASHの発癌率11.3%/5年と低率ながらも生活習慣病患者のHCCスクリーニングの重要性も提示していただきました。3番目に口唇口蓋裂治療のアプローチということで,平成23年4月1日より集学的治療が行われるようになり,実際の手術症例も提示していただき,わかりやすく解説していただきました。私達産婦人科医としては遭遇しやすい疾患であり,集学的に長期的フォローしていただければ大変ありがたく,ご家族の不安もより少なくなるものと思われます。
 「随筆・その他」は古庄先生の切手が語る医学で世界各国の赤十字切手を紹介してくださいました。崔先生の旅行記は風景,状況を想像し,楽しく読ませていただきました。松下先生のドレスデン・ドイツ衛生博物館はユニークで,機会があれば行ってみたいと思いました。鮫島先生の80年前の鹿児島はそれぞれの土地の現在と比較して,「あ〜そうだったんだぁ」といつの間にか声が出ていました。またいろいろご紹介いただきたいと思います。リレー随筆では福田先生のワインの知識に感動いたしました。その時その時のおいしい食事とワインをいただけ,楽しそうですね。平成23年度に入り,支部長交代の時期でそれぞれご挨拶をいただきました。平成22年度の支部長の先生方お疲れさまでした。新支部長の先生方宜しくお願いします。ちなみに私も支部長になり不安ですが,頑張りたいと思います。
 「会長雑感」でも東日本大震災の医療だけではなく,国をあげての取り組みが望まれることをお話していただきました。さて,新年度となり,医師会内も新規採用,異動があり,新しい風が吹くのでしょうか。
 今年の桜も一気に満開となり,みんなを楽しませ,散りました。今年の桜は私にとっても忘れられないものとなりましたが,東日本震災地の桜は今咲き始め,みなさんに希望を与えているようです。挫けず,新しい年度を明るく,元気に力を合わせて頑張りましょう。

                                    (編集委員 中村佐知子


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