天
上町支部 吉野なでしこ
衝動買袖も通さじ損になっ
(しょうどうげ 袖もとおさじ 損になっ)
(唱)悪り癖じゃっでまた捨せ金
(唱)(わり癖じゃっで またうっせぜん)
衝動買いは、女性特有のものなのかもしれません。マネキンが着る素敵な服と出合い、私の為の服だと自己暗示をかけたように、買ってしまうのでしょう。
しかし、買ったものの何故か心変わりで、気に入らずに一度も着ない服もあって、損な買物をしたものだと、後悔しているのでしょう。
地
清滝支部 鮫島爺児医
損してん原因が分かれば授業料
(損してん もとが分かれば 授業料)
(唱)欲かほどほどい言うこっじゃろか
(唱)(よかほどほどい ちゅうこっじゃろか)
複雑な世の中の日常では、誰もが皆、目に見える金銭面での不利益・利益や、不利・有利といった感情面での損と得を、身をもって経験しています。
好んで損をする人はいないでしょうが、損をしたことを教訓にして、無駄な損を繰り返さないことが肝心で、授業料となった損は、今後にきっと役立つでしょう。
人
霧島 木林
損じゃいが買わにゃ当たらん宝くじ
(損じゃいが こわにゃ当たらん 宝くじ)
(唱)いっも九割や寄付しでござす
(唱)(いっもきゅうわや 寄付しでござす)
少ない投資で、一攫千金のチャンスがある宝くじは、人々の欲を掻き立て、大きく夢を膨らませてくれます。
しかし現実は、せっせと買っても、当たる筈がないぐらいの確率で損ばかりです。でも、買わないことには当たるものも当たらないので、懲りずに買い続ける人も多いのでしょう。
五客一席 紫南支部 紫原ぢごろ
損してん魂の入らん株投資
(損してん たましのいらん かっ投資)
(唱)儲けた味が忘れられんじ
(唱)(儲けたあっが 忘れられんじ)
五客二席 清滝支部 鮫島爺児医
宝くじ損な覚悟で夢を買っ
(宝くじ 損なかっごで 夢をこっ)
(唱)当たっ時ずい続っ挑戦
(唱)(あたっとっずい つづっ挑戦)
五客三席 上町支部 吉野なでしこ
人気株嫁っもならじえらか損
(人気株 かせっもならじ えらか損)
(唱)世の中そげん思も如ちゃ行かじ
(唱)(世の中そげん おもごちゃいかじ)
五客四席 紫南支部 紫原ぢごろ
青か目も踊らな損ち阿波踊
(あおか目も 踊らな損ち 阿波踊)
(唱)楽しリズムい体が動っ
(唱)(たのしリズムい 体がいごっ)
五客五席 霧島 木林
初株は下がい一方で損仕放題
(初株は さがいいっぽで 損しほで)
(唱)そいも勉強でこいかあじゃんそ
(唱)(そいもべんきょで こいかあじゃんそ)
秀 逸
城山古狸庵
損もすりゃ得もあっがち婆ん教え
(損もすりゃ 得もあっがち ばん教え)
損得を親娘して言て嫁っださじ
(損得を おやこしてゆて いっださじ)
武岡 志郎
損得の算用は合わんボランティア
(そんとっの さんにょはおわん ボランティア)
義理張いの損得か世代ゆ継っ続っ
(ぎいはいの そんとかせだゆ ちっ続っ)
紫南支部 紫原ぢごろ
子の為にゃ損得も無か親愛情
(子の為にゃ そんとっもなか おやぼんの)
今日もまた損ぬ覚悟でパチンコい
(今日もまた 損ぬかっごで パチンコい)
伊敷支部 矢上 垂穗
女房や子も厳す仕分けりゃ含み損
(かかや子も きびす仕分けりゃ 含み損)
清滝支部 鮫島爺児医
株屋さん損はさせんち誘い上手
(株屋さん 損はさせんち 誘いじょし)
作句教室
鹿市医郷壇では、課題を与えて、その課題に関係する事象を句に詠んでいます。
このように、課題が与えられて詠まれた作品は、「課題吟」と呼ばれています。
今月号の課題は「損」でしたが、詠まれた作品の中には、損と得の両方のことばが句の中に入っているものもありました。
課題吟の作句では、「課題に忠実に」というのが基本であり、また課題を強調するなど、あくまでもその課題が主体でなければなりません。
例えば、「大(ふ)て」「好(す)っ」「広(ひ)れ」「外(そと)」「上手(じょし)」などの課題の場合は、反対語の「小(こ)め」「嫌(き)れ」「狭(せ)べ」「内(うっ)」「下手(へた)」がありますが、これらのことばを句の中で対比したり、並べたりすると、課題が強調されないということになりますので、作句では留意する点であります。
薩摩郷句鑑賞 47
冗談とな知たじ香典どん包ん来っ
(わやっとな 知たじひでどん 包ん来っ)
須納瀬矢風
罪のない嘘をついて人をかついだり、また、かつがれたりする程度なら、エイプリルフールもほほえましいけれど、度が過ぎると困ったことになる。
何十人前もの寿司の注文を届けたら、その家では全く覚えのないことだったという話、宴会の申込みを受けたので準備して待っていたら、一人も来なかったという話を聞いたことがある。
この句も、誰か知人が亡くなったという悪質な嘘にのせられたことを詠んだもの。
助手席の肥満い左や見い難し
(じょしゅせっの だんべいひだや みいにくし)
堂園 三洋
助手席に太った人を乗せたところが、どうも左側の確認がしにくくなったというのだから、ずいぶん「こえだんべどん」なのだろう。
噴き出したくなる句だが、笑ってなんかおれない句である。新学期早々で、道路に慣れない園児や、小学校の新入児もいることだし、事故を起こさないうちに、後ろの座席に移ってもらうのが得策。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎6 号
題 吟 「 味(あっ)」
締 切 平成23年5月6日(金) ◎7 号
題 吟 「 愛嬌(あいきょ)」
締 切 平成23年6月6日(月)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
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