編集後記

 とても寒い日が続いておりますが,会員の先生方も日々ご活躍のことと思います。最近は本当に自然というものを改めて感じる場面に多く遭遇します。昨年は全国各地で猛暑が報告されていたわけですが,今年の冬は寒い日は鹿児島でも当たり前に雪が降り,私も大晦日は診療所を切り上げて帰るつもりが降雪のため帰宅不能,しぶしぶ診療所で年を越す羽目になってしまいました。今冬観測史上12月としては,鹿児島では最高の積雪だったそうです。さらに,霧島新燃岳が実に52年ぶりに大噴火しました。新燃岳は火山列島日本を象徴するといわれている中央構造線なるものに位置しており,なんとフォッサマグナのある浅間山,さらには富士山とつながっているそうです。西日本が位置するフィリピン海プレートは近年不安定な状態となっており,プレート東縁の南硫黄島近海での海底火山が噴火し,プレート南縁にあるインドネシアのムラピ火山も大噴火するなど,それを示唆する現象が報告されています。何かしら大きな災害の前兆ではないか不安になってきます。“日本沈没”の映画を彷彿するのは,私だけでしょうか。単に考えすぎの取り越し苦労であることを切に願います。
 論説と話題のコーナー,本号は桜島防災訓練の報告です。奇しくも新燃岳の噴火が始まり,自然災害が懸念されます。日頃から防災訓練などを通して有事に備えたいところです。これを機に自然災害について熱く語ってみてはどうでしょうか。
 誌上ギャラリーから,山口先生より“黎明の高原”と題して,実に幻想的な朝焼けのメタセコイアの写真が届きました。写真撮影のために日の出前30分にはスタンバイして撮影に臨むそうです。美しい光景をみなさんも是非鑑賞してみてください。
 学術のコーナーでは,卵巣癌の治療で使用した抗がん剤により引き起こされたアナフィラキシーショックで死亡した症例の報告がなされています。近年タキサン系の抗がん剤を使用したレジメンを目にする機会が増えており,どの分野の先生方も気になるところであると思います。初回ではなくて2回目に重篤な発作を起こしており,感作後に重篤な副作用が起こり得ることをこの症例から学ばなくてはならないものと感じました。同じタキサン系でも薬剤の変更によりアレルギーを避けられる可能性もあるそうです。非常に興味深く拝読させていただきました。 
 随筆・その他のコーナーです。切手が語る医学では,古庄先生よりペルシアの知識人アヴィケンナのご紹介をしていただいています。随筆では,崔先生よりユーラシア大陸旅行のエピソードを,鮫島先生より“小さい思い出”と題して昭和初期の鹿児島での思い出を,西橋先生よりご苦労された青年時代のお話を,村岡先生からは釣りにまつわるお父さんとの楽しい思い出を,それぞれいただいています。ぜひご一読ください。
 各種報告では,内科医会より糖尿病,若年者心疾患対策協議会より心臓検診について,鹿児島市医師会小児生活習慣病対策委員会より詳細な検診報告がなされています。ご確認をお願いします。
 鹿市医郷壇のコーナー,お題は“友達”です。今回もまたたくさんのご投稿をいただきました。人それぞれ感じ方の違いってあるのですね。楽しく拝読させていただきました。ご投稿いただいた先生方,ありがとうございました。
 先月号より,会長の鹿島先生より毎号会長雑感をいただくこととなりました。会長ならではのご苦労があるものと察します。ぜひご一読いただきたいと思います。
 冒頭でも触れさせていただきましたが,昨今の異常気象,自然災害は対岸の火事ではなくなっています。日頃から準備だけは怠らずしておきたいものです。“備えあれば,憂いなし”ですね。以上です。
                   
                                    (編集委員 竹元 雅一

         


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