あけましておめでとうございます。最近の正月はかなり簡素化されて,新鮮でうきうきした喜びは薄くなってきてはいますが,やはり新年に向かって新たな希望と躍進への期待が自然と沸き立ってくるようです。会員の皆さまもご家族,職員ともどもよいお年をお迎えのことと存じます。
私たち昨年4月に出発した新しい市医師会執行部も,はや任期の半ばになってまいりました。出発に当たっても申し上げましたが,今回の執行部は鹿児島市医師会の長い歴史のなかでもかなり重要な任務をおおせつかっております。まずは医師会看護専門学校の閉校です。閉鎖の方向が正式に決定されたのは平成17年で,学年進行によって最後の卒業を今春,送り出すことになっての閉校です。長年,会員の施設に多くの卒業生を送って,地域医療に貢献してきた看護学校です。講義や臨床実習等でお世話になった会員の先生方,施設の職員の方々にとっても大変さびしいことではありますが,時代の波に逆らえず,輝かしい57年の歴史を閉じることになりました。長い間お世話になった多くの方々に深甚の感謝をささげます。高等課程と専門課程の重なりはありますが,創立以来の卒業生は総数で11,059人に達します。現在も地域医療の現場で働いておられる多くの卒業生の皆さんのご多幸をお祈りいたします。
鹿児島市医師会臨床検査センターも会員の要望と当時の役員の大変な努力で創設され,長年,医師会の共同利用施設にふさわしく,きめ細かなサービス,優れた精度管理で全国の医師会のモデルとして見学者も絶えず,鹿児島市医師会が自慢できる検査センターとして機能し,多くの会員の診療を支えてまいりました。しかし,度重なる診療報酬の削減,特に検査料金の引き下げ,民間検査機関の進出と競争激化,大病院での自施設検査開始等々によって利用者が減少し,経営が悪化していることはご存知の通りです。医師会臨床検査センターが誇りとしてきた優秀な検査精度,サービスに信頼を寄せられ,長年医師会臨床検査センターを愛し,ご利用してこられた会員も多くいらっしゃる一方,赤字の施設の経営はまかりならぬという声も多くの会員から寄せられています。検査センターを民間に委譲(または共同経営等)すべきか,医師会臨床検査センター本来の任務として小さな施設の検査に責任を持つために,規模縮小して,しかも経営を成り立たせる道があるのか,現在,担当理事,検査センター,理事会が一丸となって,比較・研究中です。理事会案を支部長会,代議員会等に提示し,会員の皆さまの意見集約に努めたいと思っています。
続いて,新しい法人制度への対応です。従来の社団法人,財団法人は平成25年11月30日までに,公益法人,一般法人のいずれかを選択すること,公益法人になるには,公益法人としての条件を備えた定款を作って県の認可を受ける必要があります。鹿児島市医師会は現在までも公益法人として機能してきており,医師会が行っている事業のほとんどは公益事業です。今後の医師会活動のためにも出来れば公益法人を目指したいというのが現在の執行部の姿勢です。すでに東京都調布市医師会が公益法人の認可を受けております。鹿児島では,すでに二つの私的病院が公益法人として出発しており,また医療法人の中にも社会医療法人(医療施設としては公益法人に相当)の認可を受けたところがいくつかあります。その中にあって医師会,医師会病院が行政と協力しながら,市民の信頼を受けて活動を続けるためには,公益法人であることが有利と考えられ,内閣府も県当局も医師会にはぜひ公益法人になってほしいという立場のようです。公益法人には税負担で優遇される反面,いくらか制約がないわけではありませんが,医師会が従来行ってきた事業はほとんど公益法人としてもそのまま続行が可能です。このことにつきましても,公益法人,一般法人のメリット,デメリットを提示して,会員のご意見をお聞きしたいと思っております。
昨年も,各会員には地域医療へのご貢献,諸委員会,学校保健,介護保険,その他多くのご協力をいただいて,鹿児島市医師会は地域での役割を果たしてきました。一昨年の新型インフルエンザの流行,昨年の農業試験場跡地問題等のような突発的な任務も今後ますます多くなることが予想されます。一方で,会員数の増加,会員の価値観の多様化等によって医師会の求心力の低下も懸念されます。特に医政活動に関しては従来とはかなり異なった舵取りも要求されています。会員各自におかれましては,医師会報に目を通され,支部会,区会にも積極的に参加していただき,執行部への批判を含めた意見具申,応援をお願いいたしたいと思っています。年頭から硬い話題になってすみませんでした。

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