=== 新春随筆 ===

新春随筆特集号への応募詠草


沓 冠 折 句 (くつかぶりおりく) の 試 み 十 首


西区・武岡支部
(島田内科)

     島田 紘一

うつつにか方便(たどき)を知らん人けなげ常しへに恋ひ酔ひ痴れむとす
                                            (歌人よ歓迎す)

霧島のふとき紗羅(しゃら)の樹祈(ね)ぎごとは有漏(うろ)の花びら水に散らすべし
                                            (貴船宇美の木原氏)

緑子と奴を乗せし飛行機ゆ出づれば消ぬべうこれぞ生死
                                            (宮英子と柊二)

咲く花か我がうからよりやさしき子悲しみて来じ揺れ動くまま
                                            (さわやかゆかり小島)

栗・茸・桃と人参おだにおだ呼びかけて植うみな雲のした
                                            (雲を詠み込んだ歌)

これ団子粋(だんごすい)を集めし紅葉(もみぢ)の間墨絵にて書きしかぢめの昆布
                                            (コスモス鹿児島支部)

寒さ避け暮らしたるらむ楽にとり自浄のきはまとまりて行く
                                            (桜島煙はく)

慎ましさ歴然と欠け付くとなん礼節無き子偶語消ぬべう
                                            (徒然草兼好)

このわらひ苦界生まれさ舞姫(ぶき)多いしづかに泣くは現世の態度
                                            (国分重久岩戸)

春の夜は羅衣と襤褸(らんる)を悔いあらじちちははかしこいと鮮やけし
                                            (原口巌事故死)
 



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