内政・外交の停滞,デフレ下の円高・株安には手をつけず民主党代表選挙が行われ,世論調査で優勢だった菅首相が再選された。「ねじれ国会」に苛つくことなく,ぶれず,「一兵卒」に足を引っ張られないように最終スピーチで語った夢を有言実行してもらいたい。
「誌上ギャラリー」は大山先生によるコスモス,ススキ,セイタカアワダチソウが群生する藺牟田池のほとりの写真です。涼風に秋の気配が漂い始めている風情です。
「論説と話題」は県医師会長の池田先生の定時総会での特別講演を掲載させていただきました。日本医師会の話題として,日医の生涯教育の変更点と医療ツーリズムの問題点についてお話されました。県医師会の最近の話題として,前会長の米盛先生が創設された医師不足対策基金の有効な活用や県行政の取り組みで県内臨床研修医が平成22年度は増加に転じたと報告されました。日医総研の医療に対する意識調査では,個別に応じた医療・心のケアについて医療を受ける側と提供する側のギャップが医療者の努力で縮まってきているが,一般国民の感覚からは相当な格差があると紹介されました。患者の視点に立った医療を目指して県医師会は地域住民参加型の郡市医師会現地懇談会を開催するとのことでした。患者との距離を縮めるにはインフォームドコンセントと恕の心が大事であることを再認識しました。もう一つの「論説と話題」は第54回九州ブロック学校保健・学校医大会,平成22年度九州学校検診協議会の報告です。学校検診協議会では心臓・腎臓・小児生活習慣病部門の教育講演を河野理事,学校保健・学校医大会では運動器部門の教育講演を永井先生に執筆していただきました。シンポジウムは「子どもたちの抱える心の悩みと学校医の役割」がテーマとして取り上げられたことを島田先生が報告されています。
「医療トピックス」は寺師薬剤部長から医師会病院で分離された緑膿菌に対する抗菌薬の感受性についての報告です。平成21年度の培養同定検査では緑膿菌が増加してMRSAに代わって第1位(11.5%)となり,うち多剤耐性菌が2例(0.7%)検出されています。使用頻度の高い抗菌薬は緑膿菌の耐性率が上昇し,感受性が3年間80%を超える抗菌薬は使用頻度の低いものであったと報告しています。最近,多剤耐性アシネトバクターがマスコミで取り上げられていますが,抗菌薬選択の参考になると思われます。
「学術」は今村病院分院の山元先生の超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法EUS-FNAの有用性についての報告です。胃腸管外の病変は通常のUS,CT,MRIでは良悪性の判断,質的診断に迷うことがあります。試験開腹,腹腔鏡下診断に代わって,EUS-FNAの普及が期待されます。
「随筆・その他」では古庄先生から医学への貢献者Dが紹介されています。西橋先生には困ったときや人生の節目に手相や姓名判断に頼りたくなる占いについて書いていただきました。有馬先生からは学術訪中記をご寄稿いただきました。リレー随筆は中村先生からご投稿いただきました。屋上は芝生を育てる好環境で,管理の要は芝刈りであることを解説され,最近屋上緑化が推進されている理由もよく理解できました。
「各種部会だより」は内科医会の第2回症例検討会の報告です。医師会病院の神経内科,消化器内科,循環器内科,呼吸器内科の4人の先生方から症例提示があり,活発な質疑応答があったとのことです。
「各種報告」では第41回中四九地区医師会看護学校協議会,第58回九州学校保健学会・第16回大分小児保健学会の合同学会,平成22年度の鹿児島市学校心臓検診・学校腎臓検診・学校糖尿検診等が報告されています。ご参照ください。
記録的な猛暑からようやく解放されましたが,秋バテには気を付けてください。
(副編集委員長 田畑 峯雄)

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