編集後記

  今年の夏は新聞やTVニュース等で熱中症による健康被害の報道が多く目につきました。また,空模様といえば晴天だったのに突然ゲリラ豪雨にみまわれたりで,これは明らかに地球温暖化現象で気候が亜熱帯化しており,熱中症の増加やいわゆるスコールが出現している状態ではないでしょうか。どげんかして体も地球も冷やさねばなりませんね。
 さて,大山先生の「誌上ギャラリー」は山間の棚田に彼岸花が咲き,深緑のなかに赤の映えるのどかな景色です。心の落ち着く風情ですね。
 「論説と話題」では「新公益法人制度への移行について(その3)」につき昇担当理事より執筆していただきました。移行方法は具体的な選択肢として3つあり,検査センターとのからみも含め新公益法人制度移行検討小委員会や理事会で慎重に検討中とのことです。また,各理事より第42回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会の報告ですが,各施設の問題点が浮き彫りにされ,葉梨先生のご講演等今後の運営への参考になったことと思います。また鹿大農学部焼酎学講座教授 鮫島先生の『薩摩の風土と芋焼酎』の講演では芋焼酎誕生のルーツ,風土的背景や歴史,そして焼酎の楽しみ方を話され毎晩の『だれやめ』がさらに楽しくなりました。
 鹿島直子先生より日本医師会第6回男女共同参画フォーラムのご報告をいただきました。日本という国の問題と医療界の男女共同参画,女性医師問題は決して別々の問題ではないとの事,「男性医師・社会・女性医師の意識改革」でお互い知恵を出し合って協力していきたいと思います。
 「医療トピックス」では平松先生より転倒転落事故に関する薬剤のまとめがありました。高齢化社会ですので注意して処方したいと思います。
 「学術」では西元先生より「側頸部腫瘤の診断−主に頸部リンパ節腫脹について−」,河村先生より「瞬目反射の臨床応用」,棚橋先生より「虚血性脳血管障害の慢性期治療〜抗血小板療法を中心に〜」につきご投稿いただきました。貴重な研究成果をご教授いただきありがとうございました。
 「随筆・その他」では古庄先生より「医学への貢献者C」が紹介されています。いつも珍しい切手のご紹介ありがとうございます。また,鮫島先生の鹿児島八景は江戸の講談師 伊東凌舎が江戸文化人の眼で作成したとのことで,今はもう存在しない場所もありますが,昔の情景を思い描き訪ねてみたいものです。また鹿島友義先生のプラセボ効果を考えるシリーズその4は,「抗うつ剤は本当に効くのか」を読まれた感想ですが,臨床試験データの読み直しの必要性や薬効判定の困難さ,プラセボ効果の大きさを考えさせられたとの事です。「リレー随筆」は川上先生からご投稿いただきました。iPadのすばらしさと,多職種連携の時代とのことで回診を多職種参加型にされ各自が専門的な立場からの小さな意見を言えることが有益であり,各職種一人ひとりがその能力を最大限に出して大きな成果を得るのが目的である事を教えていただきました。ICTをフル活用しながら個々の考えを充分に反映する運営方法は,まさに理想的な姿であるかと思います。
 「鹿市医郷壇」9号の題吟は「団子(だご)」でした。投稿される先生方が懸命に頭をひねりつつ楽しい作品を作り上げる姿が目に浮かびます。いつもご投稿ありがとうございます。
 球児たちの熱い甲子園も興南高校の春夏連覇の偉業で幕を閉じ,子供たちの夏休みも終わりました。朝夕に秋の気配を感じる瞬間もありますが,鹿児島では9月といえどもまだまだ残暑厳しき折,焼酎学講座鮫島教授のお言葉を拝借し『適正飲酒』による『だれやめ』で体をいたわりつつお過ごし下さい。

                                          (編集委員長 上ノ町 仁
                                     


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