編集後記

 今回の論説と話題は,会の行く末にも関わってくる2つの懸案について担当理事に投稿頂きました。
 1つ目は「新公益法人制度への移行について(その1)」と題した昇 卓夫理事のもので,今までの代議員会や支部長会などで報告されてきた内容を要約したものになっています。概要は分かっても,具体的にはどうなのだろうと考えていた矢先に,県医師会報の時言時論に同じ問題で三宅 智副会長の卑近な例を引いての投稿があり,そちらも読まれるとより一層の理解が出来るでしょう。長年,本会は「公益」を目指してきたと思いますが,なっても,得る物ばかりではなく失う物もあるようなので,「公益」か「一般」か,いずれを目指すにしても支部会などの平場で多いに議論していく必要がありそうです。
 2つ目は 『臨床検査センターの現況と将来 その1.「脱赤字経営」を目指して』 と題して増田吉彦理事も投稿して頂きました。経営改善6年プランの1年目の結果が1億8千万の赤字に終わった事は残念な結果でした。日医の検査センター精度試験では100点満点の堂々1位の成績でしたし,毎日,スタッフも一生懸命仕事に勤しんで頂いているのですけれど,今年度の赤字を補填しようとすれば会員一人10万余の会費を追加徴収しないといけなくなりますが,みなさんはいかがお考えですか。本年度はプラン2年目,引用の日医総研ワーキングペーパーにもあるように,収益確保には高い会員利用率と高い取引率の両方が必要です。今以上の会員の協力が大切ですし,今後の成績を注意深く見守っていかなければならないでしょう。また,構想日本が定義する事業仕分けには,国や自治体が行なっている事業を「そもそも」必要かどうか,必要ならばどこがやるか(官か民か,国か地方か)について検討するとあり,「制度で決まっているから」「長年やっているから」という理由で存続させる事はしてはいけないともあります。検査センター事業にもこのルールを当てはめての検討をそろそろ始めねばならないかも知れません。
 鹿島先生のお話を読んで,自覚症状の客観的評価の難しさを考えました。私たち皮膚科医は,患者さんの痒みと常に向き合うのですが,痒みという自覚症状の訴えは千差万別で,抗ヒスタミン剤の効果を評価する方法にも工夫が必要です。最近では,疼痛評価で利用されているVAS(Visual analogue scale,最大の痛みを10,痛みなしを0として指でさしてもらって記録する方法)を利用して,少しでも客観的に薬効を評価しようと努めています。
 鮫島 潤先生の桜島の植生を読んで,今から30年前の高3の生物2の教科書に,遷移(ある場所において生育する植物が置き換わっていくこと)の例として桜島の植生が掲載されていたのを思い出しました。乾性遷移とか一次遷移と呼ばれる現象の例で,噴火後の溶岩原から始まり,地衣類→草地→低木林→陽樹林→常緑広葉樹林を経て,極相のタブ林と移り変わっていくとあったように憶えています。
 リレー随想に登場の上野員義先生,毎朝のごみステーションとその周囲の掃除は御苦労さまです。きっと紫原で一番奇麗なゴミステーションになっておられる事でしょう。今度,愛用の電動自転車に乗って見学に行ってみます。
 親善ゴルフ大会参加の皆さん,お疲れ様でした。また,各組優勝の浜田長輝先生,増田敏明先生,中野義明支店長おめでとうございます。五月晴れのすがすがしい天気でのプレーはさぞ心地良かったことでしょう,スコアーが気になってそれどころではない先生もおられたかもしれませんね。
 同門の先輩でもあり,同支部会員であった野村慶子先生の突然の訃報には驚きました。ただただご冥福をお祈りするばかりです。合掌。
 次号は「緑陰随筆特集」号です。今年はどのような楽しい随筆が投稿されるか今から楽しみです。

                                          (編集委員 島田 辰彦
                                      


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