=== 随筆・その他 ===
坐禅の修行中…森田療法を求めて |
|
|
 |
(1)脊つい動物の個体発生の比較
尾やえら孔が見られ共通の祖先から進化したことを
暗示している。
|
 |
(2)脊つい動物の心臓の構造
ヒトの心臓は2心房2心室であるが、受精後4週間の
胎児は1心房1心室で、その後、2心房1心室を経て、8週目
に2心房2心室になることが知られている。この過程は、
系統発生を反影していると考えられている好例である。
|
 |
(3)ニワトリの胚の窒素排出物の変化
上図の如く、発生中の排出物はアンモニア、尿素、
尿酸と変化する。この変化も魚類(アンモニア排出)、
両生類(尿素排出)、は虫類・鳥類(尿酸排出)という
進化過程の変化に似ている。
|
動物学者で思想家のErnst Heinrich Hckelは、ドイツ人であるが、1866年、ダーウィンの進化論に基づいて「個体発生は系統発生をくりかえす」という反復説を提唱し、生命に対して唯物論的一元論の哲学を説いた。思想界に多大な影響を与えた。人間の遺伝的進化論的側面において、現今一般学者に認められ、個体発生の研究によって、その系統をたずね血縁をたどり、進化経路をあきらかにする資とされる。ヘッケルの法則として、ヘッケルは生物が卵から発生して完成するまでの個体発生の実例として、(1)脊つい動物の個体発生の比較、(2)脊つい動物の心臓の構造、(3)ニワトリの胚の窒素排出物の変化、等の下図の3例をあげている。
2世紀半におよんだ士農工商の江戸幕府を天皇制にもどした明治政府は、世界の列国の繁栄、西洋の文化に追いつき、追い越せと、産業を興し、富国強兵を目標にかかげ、国民の志気を統一すべく、明治2年、廃仏毀釈令を発布し、聖徳太子の「和をもって貴しとなす」という神儒仏三集合体のうち、儒仏を排し、神国在来の神道を精神的支柱とした。勤勉で適応能力の強い日本国民の努力は、短期間に国は豊かになり、軍事力も強大になって、帝制ロシアとの戦勝によって、世界に羽ばたく勢いを得た。しかしながら、盛者必衰の理のように、結局は第2次世界大戦によって極貧のどん底におち入る憂き目を見た。戦後日本国民は、小柄ながら、勤勉に働き、国の経済的復興にとり組み、めざましい現在の経済的物質にめぐまれた夢のような日本国を作った。しかしながら、「物貧しくとも心豊かに」とか、「貧しいながらも楽しい我家」の戦前の家族生活が見られないのは、どうしてだろうか。
心の安定、精神文化の育成に寄与した仏教儒教の復活が見られないままで、倫理、道徳が日常生活から引っ込んだままのようである。食の文化は、裕福すぎるくらいになり、好き嫌いが促進され、物を粗末にする贅沢難に陥っているが、命さえも粗末にするような、親がわが子を殺したり、誰でもよいから人を殺して見たかったと恐ろしい、不安な世の中になったものだと悲しく思う。
仏教をとり戻せない日本人は、仏教の真価を理解できなくなっており、精神的安定の生活を希求しつつも、物質的経済的安定が、あたかも人間の幸福をもたらしてくれるものと錯覚している面がありはしないか。物質的精神的に平衡のとれた生活が得られることが望ましいことは論を待たない。人間の社会は、望みつつも、必ずしも常に理想に至らずに終ってしまうことが多い。仏教の復活ができていない今日の日本は、物質的文化の豊かさは謳歌できても、精神的にはいくらかの不満足がありはしないか。人を全体として、身心不二の面から凝視した人がいた。2500年前インドで生れた吾人と同じく青年期に人生苦に悩んだ末に仏教を開基した釈尊(ゴータマシッダールタ、シャカム=仏とも呼ばれている)は、坐禅の行によって悟りを開いて、人生の精神面での安定を得た。その悟りの内容は、「一切の衆生…生きとし生けるもの全てだけでなく植物も無生物さえも…は如来(仏とも呼ぶ)の智慧、徳相をすでにもって生まれて来ているが、後天的に転倒妄想の故にこれを知ることが出来なくなっている」。同じことを涅槃経には、「一切衆生、悉しつ有う仏性」、禅門では、「衆生本来仏なり」と信じて坐禅の実践実行を奨励している。即ち、坐禅は悟りを開くことが目的であり、坐禅修行が見性悟道を可能にするのであるが、そのためには、禅堂や道場などの正師に相見することが大事である。坐禅によって、転迷開悟、止悪作善、離苦得楽の実践が実行され、絶対全一の世界の体感に直結し、精神的安楽の境遇を得ることが出来る。いわゆるお釈迦様の教えを継伝している、28代菩提達磨(ダルマ様)、51代道元禅師と継がれて日本に正伝の仏法がもたらされた。次のお経を列挙したい。
(1)普勧坐禅儀
(2)承陽太師発願文
(3)摩訶般若波羅蜜多心経
(4)父母恩重経
(5)正法眼蔵弁道経 etc

|
このサイトの文章、画像などを許可なく保存、転載する事を禁止します。
(C)Kagoshima City Medical Association 2010 |