在宅医療を担う訪問看護職の役割
| 鹿児島県看護協会 会長 秋 葉 公 子 |
謹んで新年のお慶びを申し上げます。平素より、当県協会事業運営には多大なる御協力、ご支援を賜り厚く感謝申し上げます。
当協会におきましても、時代の要請を受け、県民のヘルスケアニーズに対応すべく、看護の役割として、予防医療重視の看護の推進、入院から在宅へと途絶えることのない生活と健康へのみまもりと支援について責任を果たしていきたいと願っています。
超高齢社会・多死時代の到来を目前に、濃厚な医療、医療依存度の高い療養者が、訪問看護サービスを待っていて、そのサービスの拡充は、喫緊の課題となって参りました。
75歳以上の後期高齢者は、2005年1,164万人でありましたが、2030年には2,266万人となり「病気を持っていても、住みなれた地域で身近な人たちとできるだけ長く生活したい」と願う訪問看護利用者は、確実に増えています。1994年2万人弱だったステーション利用者は、現在31万人、2020年には100万人が訪問看護の必要者となるとの推計を日本看護協会は出しています。
「訪問看護推進連携会議」では、平成21年、日本看護協会、日本訪問看護振興財団、全国訪問看護事業協会の3団体による「訪問看護10ヵ年戦略」に基づき、Myナース（居宅療養管理指導）の普及に取り組んでいます。これは平成21年度の介護報酬改定で「居宅療養管理指導料」の算定が認められ、日常的な質問や相談に応じ、健康問題が深刻にならないように、潜在的な訪問看護必要者に対して看護の目が行き届き、訪問看護への確実な橋渡し、利用が促進されることが望まれています。
訪問看護のミッションは、「国民が最後まで安心して療養生活を送れるよう、他機関・他職種と連携し、24時間365日にわたり療養生活と在宅看取りの支援を行う」です。そのために「質の高い看護（裁量拡大）」「看護職の確保」「事業経営の安定化（大規模化と適正報酬）」「利用しやすさ（制度）」などの発展に、努力しなければなりません。
訪問看護の振興には、まず、その役割を社会全体に正しく認識してもらい、訪問看護が当たり前の地域ケアサービスとなるよう訪問看護師の育成が急がれています。更に、専門職として相応の処遇が得られるよう関係機関に働きかけが必要です。5年前から養成されている「訪問看護認定看護師」は全国で、131名となりその役割の重要さとともに活躍が期待されているところです。鹿児島県訪問看護ステーション協議会は、設立11年目となりましたが、加入ステーションが135から72へと減少し、活動の場が市街地に集中して県民の要求に応え切れていません。在宅医療にゆかりのある他の職能団体との協調と一般社会人の御理解が必要です。マインドあふれるスキルの高い訪問看護職が、Myナースとして田舎で走り回る姿がみられるよう努力してまいります。
最後になりましたが、貴医師会のご発展・御活躍を祈念して、挨拶といたします。
(C)Kagoshima City Medical Association 2010