=== 年頭のあいさつ ===

年頭のご挨拶
鹿児島市医師会病院 院長

     田畑 峯雄

 あけましておめでとうございます。会員の皆様方にはご家族おそろいで健やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。昨年は5月に神戸から始まったインフルエンザが夏ごろから流行し、会員の先生方も対応と対策にご苦労されたことと思います。昨年中は鹿児島市医師会病院もいろいろな出来事がありましたが、会長はじめ会員の先生方には多大なご支援を賜りありがとうございました。
 昨年のことを振り返ってみますと、私事ですが、4月1日鹿島友義会長より山口淳正前院長の後任として4代目院長を拝命いたしました。医療崩壊がドミノ倒しとなって加速している時期に院長に就任し重責に身の引き締まる思いがしました。医師不足は当院も例外ではなく、前院長を含め消化器内科医3人が退職したあと補充できず、山口前院長に嘱託医としてサポートしてもらっています。
 4月から病院機構改革検討委員会を立ち上げてもらい、10月から新しい組織図ができました。従来の診療管理センターと運営管理センターのセンター方式を廃止し、副院長と診療部長を置き、事務部門は2分された医療支援部と総務部を事務部として統一し、医師会病院開設時に近いすっきりした体制に戻りました。
 赤字基調からの脱却を期して4月からDPC(診断群分類別包括評価)対象病院となりました。経済不況による受診抑制か後期高齢者医療制度の影響とも思われる入院患者の減少と在院日数の短縮などで5月、6月は病床利用率が75%を割り、さらにICT(情報通信技術)の減価償却費の想定外の増加も加わり年度初めは医業収益が前年同様に落ち込んでしまいました。7月から患者数の増加傾向と術前検査の外来移行による外来診療点数の増加、ジェネリック医薬品採用などによるDPC効果で収支は好転し始めほっとしています。医師会病院の使命でもある救急医療や重症患者の多くは出来高に比べDPCはマイナス傾向にあり、応分の医療報酬改定が望まれます。
 ここ数年来の在院日数の短縮による病床利用率の減少傾向と救急搬送の受け入れや転科・転棟をスムースに行うため10月から個室の増設を行いました。これに伴い専任のベッドコントロールナースを配置しました。
 3年前の病院機能評価受審の際に当院には急性期リハビリテーションが無いことを指摘され、開設準備を進めてまいりましたが、12月1日にオープンすることができました。人口の高齢化に伴い、入院・手術を契機に誤嚥性肺炎、寝たきりになるリスクの高い患者が増加しており、早期の機能回復・転院・退院に貢献するものと期待しています。
 夏の総選挙は民主党の歴史的大勝に終わり、2009年の新語・流行語大賞の年間大賞は「政権交代」に決まりました。医療関係者にとっては、民主党がマニフェストに示した社会保障費削減方針の撤廃や診療報酬の増額、医師不足の解消、勤務医待遇改善など大盤振る舞いの政策の行方が注目されています。しかし、政権交代したにもかかわらず、厳しい財政状況を鑑みると、官僚の天下り禁止、無駄な制度や構造の改革だけで財源の捻出が可能とは楽観できなくなってきています。行政刷新会議作業チームの「事業仕分け」で、収入の高い診療科の見直し、勤務医・開業医の平準化など医療費の配分が検討されました。しかし、医療崩壊を根本的に食い止めるには世代間、地域間、公私間、疾患間での配分の見直しとともに医療費全体の増額が必要と思われます。開業の先生方も勤務医も元気が出る医療保険改定が実現することを切望いたします。
 会員の先生方との密接な連携を基盤にした地域医療に邁進したいと思いますので、今年も更なるご指導・ご支援をお願い申し上げます。




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