編集後記

 最近になり自然災害の報告が相次ぎ、九州高速道路は土砂崩れで通行止め、東名高速道路は地震のため崩落し、完全片側通行の状態でお盆を迎えることになり、帰省客はかなりの影響を受けたものと思います。鹿児島では、自然災害といえば8・6水害が思いおこされますが、豪雨も今や北九州を中心に被害がでており、あきらかに以前よりは土砂災害の場所も北上しているような気がします。地球温暖化が間違いなく進行しており、少し前までは鹿児島で起こっていた気象の変化がそのまま北上しているのではと考えてしまうのは私だけでしょうか。身の回りのことから少しずつでも温暖化対策を心がけなくてはと思う今日この頃です。
 さて、「誌上ギャラリー」では、なつかしい蒸気機関車“SL人吉”の写真をご投稿いただきました。通称ハチロクと呼ばれている蒸気機関車の復刻版ですね。内部のラウンジなど現代風にアレンジされているようですので、ぜひ一度実際に乗車してみたいですね。ありがとうございました。
 「論説と話題」は、チーム・バチスタの栄光、ジェネラル・ルージュの凱旋などの著者として有名な海堂 尊先生の特別講演です。今まさに旬の先生のご講演でもあり、Ai(Autopsy imaging)の有用性、医療安全調査委員会の知られざる内容など貴重なお話をいただいています。死亡時医学検索というシステムを構築することの意義について私たちも考えるいい機会だと思います。ご講演を聞き逃された先生方はぜひ御一読していただき、今後の糧としていただきたいと思います。
 「学術」では、成人でもよくみられる小児感染症について、鹿児島大学小児科の西先生からと機械人工弁置換術後の凝固亢進状態は大動脈弁位と僧帽弁位で異なるか?について、鹿児島医療センター循環器科の田中先生から報告をいただきました。西先生からは、成人でも遭遇しうる小児科感染症と題して、溶レン菌感染、麻疹、百日咳、病原大腸菌感染について、概説をいただいています。日頃の診療にぜひ役立たせたいですね。一方、弁置換術後の患者さんでの比較では、TATでの評価を見る限り、心房細動の合併の有無が凝固能評価には重要であることが報告されています。
 「随筆・その他」から、切手が語る医学のコーナーは、各国の医学にまつわる切手の紹介です。世界には本当にびっくりするような切手があるのですね。改めて驚きました。随筆では、谷山支部のM田先生から警察署長の患者さんを看取ったときの様子が忘れがたい患者さんと題して投稿されています。中央支部の鮫島先生からは、日高保志先生と過ごされた思い出をご投稿いただきました。故人の優しいお人柄と残されたご功績が偲ばれます。ご冥福をお祈りしたいと思います。リレー随筆は、中央支部の柿木先生から高校における性教育講演会にまつわる一幕が出筆されました。まるで自分のことのように楽しく読ませていただきました。
 「各種報告」では、医師会館の問題が報告されています。自前で会館を建設する方向になるとのことです。今後の動向を注目していきましょう。
 鹿市医郷壇の兼題は「稽古(けこ)」です。運動の練習のような体を使った訓練の意味といろいろなことを繰り返し反復練習する稽古の意味と作者の思惑がそれぞれ異なっており、非常におもしろいです。ご投稿をいただいた先生方、ありがとうございました。
 いよいよ衆議院議員総選挙です。この号が出ている頃には、体勢がはっきりしていることでしょう。与党がどこになろうとも私たち医療人にとって、有益な選挙になることを切に願いたいと思います。

                                         (編集委員 竹元 雅一



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