鹿市医郷壇

兼題「相手(えて)」

(347) 永徳 天真 選




上町支部 吉野なでしこ

相手次第ち見合い写真も選い好ん
(相手しでち 見合い写真も えいごのん)

(唱)好んじゃ無かちポイポイはねっ
(唱)(このんじゃなかち ポイポイはねっ)

 本人より親が結婚を望むと、世話好きの人が、見合いの話を持ってきます。
 本人はその義理をはたすために、見合い写真で好みの相手を探していますが、この選り好みの賞味期限は一、二年です。
 結婚は出会いと想いが鍵で、何よりも本人の自覚が第一です。チャンスを大事に、まずは出会うことから始まりです。




錦江支部 城山古狸庵

きっ歯痒いモンゴル相手い勝ちゃならじ
(きっしゃがい モンゴル相手い かちゃならじ)

(唱)負けがないかち必死さが違ご
(唱)(負けがないかち 必死さがちご)

 東西の横綱がモンゴル勢で、国技大相撲の看板が泣いています。
 勝負の世界では、その強さが大きな魅力であり、今の大相撲は外国勢、特にモンゴル勢の強さが群を抜いています。
 相撲ファンは強い日本人力士を見たいのに、当分それも望めそうにありません。なさけないやら、くやしいやらでしょう。




清滝支部 鮫島爺児医

拉致事件相手が悪りでな済まされん
(拉致事件 相手がわりでな 済まされん)

(唱)解決の道ちゃトップ会談
(唱)(かいけっのみちゃ トップ会談)

 拉致事件では、小泉首相の時に三家族が帰国したきり、その後はなんの進展もなく、世間の関心も薄れてきています。
 連れ去られた子供や親を返してほしい一念の被害者の家族にとって北朝鮮は、腸が煮え繰り返る思いです。頼りは政府しかなく、立ちはだかる厚い壁に穴を開け、解決の糸口を見い出してほしいです。



 五客一席 伊敷支部 矢上 垂穗

勝負の相手北京五輪な水着じゃっ
(しょっの相手 北京五輪な みっぎじゃっ)

(唱)世界記録が塗い替えられっ
(唱)(世界記録が 塗い替えられっ)


 五客二席 大崎町 植村聴診器

娘はけろっ青年が怖った見合ん相手
(こはけろっ にせがびびった みえん相手)

(唱)場慣れした態でわさわさ語っ
(唱)(場慣れしたふで わさわさかたっ)

 
 五客三席 紫南支部 紫原ぢごろ

酔ろぼん上司ん相手てな気分切れっ
(よくろぼん 上司んえてな あやきれっ)

(唱)説教と自慢聞っとは二度目
(唱)(せっきょとおぎら きっとは二度目)


 五客四席 上町支部 吉野なでしこ

臍曲がい大概の事ちゃ相手いせじ
(へそまがい たいがいのこちゃ 相手いせじ)

(唱)俺に関係や無ち平然たん
(唱)(おいにかんけや ねちしれったん)


 五客五席 清滝支部 鮫島爺児医

大相撲相手ん顔位ま見て仕切れ
(大相撲 相手んつらどま 見て仕切れ)

(唱)睨ん付けんな盛い上がらんが
(唱)(にらんつけんな もいやがらんが)



秀  逸


紫南支部 紫原ぢごろ

初見合い相手ん顔どま見いもせじ
(初見合い 相手んつらどま みいもせじ)

山芋を掘ろそな相手てな寄い付かじ
(山芋を ほろそなえてな よいつかじ)

口喧嘩女房が相手じゃ見込みゃ無し
(くっげんか おかたが相手じゃ みこみゃのし)


錦江支部 城山古狸庵

負け箸戦相手が術ねち掘いでけっ
(負けなんこ 相手がずんねち ほいでけっ)

相手ん顔見たこっも無かメール友
(相手んつら 見たこっもなか メール友)


清滝支部 鮫島爺児医

与野党さん相手は同胞仲良ゆせにゃ
(よやとさん 相手は同胞 なかゆせにゃ)

同窓会や皆友達が相手良か宝
(どうそかや みなどしが相手 よか宝)


上町支部 吉野なでしこ

試合前勝っも負くいも相手頼ん
(試合前 かっもまくいも 相手だのん)

久振いしったい疲れた孫ん相手
(さしかぶい しったいだれた 孫ん相手)


大崎町 植村聴診器

金借いも平常が平常相手てされじ
(ぜんかいも かねっがかねっ えてされじ)

詐欺ん口ち認知症ん態で相手をせじ
(詐欺んくち にんちしょんふで 相手をせじ)


伊敷支部 谷山五郎猫

相手は無が晩酌が美味め飲ん平どん
(相手はねが だいやめがうめ のんべどん)

休んの日家族は出掛けっ猫が相手
(やすんの日 けねはでかけっ 猫が相手)


 薩摩郷句鑑賞 18

浜涼ん沖かい濡れた月が出っ
(はますずん おっかいぬれた つっが出っ)
            西之園破摩

 今はほとんど見られないかも知れないが、昔は暑い夜など、海岸に茣蓙など敷いて、夕涼みをしている光景をよく見かけたものである。ふつう「浜涼ん」と言っていた。海風も涼しくて気持ちよいものである。
 そこへ、月が出てきたのであるが、水平線の彼方から上ってくる月は、あたかも水に濡れたようにみずみずしく、美しかったのであろう。
 とらえ方がうまく、いかにも漁村の夕涼みらしいきれいな句である。


古墓ん主しゃ十八で苔が寄っ
(ふいばかん ぬしゃ十八で こけが寄っ)
            樗木天凱門

 今日は月おくれの七夕、墓こしたえ(墓石を洗ったり、花筒を替えたり、草むしりをしたりしてきれいにすること)をする地方も多かろう。
 「享年十八歳」と刻まれた墓石の苔を落としてやりながら、年老いた母親が、この子が生きていたら、もう何歳になっているのにとか、今ごろ孫もいたろうにとか、独り言を言っている姿が目に浮かんで、ほろりとさせられる句である。
 昭和十一年ごろの作品で、残念ながら作者の姓に自信がないけれども、名吟の一つであろう。
 ※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋


《選者通信》
 薩摩郷句や方言について、また作句についての質問がありましたら、お答えしたいと思います。ぜひ日頃の悩みをお聞かせ下さい。薩摩郷句を共に学習していきましょう。

薩 摩 郷 句 募 集

◎10 号
題 吟 「 余(あま)い 」
締 切 平成20年9月5日(金)
◎11 号
題 吟 「 焼酎(しょちゅ) 」
締 切 平成20年10月6日(月)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892−0846
 鹿児島市加治屋町三番十号
 鹿児島市医師会『鹿児島市医報』編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:kasiisoumu-e@po.minc.ne.jp


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