天
上町支部 吉野なでしこ
耳障い後期長寿ち気力も無し
(みんざわい 後期長寿ち 気力ものし)
(唱)天引きそいも頭てくいこっ
(唱)(てんびきそいも びんてくいこっ)
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が現実に動き出すと、関心も一層高まりまた、問題点も表面化してきています。
必要性から導入される新しい制度なのですが、心が通っていない「後期高齢者」と言うネーミングが最悪で、負担の増加も切実です。まさしく耳障りであり、この先の不安に気力も失せてしまいます。
地
武岡 志郎
叶のた恋い気力が戻った内気な青年
(かのたこい 気力が戻った いめなにせ)
(唱)目の輝っが別人の如っ
(唱)(目のかがやっが べっじっのごっ)
好きになった女性に、想いこがれて頭から離れませんが、なにぶん内気なためにアタックもできず、恋の病で食欲もなく元気がありません。しかし恋の行方は急転直下、勇気を出して告白したのか、運命的な出来事があったのか、ともあれ恋の成就です。彼女ができて、生き生きとしてきた青年に拍手です。
人
大崎町 植村聴診器
気力ん無か態の子が心配ないじめ騒動
(気力んなか ふの子がせわな いじめそど)
(唱)空しいじめい負けちゃならんど
(唱)(むなしいじめい 負けちゃならんど)
いじめが後を絶たないのは、家庭や教育現場など社会の歪が要因かもしれません。いじめに遭っても親に心配をかけまいと、家ではそんな素振りを見せない子供も多いでしょうが、子供が送る危険信号を親は敏感に察知しないといけません。元気のない子供の様子を見ていて、いじめと関係があるのではと、心配な親です。
五客一席 錦江支部 城山古狸庵
気力が無ち叱ったや鬱が悪るけなっ
(気力がねち がったやうつが わるけなっ)
(唱)注意をせんな病あデリケート
(唱)(注意をせんな びょあデリケート)
五客二席 武岡 志郎
長寿医療言が天引にゃ気力も無し
(長寿いりょ ちゅがてんびっにゃ 気力ものし)
(唱)塩梅ん悪か制度を作っ
(唱)(あんべんわいか 制度をつくっ)
五客三席 紫南支部 紫原ぢごろ
気力ん無か大関陣にゃ匙ずなげっ
(気力んなか 大関陣にゃ さずなげっ)
(唱)ころころ負けっカド番揃い
(唱)(ころころまけっ カド番揃い)
五客四席 清滝支部 鮫島爺児医
一人娘が嫁めはっじたっ気力無父親
(ひといごが よめはっじたっ あやねとと)
(唱)蛻ん殻でぐらしごっあっ
(唱)(もぬけんからで ぐらしごっあっ)
五客五席 荒田支部 荒田案山子
気力ん無か返事い相手が心配を焼っ
(気力んなか 返事いえてが せわをえっ)
(唱)悩んじゃろかい病気じゃろかい
(唱)(なやんじゃろかい やんめじゃろかい)
秀 逸
大崎町 植村聴診器
ダイエット骨と皮うぇなっ気力きれっ
(ダイエット 骨とかうぇなっ 気力きれっ)
中国の鰻じゃっつろ気力が無し
(ちゅうごっの うなっじゃっつろ 気力がのし)
清滝支部 鮫島爺児医
嘔吐下痢飲み食や出来じ気力も無し
(嘔吐下痢 のみくやでけじ 気力ものし)
接戦じゃ鍛えた気力が勝ちゅ決めっ
(接戦じゃ 鍛えた気力が かちゅきめっ)
錦江支部 城山古狸庵
吐っかぶい腹も通せば気力が無し
(はっかぶい 腹も通せば 気力がのし)
気力だけで北京で勝とち大て間違げ
(気力だけで ペキンでかとち ふてまっげ)
紫南支部 紫原ぢごろ
上がらせん保険点数い抜くい気力
(あがらせん 保険てんすい ぬくい気力)
気力ん無か総理ん話しゃ聞こちせじ
(気力んなか 総理んはなしゃ きこちせじ)
荒田支部 荒田案山子
気力切れっ郷句一ちも難儀しっ
(気力きれっ 郷句ひとちも 難儀しっ)
巨人戦気力んね負けい活つ入れっ
(巨人戦 気力んね負けい かついれっ)
上町支部 吉野なでしこ
又こいも値上げ値げい気力も無し
(またこいも 値上げ値げい 気力ものし)
伊敷支部 谷山五郎猫
気力ん無か姿も可愛か我家ん猫
(気力んなか 姿もむぞか やどん猫)
作句教室
投句作品の中に、やや下ネタっぽい句がありましたが、薩摩郷句では下品な笑いは御法度です。誰もが笑える健全なユーモアが大事です。
また批判や風刺も郷句の一つですが、軽蔑や罵倒などは論外です。読み手が不快感を持ったり、傷付くような作品は好ましくありません。
作句ではいかに郷句味が出せるかがカギとなりますが、その作句のしかたの一例を紹介します。次のようなある事象や気持ちを表現した共通語の短い文から、まず方言に直し、そこからいろいろ見かたを変えたりして、五・七・五のことばのリズムを考え、郷句味を加えながら薩摩郷句として作品化していきます。
昨夜は天文館に飲みに行った(共通語)
昨夜(ゆべ)は天文館に飲(の)んけ行(い)た(方言化)
昨夜(ゆべ)友人(どし)と天文館に飲(の)んけ行(い)っ(作品化)
吐(は)っめ飲(の)ん天文館に金(ぜん)捨(う)っせ(作品化)
社長(しゃちょ)社長(しゃちょ)ち天文館じゃやれ持(も)てっ(作品化)
薩摩郷句鑑賞 16
喧嘩蜘蛛棒ん先で命つ張っ
(けんかこっ ぼっとんさっで いのつはっ)
中村 雲海
昔は旧暦五月五日だったが、現在は六月の第一日曜日に、加治木町ではクモ合戦が行われる。「山蜘蛛」(やまこっ)とか、「嫁御蜘蛛」(よめじょこっ)とか、土地によって呼び方が違うけれども、コガネグモのこと。
裃姿の行司役がいて、一メートルほどの棒を横にして、両方からクモを進ませて戦わせる。糸を巻きつけられたり、糸を切られたり、あるいは逃げたクモが負け。クモの持ち主は勿論、見物の人々まで、自分が戦うほどに夢中で声援する。
※三條風雲児「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎8 号
題 吟 「 相手(えて)」
締 切 平成20年7月4日(金) ◎9 号
題 吟 「 相談(そだん) 」
締 切 平成20年8月5日(火)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892−0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会『鹿児島市医報』編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:y-ishigaki@city.kagoshima.med.or.jp |
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