年度末を迎え、道路財源の問題など国会が紛糾しています。我が医療界では、救急車のたらい回し、医療難民、介護難民など、来年度は何か、大きな転換の年になりそうな予感です。毎週日曜日の夜には、NHKの大河ドラマで、“篤姫”が放映されていますが、この混乱の時代を救うのは、女性パワーではないかと、心密かに女性に期待しております。
今月号の「論説と話題」は、鹿児島市医師会女性医師部会総会研修会での岸本裕紀子氏の講演をまとめた、ヒラリーとライスの2人の女性のお話です。現在アメリカ社会で大活躍のお二人の女性の、生い立ちやキャリアアップの仕方が180度違うというお話は、興味深く拝読しました。
在宅医療、ケアの現場に赴けば、ジェンダー問題(社会的性差別)に直面します。家族関係の問題、介護の問題、介護のために女性が仕事をやめる問題など、です。これは、育児、教育についても同様の問題と考えます。育児、介護のために女性が仕事を辞める(辞めざるを得ない)社会は、社会全体からみても損失で、現在の女医問題に直結する問題だと考えます。国は、育児支援や医療・介護、教育の分野に、もっともっとお金を出すべきと考えます。この辺、今議論中の道路財源の問題ともリンクします。この辺のお金の流れを変えることで、女性の社会進出、雇用創出、自立が促進され、本当の意味での男女共同参画社会が実現でき、生活者主体の住みよい地域が再生できると考えます。
平成19年度日本医師会医療情報システム協議会の報告は、10年程前鹿児島市医師会が担当された時、鹿児島大学検査部から医療情報部と連携してテレビ中継したのを思い出しながら読ませていただきました。今日の医療界のIT化は避けて通れない問題と考えますが、このようなIT化の恩恵を、いかに医師会員全体で享受できるような導入を計っていくかが難しい問題と感じました。
学術の「腸型Behcet病の一例」は、個人的に興味深く読ませていただきました。と、言いますのは、私の学位論文が、Behcet病における、単球、マクロファージ細胞膜表面の組織因子(血液凝固の開始因子)の発現に関するもので、それを思い出しながら、懐かしい思いで読ませていただきました。
さて、私事ですが、本業が忙しくなり、今月限りで編集委員を辞めることとなりました。6年間、鹿児島市医師会編集委員を務めましたが、この間、いろいろ勉強させていただき、ありがとうございました。今後は、本業(在宅医療)の分野で、鹿児島市医師会にはお役に立てるのではないか、と考えております。今後とも、宜しくお願い申し上げます。
(副編集委員長 中野 一司)

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