==附属施設だより==
(看護専門学校・高等課程)
平成19年度看護専門学校専門課程卒業式 |
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日 時:平成20年3月4日 午後1時30分
場 所:市医師会館
卒業者数:44人
去る3月4日看護専門学校専門課程第35期生44人の卒業式が多くの来賓・家族のご臨席のもと盛大に挙行された。
古謝教務部長の開式の辞に続き、市来健生校長から卒業生一人一人に卒業証書が授与された。在校生を代表して高瀬真須美さんから「3年間を共に過ごしたクラスメイトは何にも変えがたい宝物になったと思います。友は喜びを2倍にし、悲しみを半分にしてくれるこの医師会看護専門学校で巡り逢えた友は、まさにその通りだと思います。共に笑い、共に泣き、時には喧嘩もし合った仲間だからこそ、信頼し合える友となったのではないでしょうか。どうぞこれからも、同じ医師会看護専門学校出身の同窓生として、お互いに励まし合える仲間でいてください。」との送辞があり、これを受けて卒業生を代表して瀧山玲奈さんが3年間の思い出やこれからの決意を綴った答辞を読み上げた。
市来健生学校長式辞
近年の医療界は理論・技術ともに日々進歩を続けています。生命科学の分野では、これまで空想の世界でしかなかった生命の根幹にせまる領域へと近づいており、それに関連する医療技術も日々飛躍的に進歩しています。
同時に、病に苦しむ人々の心に目を向ける研究も進められ、単に病を治すだけでなく心(気)も癒す、対象はもとよりその家族への対応を含む、治療や看護のプロセスといったところに、より高度な人間性が要求されるようになってきております。それは、医療に関わる人間としての感性が問われる時代になってきたともいえます。
一見豊かに見える情報化社会にあっても、人が病の床で求めるものは心の安らぎではないかと思います。
かつてナイチンゲールが身をもって示した、公平な医療と博愛は、このような社会であるからこそ、思い起こさなくてはならない命の尊さを私たちに教えてくれています。その理念は、皆さんの心にもしっかりと刻み込まれていることと思います。
看護という尊く誇りある職業を選択され、幾多の困難を乗り越えてこの日の栄誉を手にされた皆さんです。これからも研鑽を怠ることなく、人と人との関わりを大切にして、職場にとってなくてはならない心豊かな看護師に成長され、御活躍いただけるものと確信しております。
米盛 學鹿児島県医師会長祝辞
(鮫島信一常任理事代読)
医療現場をとりまく環境も複雑多岐にわたり、専門知識と集中力、細心の気くばりが要求されています。「患者本位」むしろ「人間本位」の医療提供が社会の共通課題になっている今、看護・介護・理学療法などの各分野の職員に期待される役割もますます大きくなってきています。このことを自覚することが、皆さんの社会への第一歩であろうと思います。
今井洋子鹿児島県看護協会長祝辞
看護職に対する期待は大きく、役割も重要になってきていますので、これから皆さんは、国家ライセンスを持つ職業人として、安心・安全に配慮して、よりよい看護が提供できるよう、日々の研鑽を重ねられ、信頼されるライフサポーターになられることを期待しております。
答 辞
木の芽が膨らみ始め、辺り一面春の光に包まれつつある今日のよき日に、私たち、第35期生のために、このような盛大な式典を挙げて頂き、まことに有難うございます。また御多忙の中を御出席下さいました、御来賓の皆様を始め、御家族の皆様、並びに諸先生方、関係者の皆様に、卒業生一同、心から御礼申し上げます。
思い起こせば3年前、私たちはそれぞれに期待や不安を抱き、本校へ入学致しました。年齢や勤務先も様々で、個性豊かな私たちは、振り返ると、何事にも一生懸命に取り組んでいたように思います。勤務と学業、それに加えて家事や育児と、二足、三足のわらじを履いての学校生活は、決して緩やかな道ではありませんでした。しかし、互いに励ましあい、共に手を取り、看護師国家試験合格という同じ目標に向かい歩んできた道は、かけがえのない宝となりました。
学校生活の思い出のひとつに、北海道への研修旅行がありますが、寝食を共にし、貴重な医学標本館の見学や、広大で美しい自然の中で感性を磨き、仲間との交流を深めることが出来ました。そのことが、3年生での7ヶ月間の臨地実習を乗り越えられる、糧になったのではないかと思います。
臨地実習では、頭で考えていることを、上手く文章で表現出来ず、眠れない日々が続き、出来ない自分が不甲斐無く、涙することもありました。しかし、患者さんの前では、常に笑顔で明るく振舞い、患者さんにとって、今、何を一番に優先するべきかを考え、先生方や臨床の場で諸先輩方に御指導を頂きながら、自らの看護観を見つめ直すきっかけとなりました。
4週間の成人実習では、老年期の患者さんを受け持つことが多く、現代の高齢化社会を身をもって感じました。実習の最終日に、患者さんや家族の方から「寂しくなるね、でも、頑張っていい看護師さんになってね」と言葉を掛けて頂き、嬉しさと別れの寂しさで泣いてしまうこともありました。また、緩和ケアの実習では、看護の看という字は、手と目で出来ているのだということを改めて学び、在宅で死を迎える患者さんや家族の愛に触れ、溢れる涙を止めることが出来ませんでした。唯一、クラス全員が同時に行った精神科実習では、毎年恒例となっている運動会に参加し、クラス全員が思い思いのかつらを被り、患者さんに楽しんでもらおうと、恥ずかしがることなく堂々とダンスを披露しました。元気な子どもたちに「お姉ちゃん先生」と呼ばれ、照りつける日差しの中、クタクタになるまで鬼ごっこをした保育園実習、認知症の利用者さんにいきなり怒られ、どう対応していいかわからず、オロオロした介護老人保健施設での実習。たくさんの人と出会い、触れ合うことで真の看護とは何かを学び、自分たちの役割を認識しました。
楽しい思い出だけではなく、辛いこともたくさんありましたが、ここまで辿り着けたのは、お互いの気持ちをいたわりあい、支えあった仲間や、陰になり日向になり、励まし続けて下さった先生方、そして、体調を気遣い、温かく見守って下さった御家族の皆様のお陰だと、感謝の気持ちでいっぱいです。
臨地実習が終わると、息つく間もなく卒業試験や模擬試験が続き、結果に一喜一憂しながら、ひとりひとりがくじけそうになる自分との闘いを始めました。先生方が、やきもきしながら私たちのお尻を叩き、補習講義を快く引き受けて下さった講師の先生方に、効率よく勉強する方法なども教えて頂き、今までの人生の中で、これほど勉強したことはない、と言っても過言ではない程、参考書や問題集と向き合いました。福岡へ出発する朝、駅まで見送りに来て下さった先生方の、「大丈夫だから、自信を持って、落ち着いて」という心強い応援を背に、移動の間、片時も参考書を手放さず、不安な気持ちをかき消すかのように目を通していました。国家試験当日、福岡は朝から雪が降り、寒さと緊張で震えながらも、先生方の言葉を思い出し、自分を信じて、落ち着いて試験に臨むことが出来ました。
二年生に進級したとき、担任の松村先生が「看護学校時代の友人は、一生の友人になる」と言われました。今、その言葉は真実だと確信しています。同じ目標に向かって歩み始めたものの、勤務との両立にくじけそうになったり、職場や学校での人間関係で悩んだりと、様々な出来事がありました。そんなとき、夜中まで話を聞いてくれたり、気分転換に付き合ってくれたりと、自分のことのように考えてくれた友人たちは、今後の人生に於いても、かけがえのない存在となりました。これは、学問のみならず、ひとりの人間として個性を重視し、私たちを信用して下さった先生方のおられる、この鹿児島市医師会看護専門学校でなければ、得られなかったものと思います。私たちは、本校が母校であることを誇りに、これからの人生を力強く、一歩一歩を確実に、それぞれの分野で頑張っていきたいと思います。
諸先生方、今日まで本当にお世話になりました。改めて御礼を申し上げます。本校にはユニークな先生、ファイトある先生が多数おられ、そんな先生方に御指導頂きましたことが、今後の看護師としての人生に、多くの影響を与えられたのではないかと思います。まだまだ、未熟、未完成の私たちに、卒業後もよろしく御指導下さいますよう、お願い致します。
一年生の皆さん、専門課程での一年はあっという間に過ぎたのではないでしょうか。勤務と学業の生活にも慣れ、自分のリズムを掴めてきたことと思いますが、四月には本校最後の学生が入学します。他人に流されず、自分の信念をしっかりと持ち、学びを深め、先輩として手本となれるよう、頑張って下さい。
二年生の皆さん、臨地実習を目前に、不安を抱いていることと思います。レポートに記録にと、やらなければいけないことは山のようにありますが、時間を有効に使い、時には気分転換をすることも必要です。実習は辛いこともたくさんありますが、患者さんとの出会いは、一生忘れることのない、思い出となります。悩みはひとりで抱え込まず、仲間や先生方に話すことで、気持ちが楽になり、自分はひとりじゃないと、実感できることでしょう。積極的に学び、残りの一年間を有意義に過ごして下さい。
最後になりましたが、私たち35期生は本校での学びを元に、看護師として社会に貢献していく所存でございます。本日、卒業出来る喜びを、多くの方々に感謝しつつ、皆様方の御健康、御多幸を心よりお祈りし、お礼の言葉とさせて頂きます。
平成20年3月4日
鹿児島市医師会看護専門学校専門課程
第35期生代表 瀧山 玲奈

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