=== 年頭のあいさつ ===

年  頭  の  ご  挨  拶
会  長

     市 来 健 生
 あけましておめでとうございます。
 2008年の年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 2007年は選挙の多い年でした。4月の県議会議員選挙では我らが医師会員でもある大園清信先生の再選を無事果たすことが出来ましたが、7月の参議院選挙では自由民主党が大きく議席数を減らし、参議院では与野党逆転という構図になりました。日本医師会が推した武見敬三候補のまさかの落選は大いにショックでした。『政治なくして医政なし、医政なくして医療なし』の言葉は、現実的なアプローチ手法を言い当てているとしても、必ずしも医師会のあるべき姿を示していないのではないかと思い知らされました。
 2007年はまた、医政において見過ごされてきた地域医療や、年金や保険をはじめとする諸種システムが崩壊の危機に瀕していることが浮き彫りになった年でもありました。全国に生じた地域間の格差は一段と広がり、国民の不安と不信感が高まり、まさに近年の性急な財政優先の構造改革路線が、国民医療をはじめ、日常の生活や生計に大きな疲弊をもたらしたと言えると思います。今後は国民の目線に立った政策の推進が一層重要となると考えられ、少なくとも医療関連事項に関しては、国民に十分な説明を行い十分な理解をもたらし、政策転換を含めたより良い改革に導くのが医師会の責任だと考えます。
 鹿児島市医師会に目を転じると、林茂文前会長のご病気による辞任に伴い、私が会長に尾辻章宣先生が副会長に就任し、役職員一丸となって会務に当たっているところですが、共同利用施設の運営をはじめ難題が山積している状況です。
 まずは、閉校の決定している看護専門学校ですが、閉校決定後に7対1の看護等による看護師不足問題が発生し、今後の看護師確保対策に苦慮しているところです。鹿児島県、鹿児島県医師会も本校の閉校に困惑している中で、鹿児島市内に新たな看護学校開設の動きがあり、看護師確保とともに本校のスタッフの移籍先としても有望であり、本会としても可能な限り支援して行くつもりです。
 看護師不足だけでなく、医師不足、とくに小児科医、産婦人科医の不足は鹿児島市でも例外ではなく、夜間急病センター小児科では鹿児島大学小児科、鹿児島市小児科医会の先生方に多大な負担を強いているところです。
それでも、いつ穴が開いてもおかしくない状況です。産婦人科ではマンパワー不足で今年度からオンコール制に移行せざるを得ませんでした。運営形態自体の再検討も必要な時期に来ているようです。
 鹿児島市医師会病院は幸いにも、看護師の新たな雇用に依らず配置転換のみにて7対1看護基準を満たすことが出来、病院経営に大きく貢献しています。しかし、度重なる医療制度改革による減収に加え、税制、公益法人改革の内容次第では、根本的な運営方針の転換を余儀なくされる可能性もありますが、地域医療を守るため、とくに会員施設のバックアップ機能を果たすため、何としても存続させて行かなければならないと思います。スタッフは向上心旺盛で、医療担当者としても、人としても成熟しつつあることが実感され、真に病院機能評価Version5に値する病院に成長しています。会員の先生方にはより一層のご利用をお願い申し上げます。
 鹿児島市医師会臨床検査センターの運営はさらに厳しい状況にあります。これも根本は医療制度改革がもたらしたものですが、会員のセンター離れがジワジワと進んでいます。
民間検査機関の検査料金は医師会検査センターを基準にして設定される為、わずかに安価な料金設定がされます。つまり、価格競争では永遠に当センターには勝ち目がなく、検査の精度、迅速性は勿論のこと、FAXサービスや診療支援システム、個別セットや料金割引制度などの付加価値を提示していますが、医療機関経営の厳しい現状の中では、料金でアッサリ押し切られてしまうのが残念でなりません。しかし、仮に当センターが閉鎖すれば、民間の検査料金が一気に値上がりすることが予想され、当センターが防波堤の役目を果たしているのです。何もかも承知の上で当センターの利用を続けてくださっている先生方には心より感謝申し上げます。
 さて、来年度から後期高齢者医療制度と特定健診・特定保健指導が始まります。これも医療費抑制と電子化およびオンライン化活性化策の一環で、健診の内容としては基本健診に比して後退したと言わざるを得ませんが、健康成人の予防健診と言った色合いが濃く、40歳から74歳の全ての被保険者が受診するため、かかりつけ医機能を持つ診療科の先生方は必ずご理解の上、少なくとも特定健診機関を受託していただくことをお願い申し上げます。鹿児島市医師会では繰り返し説明会等を開催して来ましたが、未だに十分に浸透していないと思われます。医師会報やホームページにて詳細を掲示していますのでご確認くださるようお願いいたします。
 最後になりましたが、会員の皆様のますますのご健勝とご繁栄を祈念して年頭のご挨拶といたします。




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