=== 新春随筆 ===
子 年、年 男 の 思 い |

(S11.7.30生)
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西区・甲北支部
(まろにえリハビリテーションクリニック院長)
谷口 良康
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平成20年は十二支の子年です。区切りのよい年であり、子も十二支の1番目ですので改めて出発の年のようです。
ここで改めて思うことですが、子年に共通する性格、運勢があるのでしょうか。よく血液型と性格が言われますが、高島観象暦によりますと、私の運勢は柔和で細かい配慮ができるが、些細なことで怒りやすい点が見受けられ、今年は生来の性格が出やすいので要注意と出ています。それから積極的行動を控えるようにとのことです。中庸をもって心構えとすることが大切でしょう。年齢も72歳となり、いろいろと老化現象がでつつあります。行動には、年寄りの冷や水にならないように気をつけたいと思います。
ところで子年は勤勉で、几帳面で小銭がたまると聞いたことがあります。その代わりに一獲千金の山師の性格とは縁遠い、思い切ったギャンブルが打てないのが欠点で、人間的魅力に欠けるのかなと思います。石橋をたたいて渡る性格であれば、医師として、現在の厳しい医療環境にふさわしい性格とも言えます。
石橋をたたいて渡るといえば、かつての巨人軍の監督をされ、日本シリーズで9連覇を達成された川上哲治氏を思い出します。川上監督自身、すばらしい打者であり、ホームランバッターでした。彼のライナー性のホームランは有名です。打者としては大下が天才、川上は努力の人といわれています。
川上監督の作戦は石橋をたたいて渡る作戦で、面白くないといわれたものです。しかし彼の下で戦う選手は綺羅星のごとくで、今でもあのような有名選手は集まらないでしょう。長嶋、王、広岡、黒江、森、堀内、高田、などなど、これらの選手を育て上げたコーチも偉いが、磨きをかけた監督も偉い。
おそらく勝つ作戦の基本は1本のヒットといかに進塁させて点に結びつけるかでしょう。これは高校野球の鉄則ですが、プロではそこに花形のホームランバッターが打点に結びつく活躍をする。長嶋、王の打撃はすばらしいものでした。現在のプロ野球でも、勝つ野球にこだわれば、この作戦が一番でしょう。オールジャパンの星野監督がそのような作戦です。川上さんは今でも元気で、85歳くらいと思いますが、監督を引退されてから、ゴルフにこだわっておられるようです。芯からスポーツ好きの方です。私もスポーツ大好き、生きがいでさえあります。家内がそろそろ退職者らしく、読書、書道、屋内での趣味を見つけて、優雅に暮らしてはと言いますが、とてもそんな気になりません。
川上さんがゴルフの週間雑誌に投稿されています。これを読むと、いかにこだわりの性格かがうかがわれます。今はスコアーは80台から90台のようですが、スイングについて、道具へのこだわり、シャフトの品質などいろいろと書かれており、さすがプロ野球の監督をされた方だと感心します。80歳を過ぎても技術や道具にこだわる人はいないでしょう。私もゴルフ大好きで、月に平均2回程度ですが、しかし趣味でのゴルフは面白くない。スコアーにこだわり、一打、一打にこだわるゲームが面白い。
時々都城からみえる某氏は75歳ですが、私が飛び込みで行くと、同じ組でプレーされます。スロープレーヤーで同伴者が嫌がる性格です。自分のプレーにこだわって、アプローチ、パターに時間をかける。私は短気な性格ですので、プレーは比較的早い。しかし彼の諸動作には意味があるようで、のろのろ動作ではなく、状況判断に時間をかけていると思われ何をしようとしているのか、興味をもってみています。従って彼とラウンドすることに抵抗を感じません。ドライバー飛距離ではいまだに彼に負けます。
年をとるとともに物事にこだわったり、考えたり、工夫したりすることから離れてゆくのが自然でしょうが、それでは脳細胞機能の衰退が加速し、おめでたい人間になってゆくのが関の山で、一日一日での物事へのこだわり、工夫、何故かという気持ちを失ってはならないと思います。
最後になりますが、医学部学生時代の指導教官であった故 佐藤八郎先生からいただいた色紙には「学然後知不足」とあります。70歳を過ぎた私にとっていまだに学びて足らざるを知る心境です。

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