=== 設立60周年記念特集 ===
市 民 健 康 ま つ り
|
|
中央区・中央支部
(花牟礼耳鼻咽喉科) 浅野 庄三
|
|
 医師会の仕事は多岐にわたるため理事はそれぞれ担当を任命される。私の最初の主担当が健康教育であった。当時の大きな仕事は、市民健康まつりを共同主催団体と開催することと、MBCテレビで週1回10分間生放送の、医師会に提供された健康番組の、テーマと担当医師の決定であった。
市民健康まつりは、昭和59年有馬桂先生が担当で始められたもので、平成4年私が担当した時は、もう定着していて、共催及び協力団体も多くなり順調に発展していた。土曜日の講演会、日曜日の各団体による展示、医療相談も盛況になってきていた。ただ土曜日の講演会にどの程度聴衆が集まるのか、少ないと講師に気の毒だと気をもんだ。人集めに、薬剤師会の薬草展と薬草苗木の無料配布が当初より目玉であったが、小学生のポスター展なども行った。会場も山下町の中央公民館では手狭になり、節目の第10回より鹿児島アリーナに移ったが、予算が少なくてアルバイトを雇うお金が無く、会場の設営後片付けに医師会職員に夜遅くまで掛かってしてもらったことが思い出される。アリーナは広く、全ての医療関係団体に呼びかけ、参加してもらっても余裕があった。来場者も多くなり、目的を持って来られ、栄養相談、体力測定、体験コーナーなど毎年のように来られる方、また心電図検査に一目散に行く方も見られた。反省会ではもっと若い人の参加が多くならないものかといつも話題になったが、高齢になると何かと健康に不安を抱くようになるためで、健康教育としてはもう手遅れであるが、致し方の無いことと思われる。健康相談でもすでに医療機関に掛かっていて、セカンドオピニオン的なものが多かったように思う。
現在の医療は、高度化していて多くの専門の国家資格を持った方々によって支えられて成り立っている。患者さんは自分の受けている検査や治療については理解されておられるだろうが、現在どのような専門医療職があり、活躍しているのかを理解されている方は少ないであろう。市民健康まつりで、これらの医療の現状を理解してもらうことはとても大切なことである。各専門医療職の方々が、誇りと自信を持って対応しておられるのをみると、後に続こうとする若い人が必ず出てくるものと思われる。医師会は前面に出る必要はなく行政とともにプロモーターに徹し、各医療専門職の方々に、活動の場を提供し思う存分に活躍してもらうことである。市民健康まつりの役割は大きい。
高齢化で老人医療の制度も次々変わり、医療の地域格差、医師の偏在化など医療界は混乱してきている。行政と医師会が中心となって、老人医療、介護や福祉の現状を理解してもらい、ゆりかごから墓場まで、安心して過ごせるための医療、介護、福祉のシステムをPRし構築していく必要がある。気軽に参加できる市民健康まつりの意義は大きくなるばかりで、益々工夫発展させるべきである。また医師会は、会員が医療に専念でき、地域住民に奉仕できるように支援すべきものと思っている。新制医師会60周年を機に、健康教育を通して医師会活動の重要性を再認識する次第である。

|
このサイトの文章、画像などを許可なく保存、転載する事を禁止します。
(C)Kagoshima City Medical Association 2009 |