編集後記


 この秋は、第90代内閣総理大臣、平成になってから11人目、戦後最年少(52歳)の安倍晋三首相が突然の辞任を発表し、9月23日、秋分の日に福田康夫・自民党新総裁が選出されました。この日からだんだんと日照時間が短くなり、これから寒い季節に向かいますが、政治や経済、医療情勢はあたたかくなってほしいものです。

 『誌上ギャラリー』に天辰健二先生より−中秋の名月と松本城天守閣−をいただきました。美しい満月の写真をありがとうございます。秋のさわやかな天空に輝く満月に心も涼しく、さわやかになりそうです。中秋とは旧暦の8月15日ですので、毎年、違う新暦となります。天辰先生がお書きになっているように平成18年は旧暦の8月15日(中秋)は新暦10月6日でした。旧暦の15日であれば満月であるのかと思いきや、必ずしも中秋の日が満月であるとは限らないそうです。平成18年の満月は10月7日だったそうですので、まさに先生が写真に収められた10月7日の月が平成18年の(中秋の)満月です。今年の中秋は9月25日、満月は9月27日とのことです。

 さて、秋分の日の話にもどりますが、今年は9月23日です。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によりますと、『秋分の日は1948年公布・施行の国民の祝日に関する法律(祝日法)によって制定された。祝日法の上では「秋分日」としており、その前年の2月1日に、国立天文台が作成する「暦象年表」という小冊子に基づいて閣議で決定され、官報で発表される。よって、2年後以降の秋分の日の日付は確定していないことになる。なお天文計算上、2011年までは毎年9月23日で変わらない』との事です。

 今年は23日が秋分の日、25日が中秋、27日が満月となりました。たまには背筋を伸ばして夜空を見上げ、満月を愛でたいと思います。一枚の写真から中秋、秋分の日、満月についていろいろと勉強することができました。

 『論説と話題』には南武嗣先生から麻疹の話題、『学術』には今村病院、東貴寛先生からサルモネラ腸炎の話題と今月号は2つの感染症に関する記事をご投稿いただきました。麻疹に関しては行政の強力な協力が必要であることが理解できました。今後、鹿児島県での麻疹対策が小児科、内科、皮膚科の先生方を中心に強力に推進されることを期待いたします。『学術』にはまた鹿児島医療センター、山下正文先生より大動脈置換術について報告をいただきました。

 『随筆』には朝倉哲彦先生より脳外科の父、クッシング博士の記事をご寄稿いただきましたが、クッシング博士の時代にも医師のサラリーをどうすれば医学教育の向上、患者医療の向上にむすびつくかが大きな問題であったとの事、現代の我々にも通ずるものがあります。松下敏夫先生からは英国アイアンブリッジ渓谷訪問の記事をいただきました。我が鹿児島も近代日本の原点となった集成館、尚古集成館、異人館など産業遺産の候補が多くあり、今後の世界遺産登録の運動が盛り上がるように願います。脇丸孝志先生からは終戦間際に旧満州に配属になった先生の朋友の手記を披露していただきました。当時20歳であると、現在すでに80歳をこえておられると思われます。淡々とした手記から戦争、終戦という時期を先生方の年代の方が大変な御苦労で乗り越えてこられた事を想いました。

 『訃報』中野一先生、小川幸男先生のご逝去にあたり市来健生会長より弔辞をいただきました。ご冥福をお祈り申し上げます。

 満月の頃には新内閣も発表されていると思います。輝く満月のような日本の将来を約束してほしいものです。

 ほかにも多くのご投稿をいただいておりますが、編集の都合などもあり、全ての記事のご紹介ができませんでしたこと、ご了承をお願いするとともに、ご寄稿を感謝申し上げます。暑さ、寒さも彼岸まで。会員の皆様にも、みのり多き秋になりますよう。

                                         (編集委員 大西 義孝
 


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