編 集 後 記
◆今年も 8 月15日がやってきました。61回目の終戦記念日であります。今年のこの日は誠に盛り沢山の行事がありました。朝早くから靖国参拝という小泉劇場の最後の独演を見、正午には全国戦没者追悼式で天皇陛下の意味深いお言葉を聞き、夜には首相とかっては刎頚の友であった加藤議員の母屋の全焼というおまけまで付いてこれも小泉劇場のアドリブかなと思うような一幕でした。毎年この日は平和について様々な分野で討議されていますが、今年は靖国問題も加わりまして一層複雑な論議になっているようです。イラクへの自衛隊派遣の問題でも、平和の希求についても国主導であります。崇高な大和民族のゆえんか、島国民族の性なのか、わが国民は平和ボケした国民であることを否めません。翻って医療制度に対しても誠に心優しい(?)国民であります。
◆今月の論説と話題は去る 7 月16、17日に行われた九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会の報告であります。この協議会は医師会部門、検査センター部門、検診部門など共同施設の問題点を九州地区で熱心に討議する会であります。鹿児島市医師会は医師会部門、検査センター部門で発表しました。今回の統一テーマである診療報酬の影響について活発な討議が行われましたが、明るい内容のものは見られず、厳しい現実だけが露呈した会となりました。もう一つの論説と話題は先日の総会での陶山賢治氏による「時代の風を読む…メディアの現場から」という特別講演であります。陶山氏は南日本新聞、現MBCキャスターとして活躍中で、この領域では知らない人は誰一人いないと言っても過言ではありません。医療に関しては門外漢と仰っていましたが、医療の話題に関する切り込みには我々も驚くような鋭いものを感じました。さすが報道人だなと思うと同時に新鮮な見方を教わったような気がしまして、とても有意義な講演でした。久しぶりにスライドのない講演でありましたが、あっという間の 1 時間余であり全く飽きさせない内容には感心した次第です。
◆今月号は緑陰銷夏号です。ご寄稿頂きました11名の執筆者の皆様、誠に有難うございます。更に、新春随筆号ともにいつもご寄稿して頂いておられる方々には心から御礼申し上げます。各々の素晴らしい作品に所感を述べさせて頂く事は、失礼でもあり、困難でもあります。読者の皆々様にお任せしたいと思っております。
◆学術は市立病院産婦人科部長の波多江正紀先生の「第 3 回卵巣癌会議を開催して」という内容の論文です。本年 6 月に開催された卵巣癌の国際会議での病理学からのディスカッション、標的マーカーの検討、腫瘍治療の最前線など今日の最先端の情報、研究が掲載されております。門外漢にはやや難解ですが、鹿児島市立病院産婦人科の素晴らしい業績の一端を見ることが出来たと思いました。皆様も是非お読みください。
◆随筆は連載中の「脳外科の父ハーヴェー・クッシング」が第 7 話と佳境に入った感があります。朝倉哲彦先生の情熱が号を増すにつれ、高まってくる気がしております。楽しみです。
◆今月号から医報のマイナーチェンジを試みております。例えば、会長動静、医師会日誌云々。医報も絶えず進化していきます。ただ、古き佳きものは大切に残すという姿勢は変わりません。今後とも会員の先生方のご理解とご指導をよろしくお願いします。
(副編集委員長 有村 敏明)

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