鹿 市 医 都 都 逸(5)


    



お 題:「朝 顔」(あさがお)


 錦江支部 城山狐狸庵

夜も明けぬ間に電話で呼ばれ 朝顔見物眠い顔

釣瓶取るにも釣瓶が無くて 仕方無いから壁に這う

私しゃ朝だけお主に会える 夜になったら萎んでる

甘え言葉で 誘っておいて 顔見た途端に 鬼の顔

あきれた人だよ さっきの言葉 我慢するのは 俺だけさ

朝も早よから 騒ぎを起こし 堪忍袋の 緒が切れた


 上町支部 吉野なでしこ

余(あま)り物でも さっとは捨てず 隠(かく)し味変え お惣菜(かず)へと

あら、又、忘れ さっきのメモを カンニングして お買物


 鑑  史朗

朝顔柄の 浴衣も清し いずれ劣らぬ 花と花

ラジオ体操 道行く庭に 朝顔咲いて 清々し

朝の挨拶 さわやか笑顔 叶う当選 お礼まで

あとは任すか 宰相の椅子 頑固に残すか 俺流を


 變 竹 林

あたしゃ 所詮(しょせん)は 刺身(さしみ)のつまよ 合点(がてん)承知で お付(つ)き合(あ)い 相伴(しょうばん)

熱燗(あつかん)とくり(徳利) 注(さ)しつ注(さ)されつ ガンモつつくも 乙(おつ)なもの

愛想(あいそ)尽きたと さめざめ泣いて ガングロ滲(にじ)んだ お嬢さん


鹿 市 医 都 都 逸 募 集
◎9 号
 お 題 「秋茄子」(あきなす)
 締切日 平成18年9月5日
◎10 号
 お 題 「女 心」(おんなごころ)
     「男 心」(おとこごころ)
     どちらでも可
 締切日 平成18年10月5日
◇選者 猪鹿倉 武
◇次回より左記を基準に選定していただき、入選作品を掲載することにいたしますのでご理解の上
 どしどしご応募ください。
◇選定基準
 1、詩が三味線の糸にのる作品になっているか。
 2、詩に人情の機微が唄いこまれているか。
 3、粋な心情、心意気を表現しているか。
◇応募先 〒八九二−〇八四六
 鹿児島市加治屋町三番十号
 鹿児島市医師会『鹿児島市医報』編集係
 TEL 〇九九−二二六−三七三七
 FAX 〇九九−二二五−六〇九九
 E-mail:kasiisoumu-e@po.minc.ne.jp
◇選者から
 「都都逸は三味線の糸にのせて心意気や心の悩み、時には世相と庶民の気持ちを唄い上げたものです。
  そこで、昔より唄われたものを毎回2、3ご披露申し上げましょう。」

《参考作品》

 一筋(ひとすじ)とばかり思(おも)ひし この朝顔(あさがお)は いつか隣(となり)へ 隠(かく)れ咲(ざき)

 朝顔(あさがお)が便(たよ)りし竹にも 振(ふ)り放(はな)されてうつむきゃ 涙(なみだ)の露(つゆ)が散(ち)る



都 都 逸 募 集

 『鹿児島市医報』では、都都逸を募集いたします。
 都都逸は江戸後期に流行した「七・七・七・五」の二六音字で詠まれる定型詩です。恋情を詠ったものが一般的ですが、社会風刺的な都都逸も数多く生まれています。
 俳句や短歌のように季語などの難しい制限がなく、日常の出来事を題材に、粋に面白く、ときに皮肉を込めて、自由に詠える都都逸は、その親しみ易さから時代を越えて多くの愛好者がいます。
 初めての方でも下記の「都都逸講座」を読めばバッチリです。皆さん、都都逸に挑戦してみませんか?
 ユーモアと機知、風刺に富んだたくさんの作品をお待ちしております。

都都逸講座
 都都逸は「七・七・七・五」の二六音字の定型詩ですが、ひとつルールがあります。
 それは、「七・七・七・五」の七音のかたまりを更に「三・四」「四・三」「三・四」「五」のリズム(語呂がよくなる)で詠むというものです。
 最初の七を「上七」、二番目を「中七」、三番目を「下七」、最後の五を「座五」といい、上七と下七には字余りが認められていますが、その形は四四形に限られます。
 また、字余りではありませんが、中七は「四・三」形の他に「二・五」形が認められています。
例えば、『散切り頭を 叩いてみれば 文明開化の 音がする』という歌では、「ざんぎりあたまを」を上七、「たたいてみれば」を中七、「ぶんめいかいかの」を下七、「おとがする」を座五といいます。
 どどいつ(都都逸)とは庶民の心の悩み、悲しみ、ネオン界の男女の喜怒哀楽を、また、世の中の不満などを三味線で唄にのせ、小粋に口遊(ずさ)んだものです。




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