326・三條 風雲児 選 |
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天
大崎町 植村聴診器
郷中寄合の最後は太鼓三味線はいや節
ごじゅよいの しめはてこしやん はいやぶし
(唱)囃子すかけかけ立っ上がっ
(唱)はやすかけかけ たっちゃがっ
はんや節ともはいや節とも言われますけれども、この唄は、宴会等では必ず出てくると言ってもよいと思います。
それは、そのテンポや、浮き立たせるような軽快さが、踊りをするのにぴったりだからだろうと思われます。
この唄は、昔の船乗りたちが、全国の港で伝えたらしく、それぞれ少しずつ変わってはいますが、今でも各地に残っているようです。東北でうたわれるあいや節など、その代表的なものでしょう。
ところでこの句は、鹿児島の集落なら、どこでもありそうなことを、巧まずさらりと詠まれたと思います。読み手に想像させる余地を残されたのもよかったと思います。
地
錦江支部 城山古狸庵
馬踊い祝儀を貰ろたや元気きなっ
うまおどい はなをもろたや げんきなっ
(唱)糸も切るいめ張い上ぐい三味線
(唱)いともきるいめ はいやぐいしゃん
私たちが馬踊いと言っているものは、国分八幡(鹿児島神宮)の馬頭観音の縁日に行われたもので、昔は旧暦一月十八日の馬頭観音の縁日でした。現在は二月の日曜日になっているのではないかと思います。
首や鞍に鈴をつけ、飾り鞍に福俵やめのもち、ポンパチなどをつけた鈴懸馬が、太鼓や三味線や唄に合わせて、足をそろえて調子をとります。
祝儀を貰って張り切るのは馬ではないのですが、馬が元気を出したような表現が面白かったと思います。
人
上町支部 吉野なでしこ
夜のよして踊いの後い湿布貼い
よのよして おどいのあとい しっぷはい
(唱)直きやむればよかったち後悔
(唱)いっきやむれば よかったちくけ
かねがね踊りをしているとか、踊りでなくても、体を動かすような運動をしていれば、踊りをしたからどうということはないのです。
ところが、急に踊りをしたものだから、体のあちこちが痛みだしたのでしょう。湿布を貼って、その痛みをおさえようとしている訳です。
踊りにかぎらず、急にかねて使わない筋肉を使うようなことをすると、このような結果を招くことはよくあることで、歳を感じさせられるものです。
五客一席
清滝支部 鮫島爺児医
踊い好っ頼まれんでん踊いでっ
おどいすっ たのまれんでん おどいでっ
(唱)ぶんと食っちゃおらん態の料理
(唱)ぶんとたもっちゃ おらんふのじゅい
五客二席
武岡 志郎
謹厳て親父ず嬉しか焼酎が踊らせっ
かておやず うれしかしょちゅが おどらせっ
(唱)どこで稽古をばしたとやら上手
(唱)どこでけこをば したとやらじょし
五客三席
紫南支部 紫原ぢごろ
踊いの座婆の三味線が盛い上げっ
おどいのざ ばのしゃんせんが もいやげっ
(唱)弾っかたで唄とまこてよか声
(唱)ひっかたでうと まこてよかこえ
五客四席
荒田支部 荒田案山子
幼け子も混じっ笑顔で盆踊い
ちんけこも まじっえがおで ぼんおどい
(唱)そゆば晩にな描ちょい絵日記
(唱)そゆばばんにな けちょいえにっき
五客五席
姶良郡 大久保直義
盆踊い浴衣が背中けこばいちっ
ぼんおどい ゆかたがせなけ こばいちっ
(唱)途中で休わんじゃったで大汗
(唱)つとでよくわん じゃったでうあせ
秀 逸
大崎町 植村聴診器
寸胴妻相撲取い節すば上手じ踊っ
ずんどかか すもといぶすば じょじおどっ
(唱)力士いかった似ちょい太鼓腹
(唱)すもといかった にちょいてこばら
錦江支部 城山古狸庵
焼酎好っのお通夜ん最後は踊いなっ
しょちゅすっの おつやんしめは おどいなっ
(唱)おてちた顔で行こで黄泉
(唱)おてちたつらで いこでさっのよ
上町支部 吉野なでしこ
前ん衆ん手足す見い見い踊いかた
まえんしん てあすみいみい おどいかた
(唱)はしとやれよち父ちゃんの声
(唱)はしとやれよち とうちゃんのこえ
武岡 志郎
百歳の手踊や市長い御礼いなっ
ひゃっさいの ておどやしちょい ごれいなっ
(唱)見舞どん貰ろっ運の良長生っ
(唱)みめどんもろっ ふのえながいっ
清滝支部 鮫島爺児医
馬踊い慣れた手綱で笑わせっ
うまおどい なれたたづなで わるわせっ
(唱)すったい疲れた面をした馬
(唱)すったいだれた つらをしたうま
紫南支部 紫原ぢごろ
踊い見が踊らな損ち踊いでっ
おどいみが おどらなそんち おどいでっ
(唱)やっぱい好っか上手な飛び入い
(唱)やっぱいすっか じょしなとびいい
荒田支部 荒田案山子
盆踊い若け子の熱気き当てられっ
ぼんおどい わけこのねっき あてられっ
(唱)まこてうらやましかたアベック
(唱)まこてうらやましかたアベック
姶良郡 大久保直義
デイケアは今日も踊らせっ終いなっ
デイケアは きゆもおどらせっ しまいなっ
(唱)看護師どんも汗をびっしょい
(唱)かんごしどんも あせをびっしょい
伊敷支部 矢上大寝坊
こん五年首相は改革き踊い狂れ
こんごねん しゅしょはかいかき おどいぐれ
(唱)そん付け堪さんあんべん庶民
(唱)そんつけのさん あんべんしょみん
参 考 作 品
早期米ゆ実家ん土産いずし貰ろっ
そうきまゆ さとんみやげい ずしもろっ
戸口かあ靴がはっでい人気医者
とぐつかあ くつがはっでい にんきいしゃ
改革で貰ろ年金も目減ゆしっ
かいかっで もろねんきんも めべゆしっ
小姑ん過ぎた一言ち家が揉めっ
こじゅうとん すぎたひとこち えがもめっ
賞状は沢山あっどんまだも平
しょうじょうは ずばっあっどん まだもひら
薩 摩 郷 句 募 集
◎9 号
題 吟 「 蟹 」(がね)
雑 吟 なんでも可
締 切 平成18年9月5日
◎10 号
題 吟 「 綱 」(つな)
雑 吟 なんでも可
締 切 平成18年10月5日
◇選 者 三條 風雲児
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒八九二−〇八四六
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会『鹿児島市医報』編集係
TEL 〇九九−二二六−三七三七
FAX 〇九九−二二五−六〇九九
E-mail:kasiisoumu-e@po.minc.ne.jp
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