編集後記
五月晴れもあまり長くは続かないようで、6月の梅雨の季節を迎えようとしています。医療現場でもからっとした景気のよい話はなかなかありませんが、「誌上ギャラリー」に有馬先生が美しいシャクヤクの写真を掲載され、ほっとした気持ちになります。不粋な私は花の名前はほとんどわかりませんが、出水市の牡丹園に咲いているとの事。そういえば「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉がありますが、美しいご婦人をたとえる花のようです。ちなみに芍薬と牡丹は似ている花ですが、牡丹は木であり、シャクヤクは多年草、つまり草であるという大きな違いがあるとの事です。仕事柄、婦人科でよく処方する漢方薬のシャクヤクを思い出しました。シャクヤクの根を漢方薬として用いるようです。なんでもかんでも葛根湯を処方する医師を葛根湯医(ヤブ医者の意味でもあるらしい?)と呼ぶそうですが、婦人科では当帰芍薬散というシャクヤクを一成分とする漢方薬があります。妊婦さんの“つわり”でも、月経困難症でも、更年期障害でも、なんでもかんでも、といった適応を持つ便利な薬です。私などは婦人科の当帰芍薬散医と呼ばれるのかもしれません。シャクヤクには鎮痛鎮静・筋弛緩・抗けいれん・血管拡張・抗炎症の効用があります。
「くすり一口メモ」では外来化学療法について解説されています。高齢者、癌患者の増加を考えると、今後はますます化学療法の適応症例が増えてくるものと予測されます。患者さんにとっても、病院のベッド有効利用にとっても有用なシステムとなるでしょう。
「検査一口メモ」では食後の血糖検査の時間について解説してあります。あまり意識せずにおこなっていた糖負荷試験ですが、今後注意しようと思います。
「学術」では今給黎病院より遺伝子検索を行った肺癌の症例が報告されています。近い将来全ての癌患者さんにオーダーメイドの治療が可能になることを期待されます。「切手が語る医学」にはペニシリンのフレミングが描かれた切手が紹介されています。いまだにお世話になっている抗生剤ですが、1928年の発見だったのですね。
「区・支部だより」では荒田支部、錦江支部、郡元支部より執筆いただきました。また、整形外科医会総会の報告もいただきました。
「親善ゴルフ大会」東洋一先生はうれしい優勝の上に16番ホールでご自身2度目のホールインワンも達成されたとのこと、また前田、鮫島両先生の優勝報告があります。お二人とも表彰式には出席できなかったとの事ですが、後日に受け取った連絡に驚きと喜びの両方を楽しまれたようです。優勝された三先生のお喜びのお顔を想像するとこちらまでうれしくなってきました。
「学生作文」では入学したばかりの学生の初々しい気持ちが伝わってきます。
「鹿市医郷壇」や始まったばかりの「鹿市医都都逸」にも多くの応募をいただきました。自分でも挑戦したいのですが、なかなかです。
湿度の高い、うっとうしい梅雨がやってきます。医者の無養生といわれぬように、先生方にはくれぐれも心と体の健康にお気をつけください。
(編集委員 大西 義孝)

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