322・三條 風雲児 選 |
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天
清滝支部 鮫島爺児医
流行医者診断も良どん尻も軽り
はやいいしゃ みたてもえどん しいもかり
(唱)待合室ちな溢るい患者
(唱)まちあいしちな あふるいかんじゃ
私が幼いころ、郷里に産婦人科のお医者さんがおられましたが、「先生、家内の陣痛が始まりました。すぐ来て下さい。」と依頼があると、「帰っておれ、すぐ行く。」と言われるのですが、相手が誰だったかを確かめられないのでよく困られたそうです。看護婦さんがいつも気をきかしていたという話です。
患者には、もちろん診断の的確なことが第一でしょうが、尻が軽いということも有難いことだと思います。そういう先生のところには患者も多いでしょうから、いわゆる「はやるお医者さん」ということになるのでしょう。ただ、前記の産婦人科の先生のようなそそかしさでは困りましょうが。
地
紫南支部 紫原ぢごろ
出来た婚流行じゃいがち籍き入れっ
でけたこん はやいじゃいがち せきいれっ
(唱)三々九度ん頃いな悪阻
(唱)さんさんくどん ころいなつわい
現在の若者たちには、「貞操」なんて言葉は死語かも知れません。昔は婚約しても挙式までは結ばれないのが当たりまえだったようですが、最近はそんなのははやらないのだろうと思います。
子どもができてしまったから結婚して入籍するのはよいのですが、中には子どもができてしまっても、結婚をする気のない厄介なのもあるようです。単なる遊び後のことは知らないよでは、子どもがかわいそうです。こんなのははやらないでほしいものです。
人
武岡 志郎
三歳児も流行の歌い振ゆばしっ
みっつごも はやいのうたい ふゆばしっ
(唱)真似どま出来ん爺さん婆さん
(唱)まねどまでけん じさんばあさん
最近の歌は、年輩の者にはどこがよいのか分からないようなものが多いようです。また、流行している歌を覚えようとしても時間がかかり、どうやら歌えるころには、もう次の歌が流行しています。
ところがこの句のように、小さな子どもたちが、流行している歌を上手に歌ったり歌手の真似をして、手ぶり身ぶりまでやるというのも珍しいことではないようです。こんなのを見ますと、「歳だなあ」と自分のことを寂しく思うことが多い年輩の方々は多いのではないでしょうか。
五客一席
大崎町 植村聴診器
流行ちゅてミニを穿てから脛毛剃い
はやいちゅて ミニをきてから すねげそい
(唱)時間がかかいまこて太て足
(唱)じかんがかかい まこてふてあし
五客二席
荒田支部 荒田案山子
流行風邪ぜ罹いもせんち威張っちょっ
はやいかぜ かかいもせんち いばっちょっ
(唱)馬鹿じゃち証拠じゃんそち女房
(唱)ばかじゃちしょうこ じゃんそちおかた
五客三席
錦江支部 城山古狸庵
こん歳じゃ流行の柄も似合はせじ
こんとしじゃ はやいのがらも によはせじ
(唱)気兼ねは要らん派手な洋服
(唱)きがねはいらん はでなようふっ
五客四席
姶良郡 大久保直義
流行じゃち破れズボンぬぞろびちょっ
はやいじゃち やぶれズボンぬ ぞろびちょっ
(唱)何ちずんだれかよち婆さま
(唱)なんちずんだれ かよちばっさま
五客五席
上町支部 吉野なでしこ
流行病い悪戯坊ずいくたっなっ
はやいびょい われこっぼずい くたっなっ
(唱)さすがばったいならんか病
(唱)さすがばったい ならんかやんめ
秀 逸
錦江支部 城山古狸庵
流行じゃち臍出し歩っ茶髪娘
はやいじゃち へそだしさるっ ちゃばっおご
(唱)こんなま寒んけ気持が知れじ
(唱)こんなまさんけ きもっがしれじ
清滝支部 鮫島爺児医
流行風邪ぜ医者も用心にマスク掛け
はやいかぜ いしゃもよじんに マスクかけ
(唱)感染されたぎい診察ちゃでけじ
(唱)うつされたぎい しんさちゃでけじ
武岡 志郎
流行病で帳面が合た点数減
はやいびょで ちょめんがおた てんすげん
(唱)事務ん仕事も油断なでけじ
(唱)じむんじごっも ゆだんなでけじ
大崎町 植村聴診器
ホリエモン流行語いなっ嫌ろわれっ
ホリエモン はやいごいなっ きろわれっ
(唱)とばっちゆ食たちゅよな政界
(唱)とばっちゆくた ちゅよなせいかい
紫南支部 紫原ぢごろ
雀ん巣流行った後は茶髪ちなっ
すずめんす はやったあとは ちゃぱちなっ
(唱)外人かぶれ好かんち爺さま
(唱)がいじんかぶれ すかんちじさま
荒田支部 荒田案山子
流行歌張い上げたどん次が出らじ
はやいうた はいやげたどん つが出らじ
(唱)覚えたつもいじゃったどん駄目
(唱)おぼえたつもい じゃったどんぼつ
姶良郡 大久保直義
見かぎった昔の服がまた流行っ
みかぎった むかしのふっが またはやっ
(唱)仕舞っおったで良かったち亭主
(唱)なえっおったで よかったちてし
上町支部 吉野なでしこ
流行好っさすが顔黒ずやでけじ
はやいずっ さすががんぐろ ずやでけじ
(唱)いくらなんでんあろだい限度
(唱)いくらなんでん あろだいげんど
清滝支部 鮫島爺児医
流行服場所が違ごえば着もならじ
はやいふっ ばしょがちごえば きもならじ
(唱)雰囲気き合わん物じゃ赤恥
(唱)ふんいきおわん もんじゃあかはっ
参 考 作 品
何か女房け引け目があい態敷かれ亭主
ないかかけ ひけめがあいふ しかれてし
サクラチル三浪ん子いな匙ず投げっ
サクラチル さんろんこいな さずなげっ
若けナース笑顔は良かが痛て注射
わけナース えがおはよかが いてちゅうしゃ
下手な釣い囮の鮎が疲れ倒けっ
へたなつい おといのあいが だれとけっ
薩 摩 郷 句 募 集
◎5号募集要項
1、題 吟 「 傘焼っ」(かさやっ)
2、雑 吟 なんでも可
3、締切日 平成18年5月6日
◎6号募集要項
1、題 吟 「 検査 」
2、雑 吟 なんでも可
3、締切日 平成18年6月5日
◇選 者 三條 風雲児
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 鹿児島市医師会「医報」編集係
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