321・三條 風雲児 選 |
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天
大崎町 植村聴診器
嫁いやっ子育すやっと卒業しっ
よめいやっ こおやすやっと そっぎょしっ
(唱)安心でけん遣繰いの加勢
(唱)あんしんでけん やいくいのかせ
卒業というのは、定められた課程を学び終えて、その学校を去ることをいう訳ですが、これとは別に、ある段階を体験して通りすぎることにも使われるようです。
この句の場合は後者で、子育てが終わったことを、子育てを卒業したと言っておられます。
一般的には、子育てと言えば、手のかかる子どもの頃をいうようですが、実際には成人になってからも、親の世話になるのが多い訳ですから、親にしてみれば、結婚させるまで子育てということになるかも知れません。しかし、結婚後も実家に泣きついてくるのがありますので大へんです。一生子育てかもわかりません。
地
上町支部 吉野なでしこ
黒絵羽も今じゃ流行らん卒業式
くろえばも いまじゃはやらん そっぎょしっ
(唱)余計な金が要らじ助かっ
(唱)よけいなぜんが いらじたすかっ
卒業式に参列する親の方々の着物も、卒業生たちの着るものも、昔と今ではずいぶん違ってきたようです。
昔はなかったものが出てきたり、逆にまた昔のものが出てきたり、流行るもの流行らないものがあるようです。
特に母親や、卒業する女性の場合に見られることでしょう。もっとも、小・中・高の卒業式の場合は、生徒さんたちは制服ですので、絵羽模様といえば、母親の方々ということになります。普段着で参列できることを望んでいる人は多いでしょう。
人
錦江支部 城山古狸庵
卒業式きマスクが取れん花粉症
そっぎょしき マスクがとれん かふんしょう
(唱)涙が出たいくしゃんが出たい
(唱)なんだがでたい くしゃんがでたい
昨年は花粉が大へん多い年だったようですが、それに比べると、今年はだいぶ少ないと言われます。
しかし、花粉症に悩む人は多いようですので、花粉が少ないと言っても安心はできないことでしょう。ちょうど卒業式のころは、花粉が飛ぶ時期ですから、マスクがはずせない人は少なくないのかも知れません。
私は田舎育ちですが、花粉症などというのは昔は聞いたことがありませんでした。今も杉や檜の中で暮していて平気です。
五客一席
荒田支部 荒田案山子
卒業で頑強な青年が涙声
そっぎょぅで はってなにせが なんだごえ
(唱)体で似合わん純情なこっ
(唱)からでによわん じゅじょうなこっ
五客二席
姶良郡 大久保直義
人間も卒業したよな齢しけなっ
にんげんも そっぎょしたよな としけなっ
(唱)こいからゆっくい楽しも余生
(唱)こいからゆっくい たのしもよせい
五客三席
清滝支部 鮫島爺児医
究めてん卒業は遠か診断技
きわめてん そっぎょはとおか みたてわざ
(唱)謙虚な気持ちミスなんだ無し
(唱)けんきょなきもち ミスなんだのし
五客四席
紫南支部 紫原ぢごろ
卒業式紅白饅頭を思め出せっ
そっぎょしっ こはっまんじゅを おめだせっ
(唱)そいが楽しゅんじゃった幼め頃
(唱)そいがたのしゅん じゃったこめころ
五客五席
大崎町 植村聴診器
主婦業も卒業すごたい店屋物
しゅふぎょうも そっぎょすごたい てんやもん
(唱)何十年も休んちゅは無し
(唱)なんじゅうねんも やすんちゅはのし
秀 逸
上町支部 吉野なでしこ
卒業式賞を貰ろ子い家族で出席っ
そっぎょしっ しょうをもろこい けねででっ
(唱)俺い似たとじゃちみんなで自慢
(唱)おいにたとじゃち みんなでおぎら
錦江支部 城山古狸庵
焼酎はもう卒業言かたで飲ん続っ
しょちゅはもう そっぎょちゅかたで のんつじっ
(唱)活力剤じゃ二合ん晩酌
(唱)かつりょくざいじゃ にごんだいやめ
大崎町 植村聴診器
卒業式悪戯坊主ん目いも涙
そっぎょしっ われこっぼん めいもなんだ
(唱)本当の悪じゃなかったとじゃろ
(唱)まこっのわるじゃ なかったとじゃろ
紫南支部 紫原ぢごろ
中退ゆば卒業をしたち嘘を言っ
ちゅうたゆば そっぎょをしたち うそをゆっ
(唱)そいで辞職くばした金バッジ
(唱)そいでじしょくば したきんバッジ
姶良郡 大久保直義
卒業した翌日予備校い入学くしっ
そっぎょした あくひよびこい にゅがくしっ
(唱)来年な入試パスすい覚悟
(唱)でねんなにゅうし パスすいかっご
清滝支部 鮫島爺児医
卒業式答辞をば聞っみな涙
そっぎょしっ とうじをばきっ みななんだ
(唱)さすが代表はよか事つば言っ
(唱)さすがだいひょは よかこつばゆっ
荒田支部 荒田案山子
卒業しっがらっ変わったおべんちゃら
そっぎょしっ がらっかわった おべんちゃら
(唱)世渡い上手ちいうとじゃろだい
(唱)よわたいじょしち いうとじゃろだい
錦江支部 城山古狸庵
来んな言た爺と婆が並るだ卒業式
くんなちゅた じとばがなるだ そっぎょしっ
(唱)孫ん可愛さい行かじなおれじ
(唱)まごんむぞさい いかじなおれじ
姶良郡 大久保直義
卒業を弟と一緒き恥ねこっ
そっぎょぅを おとっといっどき げんねこっ
(唱)後てならじ貰ろ一枚ん証書
(唱)あてならじもろ いっめんしょうしょ
参 考 作 品
子の挨拶ち親ん躾が滲ん出っ
このえさち おやんしつけが にじんでっ
見舞い来た曽孫ん顔が薬いなっ
みめいきた ひまごんつらが くすいなっ
看病疲れ女房も片隅み鼾くけっ
かんびょだれ かかもかたすみ いびくけっ
捨せてん拾る人も無よな傘を差っ
うっせてん ひるてもねよな かさをせっ
薩 摩 郷 句 募 集
◎4号募集要項
1、題 吟 「 流行 」(はやい)
2、雑 吟 なんでも可
3、締切日 平成18年4月5日
◎5号募集要項
1、題 吟 「 傘焼 」(かさやっ)
2、雑 吟 なんでも可
3、締切日 平成18年5月6日
◇選 者 三條 風雲児
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 鹿児島市医師会「医報」編集係
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