鹿市医郷壇

兼題「道(みっ)」


(460) 樋口 一風 選




上町支部 吉野なでしこ

   登い道ちランプが並るだ富士登山
  (のぼいみち らんぷがなるだ ふじとざん)
(唱)光の帯が頂上い続っ
  (ひかいのおっが ちょうじょいつずっ)

 富士山のご来光を拝むには、八合目か、九合目の山小屋に泊まって、早朝に出発するか、五合目から夜中立ちするかでしょう。
 ヘッドランプの明りでは、足元が不安定で難儀をします。人々は唯ひたすらに頂上をめざして、喘ぎ喘ぎ足を運びます。
 それを上から眺めると、延々と光の帯が続いています。登山道の発想が良いです。





霧島 木林

   道つ変えっ季節つ楽しん通勤車
  (みつかえっ きせつたのしん つうきんしゃ)
(唱)思わん所い綺麗れ花が咲っ
  (おもわんとこい きれはながせっ)

 朝夕の通勤に道を変えると、意外な発見があるものです。この家に、こんな花が咲くのかとか、街路樹など、四季の変化を楽しむことができます。くれぐれも安全運転で通り抜けて下さい。今日一日を気分よく仕事が出来ます。





清滝支部 鮫島爺児医

   医者ん道つ迷わじ歩っ後悔あ無し
  (いしゃんみつ まよわじさるっ くけあのし)
(唱)難儀したどん此いが天職
  (なんぎしたどん こいがてんしょっ)

 どんな仕事にも、楽な仕事などはありませんが、人命を救うお医者さんの仕事は大変だろうと思います。嶮しい道を歩いて来た作者の、自信でしょう。誰でもそうありたいものです。




 五客一席 城山古狸庵

   歩だどん終いが見えん医者ん道
  (あゆだどん おわいがみえん いしゃんみっ)
(唱)進んだ医学き毎日が研究
  (すすんだいがき めにっがけんきゅ)


 五客二席 川内つばめ

   道尋っも鹿児島弁じゃ通じらじ
  (みっきっも かごっまべんじゃ つうじらじ)
(唱)天文館も丸で東京
  (てんもんかんも まっでとうきょう)


 五客三席 清滝支部 鮫島爺児医

   山ん中け道が出来たや町ちけなっ
  (やまんなけ みっがでけたや まちけなっ)
(唱)コンビニなんだアッ言うめ建つ
  (こんびになんだ あっちゅうめたつ)


 五客四席 城山古狸庵

   帰っ来た道ちゃけ忘れた酔れ親父
  (もどっきた みちゃけわすれた よくれとと)
(唱)溝い落てたか靴ちゃ泥くさん
  (みぞいおちてか くちゃどろくさん)


 五客五席 印南 本作

   年度末ちゃ道路工事で回い道
  (ねんどまちゃ どうろこうじで まわいみっ)
(唱)美事つなっでち議も言もならじ
  (みごつなっでち ぎもゆもならじ)



秀  逸

紫南支部 二軒茶屋電停
   昔しゃ道ちゃ人て尋ねたが今スマホ
  (むかしゃみちゃ ひとたんねたが いますまほ)

清滝支部 鮫島爺児医
   目の前い新道が出来っ遠回い
  (めのまい しんどがでけっ とおまわい)
   分かれ道つ選っ方でな先きゃ大違げ
  (わかれみつ えらっかたでな さきゃうちげ)
   ただ歩た道も延ばせば月き届っ
  (たださるた みっものばせば つきとじっ)

城山古狸庵
   極道いも道言が今ん世い合わじ
  (ごくどいも みっちゅがいまん よいあわじ)

上町支部 吉野なでしこ
   狭め道で擦やせんかち心配をえっ
  (せめみっで こすやせんかち せえわをえっ)

川内つばめ
   南国が慣れん雪道ち狼狽っ
  (なんごっが なれんゆっみち ばたぐろっ)
   西郷どんの歩ま維新の道つ開っ
  (せごどんの あゆまいしんの みつひれっ)
   此いじゃっち道つば極めた金メダル
  (こいじゃっち みつばきわめた きんめだる)
   天賞いな郷句ん道がまだ遠し
  (てんしょいな きょうくんみっが まだとおし)
   戦争せへ進んだ道つばまた辿っ
  (せんそせへ すすんだみつば またたどっ)

霧島 木林
   先頭く走っ若葉マークが渋滞らせっ
  (さくはしっ わかばまーくが つまらせっ)
   ナび頼っ行たてやっぱい道ち迷っ
  (なびたよっ いたてやっぱい みちまよっ)
        
印南 本作
   誠て良か景色きい出会た回い道
  (まこてよか けしきいでおた まわいみっ)

醤油屋孫一
   帰い道つ呑んだくれ爺がけ迷れっ
  (もどいみつ のんだくれじが けまぐれっ)
   良か友と毎日走った通学路
  (よかどしと めにっはしった つうがっろ)
   久振いの都会の道でけ迷れっ
  (ながぶいの とかいのみっで けまぐれっ)

 薩摩郷句鑑賞 111
   地蔵様も桜吹雪くば身いかぶっ
  (じぞうさあも さくらふぶくば みいかぶっ)
                    秋山タツ子
 地蔵講は、旧暦の正月、五月、九月の二十四日だけれども、この句は地蔵講そのものを詠んだ句ではない。まだ桜には早いので、もうしばらくしてからの地蔵様に、桜吹雪が散るさまをとらえたもの。
 昔から「正・五・九月には死人が多い」と言うが、講や祭りもこの月に行われるものが多い。門外漢で良く分からないが、季節の変わり目、健康状態、それに祭り、これはつながりがあることかも知れない。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋


薩 摩 郷 句 募 集

◎5 号
題 吟 「 カルテ 」
締 切 平成30年4月5日(木)
◎6 号
題 吟 「 下手(へた)」
締 切 平成30年5月7日(月)
◇選 者 樋口 一風
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
 鹿児島市加治屋町三番十号
 鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:ihou@city.kagoshima.med.or.jp


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