=== 随筆・その他 ===

厚労省がセンター調査報告書の公表を否定




 中央区・清滝支部
(小田原病院)  小田原 良治

 本年1月27日号の日本医事新報(No.4892)記事に,「センター調査の報告書『公表するという議論はない』[事故調で厚労省室長が見解]」との記事が載った。昨年からの筆者らの行動が明確に形として現れたのである。これで,当面,センターの暴走は押さえられるであろう。この間,われわれ現場は,地道に医療事故調査制度の定着に努めなければならない。日本医事新報記事は適切に報道しているので,この記事を引用しながら考察を行いたい。

日本医事新報記事
 厚生労働省の名越究医療安全推進室長は1月18日,医療事故調査制度におけるセンター調査の報告書について「公表するという議論はない」と述べ,省内で報告書の公表に向けた検討はしていないことを明らかにした。・・・センターを運営する日本医療安全調査機構は昨年8月,センター調査による再発防止策は貴重な提言であるとして,将来的にセンター調査の結果について個人情報を伏せた上で公表するよう厚労省と議論する意向を表明していた。
 これに対し,日本医療法人協会医療安全部会は翌月に反対の声明を発表。センター調査は院内調査の検証業務であり,そこで得られた情報についても「その共通課題を見つけることがセンター業務。厳格に医療法に則った活動を行うべき」と訴えていた。
 日本医事新報は上記のように記載しており,名越究医療安全推進室長は,「いずれかの段階でセンター調査を(個人情報を伏せて)そのまま出すという議論には現在(省内で)なっていない」と述べたという。厚労省は極めて妥当な発表を行ったものと評価できる。

医療事故調査制度についての厚労省との協議
 昨年,8月30日,日本医療安全調査機構は,「センター調査の結果」を公開する方針を示したとの報道があった。ただちに,9月8日,筆者は上京,井上清成弁護士とともに厚労省を訪れ,日本医療安全調査機構の言動はセンターとして不適切である旨を申し入れた。同日,記者会見を行い,「日本医療安全調査機構のセンターとしての役割を問う」との声明を発表したのである。この内容は,日本医療法人協会ニュース399号及び,本誌(第56巻11号,2017)で論考を行っている。センターとしての本来の業務を行わずして,センター調査結果の公開という脱法行為にも等しい行動をするとすれば,日本医療安全調査機構は,センターとして不適任と言わざるをえない。その後も,センターの言動に問題がある度に,センターの在り方について厚労省と協議を行って来たのである。
 このような中,厚労省より,医師法第21条について,「外表異状」が厚労省の見解でないかのような話が漏れ聞こえてきた。医師法第21条問題は,医療事故調査制度の前提としての重要問題である。本年1月16日,筆者らは厚労省と意見交換を行った。彼らは,医師法第21条についての大坪寛子医療安全推進室長(当時)の発言を知らなかったようである。筆者は,本誌記事等を提示し,説明すると同時に,「外表異状」と明言した鹿児島県病院厚生年金基金主催の「医療を守る法律研究会講演会」のDVDを提示し,医療事故調査制度の前提として医師法第21条問題があることを説明した。どうにか当時の経緯を理解してもらえたようである。
 この2日後の1月18日に,今回の報道にあるように,昨年来,厚労省とやりとりが行われていたセンター調査報告書の公表問題について,厚労省が明確に否定したことになる。現時点でのセンターの暴走はどうにか止めることができたようであり,昨年来,厚労省と行って来た議論に一定の結果が出たと言うべきであろう。

おわりに
 医療事故調査制度は既にすべて決着済みである。現在の課題は,適切に現場に定着させることである。ただ,現場定着の障害となるべきことが起こっており,その動きにセンターが関与していることは甚だ問題であろう。
 一方,「医療の外の話」として色々な話題が浮上している。将来にわたる影響を考えると,今後とも医療事故調査制度とその周辺の動きには目が離せないものがある。




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