=== 年頭のあいさつ ===

年 頭 の ご 挨 拶
鹿児島市医師会病院 院長

     園田  健


 あけましておめでとうございます。会員の皆様ご家族及び各医療機関の職員の皆様,ともに輝かしい新たな年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
 昨年天皇陛下が母上の縁の地である鹿児島の離島を美智子妃殿下とともに直接訪れになり,住民と和やかに対話をなされるお姿に心を打たれました。陛下はご退位の意思を明らかにされ,平成の御代は終わろうとしております。父君昭和天皇が崩御された昭和64年はわずか7日しかなく,新年号“平成”はかの故小渕恵三首相による発表でした。新たな年号がどうなるのか,よい時代を迎えられるように吉兆を呼ぶ名前が期待されます。
 さて昨年はアメリカファーストを唱えるトランプ大統領の数々の閉鎖的政策である大統領令施行,イギリスのEU脱退,フランス・ドイツにおいても極右政党が勢力を増しており,最近ではスペインのカタルーニャ独立運動など自国優先主義や民族至上主義・自己中心的な考え方が世界に蔓延しそうな勢いを見せています。
 国内の出来事では昨年も九州北部地方など大雨による被害が続出しました。更に台風の上陸回数も多く農作物への影響が甚大となり,国民生活を悩ませる事態となりました。
 また,我が国の基幹産業である自動車メーカーの不祥事が相次ぎ,一時は世界をリードしてきた鉄鋼関係の杜撰な管理が明らかになりました。先人の血のにじむような努力で築き上げた信用があっという間に失われていきかねない事態に陥っております。技術者の定年退職と相まって技術大国日本の危機が迫っていると言わざるを得ません。
 我々医療界では30年度に診療報酬改定が待っており,マイナス改定が確実視される中,当院ではMRIの更新など設備投資の必要があり,29年度は経常損益でプラスとなるように予算化いたしました。お断りをなくし,急性期から緩和ケア病棟までシームレスな医療提供を行うことをモットーに病床使用率の向上を図ってまいりました。また在宅医療後方支援病院としての運用は順調で,10月現在で461人の在宅患者事前登録があり,急変時の速やかな受け入れができる体制を整えました。更に医師会連携施設との懇談会を8月2日,10月20日の2度に分けて開催することができました。しかし,上半期の営業実績では残念ながらキャッシュベースでも若干のマイナスとなりました。その結果夏のボーナスがカットされる事態となり,職員に不安感が生じ,医師会病院の誇るチームワークに乱れを生じることを危惧いたしまして,10月14日までに診療各科部長に経営改善のためのアクションプラン策定を求め,わたくしが10月31日に朝礼で職員全員の前で披露いたしました。実りある施策を立てることはもとより,診療部が一丸となって危機を乗り越える姿勢を職員の皆さんに表明することに大いなる意義があったと思われます。時を同じくして10月下旬より病床稼働率の改善が見られ,10月11月の収益改善が見られ,結果,暮れのボーナスは満額支給できました。おそらく更なるモチベーションアップにつながるものと思われます。この勢いを今年も続け,目標の経常損益プラスを成し遂げたいと思っております。
 スタッフについては4月より消化器内科に鉾之原先生が,また外科には初期研修を修了された赤嶺先生が。遅れて9月から山下先生が消化器内科に着任。当院の基幹科目であった消化器疾患の診療に光明が見え始めました。神経内科は一人増員していただけました。循環器と並び急患を受けいれ,病床稼働目標を達成し続けている科であり,大学両医局のご支援・ご指導に感謝申し上げる次第です。緩和ケア科には大学麻酔科より園田先生が9月に着任されました。先生は疼痛緩和の専門家で漢方にも造詣が深く,疼痛緩和外来を毎週火金土曜日にオープンし,がん患者のみならず疼痛に悩まれている方に門戸を開いております。会員の皆様にも広くご利用をお願いいたします。一方で婦人科では唯一の女性医師であった牧瀬先生が医局の命により転任となりました。残った大塚先生をはじめ婦人科スタッフにとって先生は一服の清涼飲料水的な存在でしたので大きな痛手ではありましたが,地域医療貢献のための転出ですので,お互い協力しあって鹿児島の婦人科医療の向上に尽力いただくことを願っております。
 さて2025年に向けた地域医療構想も徐々に本格的検討に入り,当院も公的病院(地域医療支援病院のため)として行政の指針に沿った病床プランを立てていくことが求められております。そこで提出しました診療実績及び方針を簡単に報告いたします。
 平均入院患者数および稼働率(全体255床)平成27年度平均166.7床(65.4%)平成28年度172.1床(67.5%),病床別ではICU(急性期病床:8床)平成27年度5.4床(67.8%)平成28年度3.6床(45.5%)とやや減少,一般病棟(急性期病床:170床)平成27年度110.5床(65.0%)平成28年度111.0床(65.3%)と横ばい。地域包括ケア病棟(回復期病床:46床)平成27年度30.2床(65.7%)平成28年度34.1床(74.1%)とやや増加傾向。緩和ケア病棟(慢性期病床:31床)平成27年度20.6床(66.4%)平成28年度24.7床(79.7%)と増加傾向。
 患者紹介数平成27年度平成28年度で比較すると2.1%程度増加している。在宅療養後方支援登録数は平成28年3月時点で53件,平成29年10月時点では461件と順調に伸びている。
以上をまとめまして,今後の方針として以下のことを報告しました。
1)地域において今後担うべき役割について:高度急性期からの回復期ケアへの対応。会員からの照会受け入れ・在宅療養後方支援。緩和ケア(終末期医療)の充実。
2)今後担うべき病床機能:回復期の充実。一般急性期の活用(会員からの照会・在宅療養後方支援)慢性期の活用(緩和ケアの充実を図ることによりがん疾患への対応)
3)その他見直すべき点:建物の老朽化のため,リニューアル・移転・新築などの検討。
 具体的な計画:許可病床数255床を204床に減少を実行し,効率性を目指す。
 2018年度まで病床数255床:高度急性期(ICU)8床,急性期(7:1)170床,回復期(地域包括ケア)46床緩和ケア31床。
 2019年度から病床数202床:高度急性期(ICU)8床,急性期(7:1)123床,回復期(地域包括ケア)46床緩和ケア27床として運用する。
さらに将来三年をめどに病棟の再編成を計画いたします。

 最後になりましたが,基幹型研修医には二人マッチングいたしました。現在大学協力型二人が研修中です。若き医師を育てていくことが将来の安定した後継者づくりに貢献できると考えます。
 医師会病院は開院以来,紹介型病院の基本姿勢を貫いてまいりました。繁栄も衰退も医師会員の皆様のお考え次第と思われます。なにとぞ今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 以上,医師会病院が皆様とともに地域医療の一翼を担っていけるよう努力していく決意を新たに致しまして年頭のご挨拶といたします。




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