鹿市医郷壇

兼題「騒動(そど)」


(456) 樋口 一風 選




清滝支部 鮫島爺児医

   震度5い鈍び人も起きっ凄ぜ大騒動
  (しんど5い にびともおきっ わぜうそど)
(唱)ひょかっ揺れたで相当け驚っ
  (ひょかっれゆれたで てげけたまがっ)

 震度3ぐらいなら目が覚めないかもしれないが、震度4か、それ以上ならどんな鈍い人でも目が覚めます。震度5に目が覚めてよかったです。かねてから、ものごとに動じない人でも、震度5では大騒動をします。
 もし目が覚めなかったら他人に何と言われたことでしょう。無事でよかったです。




城山古狸庵

   説明も聞かじ誤診ち騒動をしっ
  (せつめいも きかじごしんち そどをしっ)
(唱)早とちゆしっ短気な患者
  (はやとちゆしっ たんきなかんじゃ)

 最近の患者はネットなどで調べて、素人なりの知識も持っていますので、自分の見立てと違うと、説明も聞かずに文句を言いそう、困ったものです。そこは名医、ちゃんと説明をして納得してもらいました。
 最近のお医者さんは説明能力も必要のようです。




紫南支部 二軒茶屋電停

   我が額い有って眼鏡が無かち騒動
  (わがふてい あってめがねが なかちそど)
(唱)そや間違げなし老化現象 
  (そやまっげなし ろうかげんしょう)

 よくあることです。眼鏡をかけたままで、顔を洗った人もいます。私など、この程度は日常茶飯事です。
 老化現象でしょうか、でもあまり騒動をしなくてもよろしいと思います。
 またやっていると、傍の人も知っていますので、そっと黙って探しましょう。
 実感句でしょうか、面白く纏めてあります。

五客一席
 川内つばめ
   モンスター小け事ずい騒動をしっ
  (もんすたー ちんけこっずい そどをしっ)
(唱)粗を見付けちゃ大声で抗議
  (あらをみしけちゃ うごえでこうぎ)

五客二席
 城山古狸庵
   小火騒動い婆が被せた濡れ布団
  (ぼやそどい ばばがかっせた ぬれぶどん)
(唱)危ねかったち後塞がしっ
  (あっねかったち あとぜっがしっ)

五客三席
 清滝支部 鮫島爺児医
   騒動好っな二人が怖ぜか米と北
  (そどずっな ふたいがおぜか べいときた)
(唱)口喧嘩どで済めば良かどん
  (くっげんかどで すめばよかどん)

五客四席
 醤油屋孫一
   目覚ますば止めっ二度寝がわぜ大騒動
  (めざますば とめっにどねが わぜうそど)
(唱)飯も食ださじ家を飛ばい出っ
  (めしもくださじ えをとばいでっ)

五客五席
 清滝支部 鮫島爺児医
   厳し姑アマメ一匹き騒動をしっ
  (いみしかか あまめいっぴき そどをしっ)
(唱)強え姑どんに有っ弱点
  (つえかかどんに あっよえとこい)


   秀  逸


城山古狸庵
   遺産騒動少とん金で縁ぬ切っ
  (いさんそど ちっとんぜんで えんぬきっ)
   離婚騒動子はどっちいも行かん言っ
  (あかれそど こはどっちいも いかんちゅっ)

清滝支部 鮫島爺児医
   首び下げた眼鏡が無かち大騒動しっ
  (くびさげた めがねがなかち うそどしっ)
   お家騒動一番多けた遺産分け
  (おいえそど いっばんうけた いさんわけ)
   国会じゃ騒動事つ探すとが野党
  (こっかいじゃ そどごつさがす とがやとう)
   桜島降灰の騒動よっかマグめ心配
  (さくらじま へのそどよっか まぐめせわ)
   ミサイルが日本ぬ通過っ大騒動でなっ
  (みらいるが にほんぬとおっ うそでなっ)

川内つばめ
   平和ボケ呆え政治いも騒動でならじ
  (へいわぼけ ぼえせいじいも そでならじ)
   兄弟喧嘩騒動ん始めあ食物奪合
  (きょでげんか そどんはじめあ くもんばこ)
   紅の跡犬も食んよな夫婦ん騒動
  (べんのあと いんもくゎんよな みとんそど)

霧島 木林
   騒動事の多か役人に歯痒いなっ
  (そどごっの うかやっにんに はがいなっ)
   恐ろしか父の一喝ち騒動が止ん
  (おとろしか ちゃんのいっかち そどがやん)

醤油屋孫一
   衆議院の急な解散が騒動いなっ
  (しゅういんの きゅなかいさんが そどいなっ)
   小け児がプリンぬ賭けっ騒動をしっ
  (ちんけこが ぷりんぬかけっ そどをしっ)


今月の投句から   一 風
 「絶交(みっぎれっ)」という言葉がありました。鹿児島弁で「絶交」のことを「絶交(みっきい)(みっぎい)」などと言います。「絶交」は名詞ですが「っ」と助詞を付けて動詞にしていいのか疑問です。「絶交(みっぎれっ)」は都合が悪いと思います。

 薩摩郷句鑑賞 109
  
   屈んだや一人居った芒原
  (かごんだや もひといおった すすっわら)
                    田辺 游狂
 虫の音もだんだんかすれて、野分きが吹くころになると、芒の穂の白さが、美しく又うらさびしいものである。
 この句はその芒野を眺めようなどという、悠長で風雅なところを詠んだものではない。腹具合が悪くなって、催したくなったので、あわてて芒原に駆け込んで、しゃがみ込んだのである。そして、ひょいと顔を上げると、隣に先客がいたのである。「やあ、どうもどうも」というわけにもいくまいし、きまり悪い二人の顔が目に浮かんで滑稽。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」から抜粋



薩 摩 郷 句 募 集

◎新年号
題 吟 「 新け(にけ)」
締 切 平成29年12月1日(金)
◎2 号
題 吟 「 溜息(ういっ)」
締 切 平成30年1月5日(金)
◇選 者 樋口 一風
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
 鹿児島市加治屋町三番十号
 鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:ihou@city.kagoshima.med.or.jp


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