編集後記


 6月に入り,梅雨の季節になりました。今月は祝日もありませんので,休養が取りづらく,なにかと体調を壊しがちになります。ご自愛ください。
 今年度新たに鹿児島大学病院院長にご就任された夏越次教授から,「ご挨拶」をいただきました。「地域医療を行うとともに,最新治療も導入して患者さん一人一人に最適な治療を目指す」鹿児島大学病院の意気込みを感じました。学生時代,先生は軟式テニスの強豪大学である広島大学の中でも名選手であり,万年補欠の私は,西医体で先生の華麗なプレイを羨望の眼差しで見ていたことを思い出します。先生のこれからのさらなるご活躍を祈念いたします。
 「論説と話題」は,先月号の園田鹿児島市医師会病院院長に引き続き,猪鹿倉会長に医師会病院の現状について寄稿していただきました。医師会病院は改善傾向にあるものの,安定経営にはまだまだ程遠い状況です。会員の先生方のご協力をお願いいたします。
 「医療トピックス」で,桐野先生は分子標的治療薬による創傷治癒遅延と手術前後の休止期間についてまとめてくださいました。40年近く前に大学を卒業し従来の抗がん剤の知識しかない私には,薬の開発が日進月歩で進んでいることを改めて感じさせてくれる内容でした。
 「学術」では,野田先生らにがん性疼痛への神経ブロック治療を実施した2症例について報告していただきました。がん疼痛治療の基本は薬物治療ですが,それでも改善しない例が10〜30%はおられるとのこと。「神経ブロック治療の時期を逸しないためにも早期のコンサルトが望まれる」と文章を締めておられます。コロッケ会症例検討会では,片麻痺片頭痛という珍しい症例を提示していただきました。
 「随筆・その他」は,まず古庄先生による「切手が語る医学」は中央アフリカの国際医療協力についての切手の紹介です。子供を思う母親の姿は万国共通です。小田原先生には「シリーズ医療事故調査制度とその周辺(4)」をご寄稿していだきました。医師法第21条(異状死体等の届出義務)に関する論文です。医師法第21条の「外表異状」の議論は「医療の内」と「医療の外」の制度を切り分けることで決着した経緯をまとめていただきました。また,事故調査報告書作成には細心の注意が必要であることを指摘されています。林先生は「“Jアラート”・日本防衛の危機」で,ご自分の戦争体験も交えて,北朝鮮問題も戦争回避の努力が必要であることを述べられました。「リレー随筆」では有水先生から,音楽とオーディオについてご寄稿いただきました。世代の異なる私には良くは分かりませんでしたが,先生が楽しんでおられる様子を伺い知ることができました。今後も会員の先生方の積極的なご投稿をお願いいたします。
 「各種部会だより」は,整形外科,産婦人科及び外科医会の総会・研修会等と在宅医会事例検討会の報告です。各専門分野で研鑽を積んでおられる会員の先生方の姿が浮かんでまいります。また,「各種報告」に平成29年度の鹿児島市医師会会員施設職員研修会の報告をいたしました。
 「附属施設だより」では,医師会病院の3月診療・収支実績を報告しました。前述しましたようにまだまだ経営は安定していません。猪鹿倉会長も述べておられるように,経営改善に向けて新体制の下で役職員一致団結して臨んでおりますので,重ねて会員の先生方のさらなるご活用をお願いいたします。「医師会病院だより」には,週間診療案内と外来週間スケジュールを掲載しておりますので,参考にしていただけたら幸いです。何かご不明なことがありましたなら,お気兼ねなく医療連携・相談室にご連絡ください。

                             (副編集委員長 長友 医継)


                                              

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