鹿市医郷壇

兼題「流行(はやい)」


(448) 樋口 一風 選




 川内つばめ

流行語半年経てば思め出さじ
(流行語 はんとしたてば おめ出さじ)

(唱)目まぐるしゅして追付かならん脳
(唱)(目まぐるしゅして うちかならんの)

 年末の流行語大賞を見ると、そう言えばそんな言葉もあったなと思います。
 時代の変化が早くて多量な情報に、脳が追付いて行かないのでしょうか。
 それとも自分の記憶力が悪いのか分かりませんが、老いた選者には身につまされる句です。さらっと詠めています。




 城山古狸庵

流行風邪暇な医者様を元気きしっ
(はやいかぜ 暇ないしゃさを げんきしっ)

(唱)忙しゅなって出っきた遣い気
(唱)(いそがしゅなって でっきたやい気)

 インフルエンザが流行ると、病院は忙しくなります。インフルエンザのお陰様とは言いませんが、医者としての使命感がじっとはさせてくれません。医者の元気の素は患者さんでしょうか。待合室に患者さんが多いと、お医者さんの元気も出てきます。




清滝支部 鮫島爺児医

流行い医者診断も良かが愛想もよし
(はやい医者 みたてもよかが えそもよし)

(唱)名医じゃっどち凄ぜ繁昌
(唱)(名医じゃっどち わっぜ繁昌)

 パソコンばかり頼るのではなく、患者の話もちゃんと聞いてくれて、的確な診断をしていただけます。だから患者は安心して、身を委ねられます。クレーマー患者もいるだろうに、笑顔を絶やさないドクターです。


五客一席 上町支部 吉野なでしこ

たまがった青年ん脱毛が今流行っ
(たまがった にせんだっもが いまはやっ)

(唱)大和男の子も落てたもんじゃち
(唱)(やまとおのこも おてたもんじゃち)


五客二席 清滝支部 鮫島爺児医

ミニ流行い脇見をしたや転倒けっ
(ミニばやい そらみをしたや はんとけっ)

(唱)娘達の足し驚った爺
(唱)(おごたっのあし たまがったじじ)


五客三席 城山古狸庵

女性知事毎日流行の洋服き替えっ
(おなご知事 めにっ流行の ふきかえっ)

(唱)給料も減めっ頑張っ衣装代
(唱)(はれもへがめっ きばっいしょだい)


五客四席 紫南支部 二軒茶屋電停

流行歌覚えた時きなも懐メロ
(はやいうた 覚えたときな もなつメロ)

(唱)古い歌じゃっち言で立腹っ
(唱)(ふい歌じゃっち ゆではらきえっ)


五客五席 清滝支部 鮫島爺児医

名前いも流行が有って出番無爺
(名前いも 流行が有って 出番ねじ)

(唱)時代遅れでセンスが合わじ
(唱)(時代遅れで センスがおわじ)


秀  逸

紫南支部 二軒茶屋電停

若者の流行ゆば真似っ浮っ老人
(わけもんの はやゆばまねっ うっおんじょ)


上町支部 吉野なでしこ

流行病を伝染ちゃならんち戸を閉めっ
(はやいびょを もろちゃならんち 戸をしめっ)

今流行いシャツが出ちょっち孫を叱っ
(今はやい シャツがでちょっち 孫をがっ)


清滝支部 鮫島爺児医

風邪流行い医者は繁栄っが喜べじ
(風邪ばやい 医者ははやっが よろこべじ)

地震にも流行が有っ態怖ぜ地球
(地震にも 流行が有っふ おぜ地球)

流行服くサイズが合わじ諦めっ
(はやいふく サイズがおわじ あきらめっ)

スマホいも流行があって追気あ無し
(スマホいも 流行があって うきあのし)


 城山古狸庵

ジーパンの破れも流行言て平然
(ジーパンの 破れも流行 ちゅてしれっ)

流行歌隠れっ歌とた時代もあっ
(はやいうた 隠れっうとた じでもあっ)


 川内つばめ

ポッチャリが流行っ嬉しか太め娘
(ポッチャリが はやっ嬉しか ふとめおご)

高価け服くば箪笥ん肥料しした流行
(たけふくば 箪笥んこやし した流行)

昔着た親父の服が今流行っ
(むかしきた おやっのふっが 今はやっ)


今月の投句から
 G(ジ)パンという言葉がありました。文字を見るとG(ジー)パンと分かりますが、聞くだけでは分かりにくいと思います。何でも縮めればよいというものではありません。英語の場合など注意しましょう。
 送りがなや振り仮名で気になったことは、「軽り如(ご)」は「軽(か)り如(ご)っ」に、「用心(ゆじ)ん要っ」は「用心(ゆじん)が要(い)っ」と「が」の助詞を付けてください。ただし「用心しっ」の場合の助詞は不要です。
 また「稽古入い歌ときゃ」とありました。薩摩郷句の場合は標準語以外の時は、振り仮名を必ずつけることになっています。このままでは意味がよく分かりませんので、まず標準語なら「稽古(けいこ)入(い)い歌(うた)ときゃ」となります。これでも意味不明ですので、薩摩弁で「稽古(けこ)が入(い)っ歌(う)とときゃ」にすると意味が分かりますので、このように振り仮名を付けてください。もし振り仮名が分からない時は、簡単でよろしいので、句意を添え書きしてくだされば、それなりに添削いたします。


薩摩郷句鑑賞 101

只酒を飲だや厄介な役く負るっ
(ただざけを ぬだややっけな やくかるっ)
                元村多可子

 「ただより高いものはない」と言うが、うかうか酒のご馳走にでもなると、とんでもない仕事をしなければならない羽目になることがある。今日は統一選挙のトップを切って県議選の告示の日である。時恰も花見の季節、うっかりただ酒を飲んで、選挙違反の片棒を担がされるようなことがないよう、用心用心。
 鹿児島の人間の義理堅さは結構だが、ご馳走になったら、悪いこととは知りながら断ることができないというのは改めたいところ。


加勢ん衆い誠て恥なか小め荷物
(かせんしい まこてげんなか こめにもっ)
                弓場 正己

 三月末は、いろんな職場の異動の時期、一目でそれと分かる荷物を積んだトラックや、港での見送り風景が見られるころである。
 転勤が決まると、職場の同僚や、近所の人々が集まって、荷造りの手伝いをするものである。ところが、大勢集まってくれた手伝いの人々に対して、面目ないほど荷物が少なかったのだろう。謙遜ではあろうが、ユーモラスな句。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋


薩 摩 郷 句 募 集

◎5 号
 題 吟 「 真似(まね)」
 締 切 平成29年4月5日(水)
◎6 号
 題 吟 「 運(ふ)」
 締 切 平成29年5月6日(土)
◇選 者 樋口 一風
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
 鹿児島市加治屋町三番十号
 鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:ihou@city.kagoshima.med.or.jp


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